表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タッツミー  作者: ゆらゆらゆらり
55/74

くまさんはいつだってヒーローです

 亮は暗闇の中にいた。

 音もしない真っ暗な世界をぼんやりと眺めながら、ひとり転がっていた。


 あぁ、俺は何をしているんだろう。とにかく疲れた。何だかこうしていると気持ちがいい。


 そう思い、目を閉じようとしたその時、眠りを邪魔するようなひと筋の光が差し込んできた。


 邪魔するなよ。


 目を向ければ、暗闇の中にある小さな穴から光が差している。

 それが何かによって広がっていく。


 声?


 しだいにはっきりとしていく声。叫び声――「くまさーん!」




 亮はゆっくりと目を開いた。耳には大歓声が届いている。リングサイドから伝次郎たちが「立て!」と叫んでいる。


 俺は倒されたのか?


 亮はすぐに立とうしたが、体が動かなかい。必死に力を入れようとするが、どうしても体に伝わらない。


「くまさーん! 勝って!」

 大歓声を切り裂くような声が心に届いてきた。引き寄せられるように視線が動く。そして、亮の目はいつかのようにその姿をしっかりと捉えた。


 真っ赤な顔で立ち上がっている拓也の顔がそこにある。

 最近は、亮くん、と呼ぶようになっていた拓也が、あの時のように叫んでいる。

 あの時のようにヒーローを呼んでいる。


 亮はロープへと手を伸ばし、つたいながら立ち上がった。


 ばあちゃん。ヒーローは最後には絶対に勝つんだったよな!


 立ち上がった亮にレフェリーが近づいてきた。グローブをもちながら「大丈夫か? いけるか?」と問いかけてくる。

 亮はうなずき、ファイティングポーズを取った。見つめてくるレフェリーをしっかりと見返す。


 こんなところで終わらせてたまるか。


 レフェリーはうなずき、亮と和人の顔を見て「ファイット」と声をかけてきた。


 亮はその声とともに前へと踏み出そうとしたが……体が反応しない。自分の足ではないかのように、足は亮を無視し続けている。


 和人が猛然と向かってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