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第5話 私のバカで可愛いお兄ちゃん

今回もよろしくお願いします。

 葵との約束を破ってしまった次の日。

 いつもより早起きして、身支度を簡単に済ませて玄関へ行き靴を履く。


「葵、いってきます! お昼頃には帰ってくるから!」


 自室居る葵に聞こえる様に大きい声で言って、家を出る。 今葵の傍を離れると後が恐いが、あれを調達するには仕方ない。 目当ての物を手に入れたら、出来るだけ早く帰ってくることを決意して目的地へと足を進める。


 電車に揺られて約1時間、都心部に到着した僕は、スマホを取り出して目的地の位置を再確認する。 時刻はまだ8時過ぎ、店の開店時間は10時。 まだまだ時間的には余裕があるが、あの店は最近話題の人気店、もう既に行列が出来ているかもしれないのでスピードを上げる僕。

 案の定、店の前には15人程並んでいた、僕も列に加わり開店を待つ。

 時間が過ぎるごとに人増えていき、開店10分前には50人を超える行列を成していた。


(早めに来ておいて正解だったな)


「皆様お待たせいたしました、洋菓子店oasis開店です!」


 店員さんの声でお店のドアが開いて人が順に入ってく、1度客が入って行くと店内が混乱するため入場規制がかかっている。 10人ずつ順番に入店して行き、1人客が帰ったら、次の人が入っていく――――そうして僕の番になった。 店に入って目的のお菓子を血眼になり探す。


(あった! 1日30個限定プレミアムスイートポテト!)


 店員さんに注文をお願いして2つ買ってoasisを後にする。 お目当てのモノを無事手に入れた僕は寄り道をしないで、形が崩れないように慎重に運んで帰宅する。


(葵、喜んでくれるかな)


 朝日眩しく、人々が行き交う街中で、雲が少ない晴れ晴れとした爽やかな青空を見上げて、葵の笑顔を思い浮かべていた――。




 *




「ただいま~」


 葵に悟られないように、家に入ったら直ぐに冷蔵庫へスイートポテトを入れておく。

 ただ買ってきて、渡すのではインパクトがないから、ここはやはり昼食後のサプライズとしておくことを決めてリビングで今か今かと昼食を待っている所を葵に見られた。


「――何1人で時計見ながらニコニコしてるの? 気持ち悪いよ」


 確かに自分でも気持ち悪いと思うけど、誰かに言われると結構傷つく。

 僕が沈んでいる内に葵がお昼ご飯を作ってくれた。 葵のご飯はドライカレーとサラダ、僕のお昼ご飯はカレー味のカップ麺。


(なんだろう、昨日に比べたら全然嬉いんだけど、素直に喜べない。 目の前には葵が作った、具沢山のドライカレー。 カップ麺も嫌いじゃないよ、美味しいしさ。 けど、やっぱり葵の料理が食べたいな)


 そう思い、葵のご飯を見ていると


「人のご飯をそんなにジロジロみないでよ、卑しいな」


 そんな辛辣な言葉が飛んでくる。 まったく誰のせいだと思っているんだ―――すみません、約束を忘れた僕の責任です、葵には何の責もないです。 仕方ないので、泣く泣く味気ないカップ麺を啜る。


(スパイスが目に入ったのかな、涙が出そうだ) 


 2人ともご飯が食べ終わったて、葵がソファーでテレビを見ている隙に今朝買って来た1日30個限定のプレミアムスイートポテトをこっそり出して、葵の前に持っていく。


「ん? なにこれ――っは! こ、こ、これは、飾りっけのないシンプルな見た目で、滑らかな舌触りと上品な甘さでしつこくない特製クリームが混ざっていると、ネットで話題沸騰中<洋菓子店oasis>の1日30個限定プレミアムスイートポテト!」


