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タッツミー  作者: ゆらゆらゆらり
51/74

これからです

 亮は、胸に刺さったトゲが取れた、そんな感覚で第8ラウンドのゴングを聞き、今ファイティングポーズをとっていた。


 最初に亮が仕掛ける。


 一気に踏み込み間合いを縮め、パンチを振るった。

 和人は今までと同じように軽くバックステップを踏んだ。

 今までと同じ展開だったが――パンチは和人の顔面を捉えていた。


 一瞬、和人の体がよろめくように傾いた。




 ――本人も気付いていなかった〝ためらい〟。それが、ほんの少しの踏み込みを無意識のうちに縮こませていたのだ。このラウンドが始まるその時までは。


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