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タッツミー  作者: ゆらゆらゆらり
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木下ジムは総力戦です。だけど・・・

 亮を中心に円陣を組む中、伝次郎の声が飛んだ。

「いいか亮、今は精一杯戦って、そして……勝とう」

 その言葉に亮は「はい」と答えた。


 円陣の中で、奈津子は、勝とう、という言葉を噛みしめていた。

 そう、勝つのだ。今、大切なのは勝つことだ。そんな思いで、相手陣営に目を向けた。


 その時、目に飛び込んできた。陣営の後ろに見える姿が。

 やや左寄りの観客席最前列にスーツ姿の3人の男性が座っている。

 50過ぎくらいの貫録充分の紳士といった感じ男性は見覚えはないが、おそらく竹山和人の関係者だろう。それより何より、その隣り。あのメガネの人が薄ら笑いを浮かべている。そして、もうひとり。小柄な男性……すべての血が頭に集まってきた。


「あいつ」と思わず言葉がもれた。


 にこにこしながら奈津子の話しを聞き、特におばあちゃんの話しには涙を浮かべながら聞いていた雑誌記者が今は平然と……。


 いったい何者なんだ!


 奈津子が睨みつけると、無視するかのようにそっぽを向いて、無関係のような顔をしている。

 3人のスーツの襟元にある同じバッジが光っている。


 飛び掛かって、どういうこと! と問いただしたいくらいだが、今は黙ってリングを下りるしかない。動揺なんてしていられない。試合はもう始まってしまう。


 亮に顔を向けると、引きつる顔で相手選手ではなく、メガネの男性を睨んでいる。

 レフェリーに促され、中央に進みながらも、何か集中していない様子で、視線が下に落ちている。


 何か、声をかけなくっちゃ。


 そう思いながらも、混乱する頭の中では的確な言葉が浮かんでこない。




 何も言えぬまま【決戦のゴング】は轟いてしまった。




 今日は奈津子もセコンドに入っている。隣には淳史の姿もある。

 木下ジムの総力戦でこの戦いに挑む。そのはずだったが……。


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