 目を付けていたことは知っていたけど、まさかここまでの食いつきとは予想外だった。 口調が解説者のようになっている葵は目を輝かせて今にも涎が垂れそうになっている。


「昨日、葵との約束破っちゃったから、そのせめてものお詫びで、良かったら葵に受け取って欲しい」


 心底嬉しそうな顔をしていたけど、僕の話を聞いて一瞬で冷めた表情になってしまった。


「美味しく食べさせてもらうけど、この程度じゃ埋め合わせになんかならないんだから。 反省しなさい、猛省しなさい、悔い改めなさい。 ()()は破っちゃいけないものでしょう、お兄ちゃん」


 最後に冷ややかな目で俺を見て、スイートポテトが入った箱とフォークを持って立ち上がっりリビングを出て行く。 スイーツ作戦は失敗した、と言うよりも悪化させた可能性が高い。


(火に油を注いじゃったかな?)


 ()()()()いけないのは僕だけどさ、まったく葵は優しすぎる妹だ、僕には勿体無いほどの。

 その日はもう、葵はリビングに顔を出すことはなかった。



 *



 月曜の朝、起きたらご飯が出来ていた。 何かと思って見てみると、水でふやけただけであろう、米の上に焼かれた肉の脂身が乗っている。もう1つのお皿には、水で増えた若布が大量に積み重なっていた。


(おお、朝からこれはきついな)


 しかし、これも妹が作ってくれたモノ食べてあげないと可哀想だ。 全然美味しくない朝ごはんを噛み締める、これも自分が犯した罪のせいなのだと。



 *



 予想通り登校は別々になり、それを見ていた裕吾が朝から教室で絡んできた。


「珍しいこともあるもんだな、あの仲良し松葉兄妹が喧嘩とはね。 どうせお前が何か仕出かして葵ちゃんを怒らせたんだろ? 葵ちゃんが何の理由も無しにお前を遠ざけるとは思えないしな」

「その通りだよ」

「……とっとと謝って、仲直りしとけよ」


 僕の返答が淡白だったことから、笑い話にすることじゃないと感じ取った裕吾はあっさり自分の席に戻っていった。 阿呆で大雑把な印象を受ける裕吾だが、本当の所は頼りになるし、その場の空気を読んで発言できる、中々賢い奴だ。


(裕吾に気を使わせてしまったな、今回の件が片付いたらなんか奢ってやろう)


 そう思い、僕も席に着いて授業を受ける。

 放課後、週末に修繕が終り元通りになった屋上で、葵の事で竜胆さんに相談していた。


「――そう、それは妹さんには申し訳ないことをしちゃったようね」

「実際いけないのは僕だから怒られたりするのは良いんだけど、話も出来ないのは流石に辛くて。 何か女性が喜ぶ事とかに心当たりないかな?」


 目を瞑り、顎に指を当てて「う~ん」と唸る竜胆さん。 少しすると、


「あ! 妹さんの好きな事をしてあげたらいいんじゃいかな?」

「残念ながら、僕もそう思って、気になっていたケーキをあげたりしてみたけど駄目だった。 目にした一瞬は嬉しそうにするんだけど、その後直ぐにまた不機嫌そうな顔になっちゃうんだよ」

「ふ~ん? それって……ふふ、いえ何でもない」


 意味ありげに微笑んだ竜胆さんは教えてくれない。


「ええ、分かったのなら教えてよ! 僕には生活がかかっているんだから。 最近の僕食事は、増える若布に水でふやけただけのお米、味付けの無いお麩、肉の脂身部分だとかカップラーメンとかそんな感じのご飯なんだよ! 後生ですから教えてくださいお願い致します」

