18/74
亮君の胸の内が知りたいものです
「じゃあ、私たち、そろそろ失礼します」
亮の耳にそんな声が届いてきた。目を向ければ、美貴が立ち上がっている。歩き出したその先には、壁際の椅子で、仲良く並んで眠るユイと拓也の姿がある。
美貴が起こそうと声をかけるが、拓也はなかなか起きようとしない。
「今日は、いっぱい応援していたから疲れちゃったみたいね」
明子が近くに寄って声をかけている。
「えぇ、そう見たいです」
美貴は拓也を抱きかかえようとしている。
亮は、その姿に「俺が送りますよ」と言い、近づいていった。そして、拓也を抱きあげた。
「大丈夫よ、亮君。西口に自転車止めてあるし、それに試合で疲れているんだから悪いわ」
「そうだよ、亮。試合後なんだから俺が送るよ」と淳史が言うと、続いて「そうだ、そうしろ」と周りの声も続いた。
それでも、亮は「大丈夫。大丈夫だから」と拓也を抱えたまま、表に出た。
背後から、美貴の「すいません。お先に失礼します」と恐縮する声が聞こえてくる。すぐに追いつてきて、亮にも、恐縮する声をかけてきた。
「全然、大丈夫です」
試合後半の時のように、フットワークは軽やかだ。




