幕間 みんなでお出掛け
『着たぜ! カラオケ!!!』
「「いえ〜い!!!」」
マイクを片手に喜ぶ裕吾の声に歓声をあげる、葵と結城ちゃん。
僕らは卒業式の後、そのまま地元のカラオケルームに来ていた。
「盛り上がってるね〜」
「そうだね。 あ、松葉君飲み物何頼みますか?」
盛り上がる3人をよそに、僕と竜胆さんはカラオケのグランドメニューを見ながら飲み物を選んでいた。
カラオケは嫌いじゃないけど、ワイワイ騒ぐのは好きじゃない。 疲れる。
『おいおい、陽喜、盛り下がってんじゃんか! テンション上げてこーぜぇ!』
「おお、あんまり騒ぎすぎて喉壊すないよ」
マイクを持って話す裕吾から、カラオケのタブレット端末を受け取ると、曲を選ぶ。 割と王道な曲にばかり普段歌ので直ぐに決まる。 俺らの世代なら聞いたことのある、バトル系のアニソンにした。
「お兄ちゃん好きだよね、この歌」
「まぁな、昔アニメ好きだったし、気分上げるにはいい曲だからね」
「私もこの曲知ってます」
「陽喜の十八番だなこの曲は」
「松葉先輩の歌初めて聞きます、楽しみです」
何だから皆に注目されてしまった。 ちょっと気恥ずかしさがありながらも、立ち上がって歌い始める。
『〜♪』
(松葉君の歌声、素敵だな。 歌ってる姿もかっこいいな〜)
(兄さんはやっぱりかっこいい! たまに語尾が少しセクシーになる感じも最高!)
(葵ちゃんのお兄さんこんな感じに歌うんだ。 にぃが十八番って言ってるだけあって、自信ある感じで普段よりかっこいいかも)
(飲み物何にすっかな〜)
それぞれ全く別のことを考えながら、カラオケを楽しんで過ごしていた。
順番に歌えそうな曲でデュエットをしたり、無料の衣装をくじ引きで選んで着て歌った。 お昼ごはんにピザとポテトを頼んで話に花咲かせながら、時間は過ぎていった。
「ああ〜、歌ったな」
「そうだな〜」
裕吾と方を並べて、ウィンドウショッピングを楽しむ女の子達の後ろを歩いている。
「しばらく、この面子で学校に行くこともなくなるのか」
目の前を歩く結城ちゃんと葵を見て裕吾はしみじみと言った。 確かに俺と裕吾、竜胆さんは同じ大学に登校できるが、結城ちゃんと葵は2年生から3年生に進級するが大学と高校に分かれてしまう。
「まあ、確かに別々になるけど、またこうやってみんなで集まって遊べばいいだろ?」
物寂しそうな顔をしていた裕吾は俺の言葉を聞き、少し驚いなように目を見開き
――バシッ!!
自分の顔を叩いた。 そして俺に「そうだよな」っといつもの笑顔をみせた。
「大学って言えばよ、盤上遊戯戦線が楽しみだな!」
「名物だからな〜。 15歳以上なら誰でも参加できるから、葵達も誘って参加するも楽しそうだな」
俺の提案に「おお、いいなそれ!! 俄然楽しみだぜ!」と興奮を隠せない裕吾。 かなり楽しみな様子で「能力をもっとうまく扱えるように春休みは特訓するかな〜」と頬の緩んだ裕吾は独り言を漏らしていた。
「お兄ちゃんたち〜、置いていっちゃうよ〜」
「バカにぃなにニヤニヤしてるの、キモ」
「2人で何話てたの?」
ウィンドウショッピングをしてきた、女の子達が戻ってきた。 兄を汚物でも見るような目で見ている結城ちゃん、結城ちゃんの言葉と視線に傷つく裕吾、悪そうな顔をして微笑んでいる葵、俺らの会話を気になって顔を近づけてくる竜胆さん。 一緒にいて飽きることはないなと思いながら、みんなのもとに一歩近づき
「裕吾とみんなで盤上遊戯戦線に出場したら楽しうだなって話てたんだ」
少し驚く竜胆さんと結城ちゃん、葵と裕吾はニヤリと笑って俺を見る。 そして俺も、みんなに笑顔で「楽しみだろ!」と口にしたのだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
幕間が始まりました、あと4話あります!
書きたかったお話を書きたいと思います!
また読んでいただけたら嬉しいです。
次回予告!
『恋人初デート』