「中々辛い食生活ですね。 敬語なんか使わなくても、方法なら教えてあげますから。 それよりも、そのお世辞にも美味しそうとは言えないご飯全部食べてるの?」

「そりゃあ、どんなに不味かろうと葵の出した物なら何だって食べますよ。 それで、方法ってどんなモノなんですか?」


 僕は前のめりに竜胆さんに近づき尋ねる。


「わ、わかったから顔近いよ。 ふぅ~、方法っていうのは簡単なものでね――――――」



 *



 自宅に帰って竜胆さんから教えてもらった方法を試していく。


「ただいま、葵」


 リビングに入ってソファーに寝そべってくつろいでいる妹に挨拶をして、そのまま台所へ入る。

 今日は僕がご飯を作ろうと思う、謝罪と妹への今までの感謝を込めて、特製のオムライスを作っていく。

 葵が好きなちょとお高いウィンナーとオムライス用のケチャップを使ったケチャップライスと、牛乳を加えた半熟ふわとろ卵を乗っけて、<あおい>っとケチャップで書いて完成。


「葵~、ご飯出来たよ~」


 ソファーでテレビを見ている葵に声をかけると、すくっと起きて、ゆっくり歩いてくる。 椅子を引いて座って、オムライスを見て目を輝かせている。


「……ゎ。 はっ! こほん、いただきます」


 やっぱり、見た直後は嬉しそうにしてくれたのに、また若干不機嫌そうな顔になってしまった。 だけどちゃんと食べてくれた。 時折見せる優しい表情に癒されながら、僕もオムライスを食べていく。

 食べ終わった葵は皿を持って席を立ち、流しに皿を置いて水に浸して、自室へ戻ろうとリビングを出ようとする。


「葵、待て! よかったらこれ受け取って欲しい」


 そういって僕が出したのは<お兄ちゃんが何でも言うこと聞く券>×10枚。

 差し出されたそれを見て葵は「はぁ~」っとわざとらしく溜息をついた。


「小学生の母の日の肩叩き券じゃあるまいし、まったく。 まあ、使えそうだから貰っておくね。 ありがとうお兄ちゃん」


 葵はリビングを出て部屋に入って行った。


(本当にこれは上手くいくのかな? 竜胆さん)


 若干の手応えと、それ以上の不安で押しつぶされそうになっていく。



 *



 時は今日の放課後に遡り――


「肩叩き券? そんなもので葵が喜びます?」


「う~ん、肩叩き券に限定はしないけど、それに似た何かが良いんじゃないかな? きっと妹さんはお兄さんである松葉君に構って欲しいんじゃないかな? 確かに最初は本当に怒っていたかもしれないけど、大体の人の気持ちは時間が経つにつれて落ち着いていくもだと思うの。 妹さんも本当はもうそこまで怒っていないんじゃないかな? だから、松葉君の気持ちが伝わる何かをおげればきっと許してくれるよ」


 いつになく饒舌な竜胆さん。 竜胆さんにとっては友達の兄妹喧嘩程度のはずなのにこんなに親身なってくれるなんて、いい人だな。 この人と知り合いになれて良かったと改めて思った瞬間だった。


 日もほぼ落ちて辺りが暗くなり始めた。

 この時間が一番暗くて寂しい。 そんな不甲斐ない事を思い、竜胆さんと別れて家へと歩き出した――。



 *



 Side : 葵


 兄から貰った、幼稚な贈り物。

 貰った直後は馬鹿にして来ているとすら感じたが、しかし、兄の顔を見て直ぐに分かった。 冗談でも馬鹿にしているわけでもない、この人は本気なんだと。

 思えばここ最近は色々してきていた、私が気になっていた洋菓子店の個数限定の商品を朝から並んで買ってきたり、いつもは掃除が大変だからと言って滅多にしない泡風呂にしたり、私を喜ばせようと頑張っていた。

 私もあの程度のことは大して根に持っていない。 私以外の女と必要以上に交流があるのは面白くはないが、仕方のないことだと昔に割り切っている。 ただ、()()()()を破ったのは流石に頭にきた。

 私はあの珍妙な券を机に放り投げて、そのままベッドで横になった――。



 *



 そう、あれは確か兄の能力が()()してから暫くの時が経った頃、兄は風邪を引いた。

 39.2度の熱が出て夜な夜なうなされおり、心配になった私が徹夜で看病していた。 母や父も出来る限り家に残って兄の面倒を見ていたが、どうにも時期が悪く、とても忙しそうだった為あまり家には居なかった。

