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全ては伝わっています
グローブを外した亮は、武山和人陣営へと近づき、腰掛ける和人の前に立った。和人が腰を上げようとしている。まだダメージが残っているようで、ふらついたがしっかりと立ち上がった。
亮はすっと手を出すと、和人が握り返してきた。そして、軽くうなずき合い、すぐに離れた。
言葉などいらない。尊敬も感謝も全て伝わったはずだ。
亮は武田陣営のひとり、ひとりに頭を下げた。
両陣営が握手をかわし、自分のサイドへと戻っていく。
――和人の伯父である紳士は席を立ち、出口へと向かっている。紳士は一度立ち止まり振りかえると、リング上の和人を見つめた。
和人。お前は負けて強い王者を体感できたんだ。だから、まだまだ強くなれる。
がんばれ、和人!
心の中でエールを送ると去っていった。その後を2人の男が神妙な顔で追いかけていった。




