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エピローグ 卒業式

 俺との対決、竜胆さんへの告白から2ヶ月後。

 俺は今、高校の卒業しに参加している。 端的に言えばこの2ヶ月間忙しかった。 まず能力がなくなったことを学校に知らせたら色々検査させられたし、質問もされた、はっきり言って面倒だった。 そして竜胆さんのガスマスクも外れ明るくなった彼女は人気者になった。 そんな彼女には俺という彼氏がいることがすぐに知れて嫉妬の視線に苛まれる日々だった。 唯一の友人の裕吾にも竜胆さんとのことを根掘り葉掘り聞かれた。 そんな感じで怒涛の勢いで過ぎ去っていった2ヶ月間だった。


「疲れたな〜」

「たしかにな、校長の話は長いよな」


 校長の話を聞きながらそう言葉を漏らした俺に顔を少し後ろに向けて話しかけてきた裕吾。


「前向けよ、怒られるぞ」

「いいじゃねぇか、俺も飽きてたんだ」

「そっか」

「なぁ、お前は今日この後どうするんだ? 彼女とデートか?」

「いや、特にそんな予定はないな」

「なんだよつまんねーな。 まぁけどそれならいいや、俺も暇なんだ、一緒にカラオケでも行こうぜ、彼女と俺らの妹誘ってよ」

「クラスの打ち上げには行かないのか?」

「別にな、お前以上の親友いないし、意外かもしれないが大所帯は苦手なんだよ」


 そいう裕吾は頬を掻いた。

 確かに意外だった。 こいつは馬鹿だけど優しくて良いやつだから友人は多い。 そんなやつも大勢は苦手なんだなっと思っていたら、鋭い視線を感じ横を向くと担任が刃物のような目で俺らを睨んでいた。


「裕吾、そそろやばいぞ」

「だな、まあこの話はまたあとでな」

「ああ」


 担任の視線で真面目さを取り戻し式に集中する。

 普通は高校の卒業式は泣いたりするものだと思うが、俺は大して悲しくなかった。 なぜなら竜胆さんも、裕吾も俺も同じ大学に行くからだ。


(裕吾と志望大学が同じだったのは知ってたけど、竜胆さんとまで同じだった時ときはびっくりしたけど、それ以上に驚いたのは、裕吾が受かったことだよな〜)


 いつも一緒にいる人達と同じ大学に行けるのだ、悲しくも寂しくもない。 むしろ楽しみなくらいだった。

 卒業式も終わり、教室で最後のHR(ホームルーム)をすませると、鞄を持って外にでた、裕吾は出る際に打ち上げに誘われていたけど「先約があるんだわりーな、また今度大学生になったら近況報告もけて誘ってくれや」とにこやかにいって惜しまれながら教室を出てきた。


「本当によかったのか?」

「ん? ああ、お前らと一緒の方が気を使わず自然体でいられるからな。 Lifeで繋がってるからな、いつでも連絡は取れるし気にするな。 それよりささっと校門へ行こうぜ」

「そっか。 そうだな」


 俺らは足早に下駄箱に行ったら、竜胆さん、葵、結城ちゃんがいた。


「お疲れ様、松葉君、鶴間君」

「遅いよ、お兄ちゃんたち」

「どこほっつき歩いてたのよバカにぃ」


 どうやら待っていてくれたみたいだ。 葵と結城ちゃんはご立腹のようだった。

 葵は俺の前に立って「遅れた罰だね、お兄ちゃん」と言いながら俺のブレザーの第一ボタンを引きちぎった。


「え!」

「ふふ」


 ボタンを引きちぎられたことに驚愕する俺を他所に、葵は満足そうに戦利品を眺めていた。


「あ、妹さんズルいです。 私にも記念に松葉君のボタンください」


 葵を見て羨ましそうに声を出す竜胆さんは、両手で、手皿を作りボタンをねだってきた。


「ボタンなんて貰ってどうするの?」


 そうい言いながらも第二ボタンを取り外す俺。 葵は簡単に引き千切ってたから楽に取られると思っていたけど、しっかり縫い付けてありなかなか取れなかった。


(……葵力強いな)


 ようやっと取って竜胆さんに手渡す。 竜胆さんは嬉しいそうに手皿に乗ったボタンを見て、そのまま胸に抱きうっとりしている。


「確かにボタンそのものに意味はないけど、誰に貰ったかが大切なんですよ。 ありがとう、大切にしませすね」


 みんながいる前でやられると嬉しいけど、恥ずかしいなと思い、一度視線を逸らして竜胆さんに戻すと近づいていた。


「うぉ、ど、どうしたの?」

「これ、私のボタン。 2つとも松葉君に貰ってほしい」


 視線をそらした一瞬のうちに両方のボタンを取った竜胆さんは俺にボタンを渡してきた。


(は、早い。 さっきまでちゃんとボタン留まってたのに。 俺だけなのかな、ボタン取るのに手間取ってるの。 何か悲しいな)


 女子2人の力の強さ(?)を目の当たりにして少し悲しくなる俺だった。

 少し肩が落ちいた俺の背中をバシッと叩いて、先を歩き微笑む裕吾。


「おら、そろそろ行くぞ〜。 予約の時間に遅れちまう」

「うん、そうだね。 行こう、竜胆さん」

「うん」


 裕吾の声で前を見て、歩きはじめる。 竜胆さんへ手を伸ばし、お互いに見つめ合って微笑む。

 竜胆さんと手を繋いで、みんなで一緒に歩いていく。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

第1章もエピローグを迎えることができました!

やった〜、嬉しい♪

次回からは数話幕間として、陽喜達の日常やちょっとしたイベントが書かれています。楽しんでいただけると嬉しいです!


次回予告!

  『幕間 みんなでお出掛け』

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