 兄の熱は長引き、風邪を引き始めて3日目の昼間。

 私は熱で苦しそうな兄を見て、何にも出来ない自分が悔しくて、つい兄の前で泣いてしまった。


「うぅ、お兄ちゃん。 ごめんね、あおは何にもしてあげられないの………あおに兄いちゃんのお熱が移ればいいのに」


 兄の性格からして、泣いている私を放って置けないから、自分の方が苦しいだろうに、笑って優しく頭を撫でてくれた。


「それは、はぁ、困るな。 僕は葵の苦しそうな姿は、はぁ……見たく、ないからね」

「それならお願い、せめて早く治って。 ゆっくり寝ていて。 苦しかったら、あおに言って。 約束だよ」

「ああ、約束だ」


 荒い息遣いで、言葉を搾り出して私を笑わせようと、引きつった笑顔でそう言った兄の顔は今でも覚えている。

 そのまま暫く私の頭を撫でてくれた兄は気がついたら眠っていた。 久しぶりに見る兄の苦しくなさそうな寝顔に安堵して、気が緩んでしまい私もそのまま、椅子に座ったまま兄のベッドに突っ伏して眠ってしまった――。

 数刻が過ぎた頃、雨音で目が覚めた私が目にしたのは――()()()()()兄のベッドだった。

 私は急いで家中を捜した、ベッドの下。

 タンスの中。

 

「お兄ちゃん?」

 

 ベランダ。


「お兄ちゃん!」


 トイレ。


「お兄ちゃん!?」


 風呂場。


「お兄ちゃん……」


 両親の部屋。


「お兄……ちゃん……」


 台所。


「どこに居るの……お兄ちゃん」


 家中を捜したけど、それでも兄は見つからず、私は急いでカッパを着て外へ出た。

 すかっり日も沈み、辺りは真っ暗だった。

 濡れた道路を力一杯蹴って、駆け出す。


 昔通っていた保育園。


「ここもいない」


 兄と今通っている小学校。


「お兄ちゃん! ………いない」


 2人で良く遊びに行く公園。


「お兄ちゃん」


 近所のスパー。


「おにいちゃん」


 迷路にして遊んでいた路地裏。


「おにいちゃん………」


 2人の思い出のある場所を駆けていく。

 けれど一向に兄は見つからなかった。 それでも走った、体力がある限り。 体が動く限り、私は諦めない――だって、たった1人の兄だから。 だって、大好きな人だから。

 何時からだっただろう、兄を好きになったのは。 私にとって誰よりも近くに居た異性、私と共に生きて来た兄。 これが兄妹としての”好き”なのか、1人の男性として”好き”なのか。 それは今となってはもう判らない。

 けれど、そんなことはどうでもいい、大事なことはどちらも同じ、私は兄が”好き”だということ。 その気持ちさえあれば私は頑張れる。

 しかし、まだ幼かったとはいえ判る。 あの高熱で雨に打たれたらどうなるか、道端で倒れたらどうなるか。 最悪の場合、死ぬ。 それ故私は焦った。 悔やんだ。 憤った。 早く見つけてあげられない事に。 あの時眠ってしまった事に。 私との約束を破った事に。

 夜道を走る。 息を切らして、お腹を押さえ、遅くなってきた脚を叩き。 けれども限界だった。 いやそもそも私は体力が昔からないから、この時にはもう搾り粕さえも残っていなかった。 兄を思う気力だけで、私は動いていた――

 もしかしたら、家にもう帰ってきてるんじゃないという一縷の望みを持ち、家に帰ると――蛻の殻(もぬけのから)だった。

 脱力して、玄関に座り込んだ。絶望した、兄が居ないことに。 切望していた、兄が帰って来ている事を。 故に挫折しかけた、その時――


「た、ただいま」


 私の後ろから、世界で一番愛おしい声がした。 振り返ると、全身ずぶ濡れの泥だらけ、廃棄寸前ボロ雑巾の様な姿の兄がいた。


「葵? 何で玄関で座っているんだ? はぁ、はぁ。 そ、それにビショビショじゃないか」


 そう言っていつものうに私の頭を撫でてくれる兄、心なしか力が弱すぎる気がした。

 今は自分を一番に思えばいいのに、私のことなんかを心配してくる兄を――


 ――パシンッ!!


 思いっきり引っ叩いた。


「バカお兄ちゃん!! そんな体でどこ行ってたのよ!? どうして私との約束破ったの!?」


 膝を着いたまま兄の腰をバシバシと叩きながら、感情に任せて言葉をぶつける。

 普段声を張り上げない私の大声を聞いて、兄は驚いていた。 ゆっくりと兄は言葉を紡いだ。


「葵が泣いてたから。 はぁ。 笑って欲しくて。 お花摘んで来たんだ。 葵はお花が好きだったでしょ」


 兄は手に持った金木犀の束を私に渡してきた。 泥と雨でお世辞にも綺麗とは言い難いが、とてもいい香りがした。


「ありがとう。 でも、無理しないでよ――バカ」


 涙を流して立ち上がり、兄を抱きしめた。 すると兄は安心したのか、そのまま眠るように意識をなくした――。


 兄はそのまま入院することになり、2日間目を覚ますことは無かった。

 兄が入院して3日目の朝、私が兄の部屋に行くと、兄は上半身を起こしてぼんやり空を眺めていた。 私の入室の気がついた兄は、


「おはよう、葵。 迷惑かけて、ごめんね」


 なんて謝ってきたので私は、


 ――パシンッ!!!


 この前よりも強く反対の頬を引っ叩いた。

 目をパチクリさせている兄に私は怒鳴った。


「違うでしょ! ”ごめん”じゃなくて”ありがとう”でしょう!!」


 泣いて怒る私は、兄に倒れ掛かるようにしがみ付いた。

 安堵と今更にやってきた兄を失うかもしれなかったと言う底知れぬ恐怖に堤防が崩壊して、泣きじゃくる私をただ優しく受け止め、頭を撫でてくれていた。

 数分間泣き続けて落ち着いた頃、兄はこう言った――


「ありがとう、俺のために。 それと約束破ってごめんな」

「もう、絶対にあおとの約束破らないでよ。 それと私の前で無理はしないこと、苦しかったらあおに言って。 約束だよ」

「ああ、約束だ」


 これが私と兄との約束。 これを破ったのは本気でムカついたね。 ポッと出の女にうつつを抜かし、私との約束すっぽかすとかありえない。

 でもまぁそろそろ許してあげるかな――。



 *



 目が覚めた私は時間を確認した。 今は午前5時40分、兄はまだ寝ている時間だ。 パジャマのまま、兄の部屋へ潜り込む。


「おはよう、ございま~す」


 ドアを開けて小声で中に入っていくが、やはり何の反応も無かった。

 ベッドに近づいて、折角なので寝顔を見ておく。


(本当にいつ見ても、間抜けな寝顔なんだから。 ふふ、可愛い)


 指で鼻を突いてやると「ふご」っと反応してつい笑ってしまった。

 本当ならいつまででも、この幸せ全開満開の間抜け面を見ていたいけど、ここに来た目的は別にある。


「お邪魔しま~す。 ふふ、温い、温い」


 兄の布団で2度寝することだ。 布団に潜り込んで、兄の体温と香りを堪能していたら、兄が起きてしまった。


「ん? ――な! あ、葵!? え、何で?」


 いつもの兄ではあまり見ることの出来ない動揺した兄を網膜に焼き付けて、


「おはよう、さっそく昨日の券、使わせてもらったよ。 お兄ちゃん」


 そうしてまた、今日も大好きなお兄ちゃんとの1日が始まる。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうごさいました!


今回はいつもの2倍の近い分量になってしまった…………。

葵への愛が溢れでちゃった。


次回タイトル!

  『妹の力』

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