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第2話 出会い

やっと2話です!

よろしくお願いします。

 いつもの様に朝起きて、妹と登校して授業を受け、放課後になった。

 今日は予定もないし久しぶりに屋上でのんびりだらだらしようかなっと思い1人で屋上に行った。 都合よく先客は居なかったので、ベンチに腰掛けて先日古本屋で買った本をゆっくり読んでいた。


( 古本屋侮れないな、結構面白い。 今日の帰りにでもまた寄ろうかな~ )


 本を読み終わり、空を眺めて考えことをしていると抗い難い睡魔に襲われた。


( ……眠いな。 少し寝たら帰りにまた……本屋に…………よろうかな…… )


 何か良い本があるといいなと考えながら


「………すぅ、…………………すぅ」


 僕は、いつの間にか夢の世界へ旅立った――――



 *



 Side : 司


 平凡な毎日を送り、今日も誰ともお喋りせずに放課後になってしまった。

 図書室へ借りていた本を返却しに向かっていると、すれ違う人たちにチラチラと見られ、指を差される。 この見た目ではしょうがないけど、あんまり気分は良くない。


( まぁ、仕方ないよね、この見た目じゃ。 なんて可愛らしくない姿なの )


 廊下の窓硝子に映る自分を見て、そう思う。 肩甲骨あたりまで伸びている長く艶のる黒髪、それと口元についているガスマスク。黒々としていて無骨で、お洒落の欠片も無い。


( 三島さんに小型化出来ないか聞いてみよう。

  それかお洒落にならないかな~ )


 三島さんと言うのは、私が付けている “特殊耐熱マスク” を作ってくれた特殊装備技能士の女性でとてもお世話になっている人です。


 図書室で借りていた本を返却した後、そのまま適当な本を手に取り、出入り口から1番遠い窓側の席に座り読書に勤しむ。


「…………………………」


「……………………………………………………」


 読み始めてから、しばらく経った頃、ふと視線を上げてみると世界は美しい茜色に染まり、小さな埃が宙を舞いキラキラと輝いていた。


( 綺麗……いつの間にか夕方になってるし、夢中になり過ぎちゃった。

 今日は雲も少なくて夕日がとっても綺麗だし折角だから観にいこうかな )


 読んでいた本を元の場所に戻して、図書室をあとにする。

 校舎の中はとても静かだった。 運動部の練習の掛け声はいつの間にか聞こえなくなっていた、廊下を歩く自分の足音だけが辺りに響いて、その音がやけに大きく感じてしまうのは何故だろう。


( なんだか、この世界に居るのが私だけみたいで寂しいな。 なんちゃって、そんな訳ないのにね )


 少し気分が落ち込んでしまったようだった。

 はやく夕日が綺麗に観える場所を探さないと、完全に日が沈んでしまう。 いろんな教室に入ってベストポイントを探していたが中々見つからなかった。


( どこか、いい場所ないかな? ……あ、屋上! まだ開いてるといいな )


 急ぎ足で屋上へ向かう。

 屋上までに道のりに何人かの生徒とすれ違って、ちょっとホッとしている自分がいた。

 屋上の扉は運よくまだ開いていた。 ドアをけるとそこには、世にも美しく幻想的な空間が広がっていた。

 もう沈みかけの夕日の明かりで、空は茜色と暗いマゼンダ色のグラデーションを成していて、蠱惑的な空模様だった。

 ついつい目えを奪われてしまった。


( こんな、空ならずっと見ていたいな )


 誰も居ない様だったので新鮮空気を吸うために、一度マスクをとって、深呼吸した。

 気持ちが凪いで空をジッと眺めていると、何処からか懐かしいメロディーが聞こえて来た。 この音楽を聴くとお家に帰らないとって思ってしまう。

 ひんやりとした風が髪撫でていき、そのまま鼻をくすぐっていった。


( あ、いけない! くしゃみが――― )


「はっくしょん………はくしょん………へくしょん!」


 くしゃみと共に紅い炎が3度上がり、私の視界を茜色よりも紅い()()()()()()()が支配した。

 炎のせいで私の前方は火の海になり、花壇の花も、ベンチも燃え上がっていた。


( しまった! 人が居なかったからまだ良かったけど…………これは弁償になっちゃうよねどう考えても )


 目の前の光景に目をやり、今後のことを考えて少し嫌になっていたら、先まで燃え上がっていたベンチから人影が起き上がった。


「う、嘘……だ、誰か人がいたなんて、私知らなくって……………え? でも、生きてる? 何で? 」


 私はうろたえて驚愕のあまり、気が動転してしまった。 私のドラゴンブレスで焼かれているのに生きている事に恐怖して、足が勝手に動き数歩後ろに下がっていた。


「君が……君が、さっきの温もりをくれたの?」


 燃え上がるベンチの前に立っていて、姿は良く見えないけど声は優しそうな青年のものだった。


「え? ぬ、温もり?」

「そう、温もり。 あの暖かな紅い炎は貴女の力ですか?」


 こちらへ振り返り、ベンチを飛び越えこちらへ歩いてきた。 全裸で。


「へ?………な!? な、なんでも良いから、服を着てください!!」


 こちらに来た男子は私の炎で制服が燃えてしまった様で、全裸だった。


( わぁわ、はじめて男子の全裸を見てしまった! )


「何でも良くはないんですよ! 僕にとっては大事な事なんです! 答えて下さい、貴女の能力なのですか? どうなんですか? 」


 全裸の男子は私の方へ一歩、また一歩近づいてきて、問いただしてくる。 私との距離をジリジリと詰めてきて、私も彼が一歩踏み出すたびに一歩下がり、やがて屋上の扉の前まで追い詰められてしまった。

 両手で目を覆っているけど、私も年頃の女の子であって異性には若干の興味はあるから、指と指の隙間からチラチラと見てしまう。


「後で何でも話すから、そんな格好で近寄らないで! お願いだから! せめて前を隠して! やめて~!」


 私の声が静かだった学校に響いた。



 *



 Side : 陽喜


 屋上で会った女生徒に追い出されて、誰にも見つからないように、そそくさと教室に戻りジャージを着る。 「話しがあるなら待っててあげるから、早く服を着てきて!」っと言われたので早く戻ると屋上には彼女の姿は無く


「あれ、思ったより早かったね」


 そう言ったのは、妹にガスマスク先輩と呼ばれていた、竜胆司が目の前にいた。


「こんばんは、竜胆さん、ここに竜胆さんと同じくらいの背丈で同じ黒髪ロングヘアの人いなかった?」

「うん? 何言ってるの? それ私でしょ?」


 竜胆さんは不思議そうに首をかしげた。 僕はそう言われて竜胆さん体や隅々まで見ると確かに、彼女と同じで長くて艶のある髪、背丈や目つきも瓜二つだった。


「竜胆さんだったんだね。 ごめんね、ガスマスクしてないから君だって直ぐに分からくって」

「う、うん、大丈夫きにしてないよ」


( あきらかに気にしてるよな、悪いことしちゃった。 まあ、失礼だよね、マスクでしか認知してないって言ってる様なものだもんね )


 若干の罪悪感を抱いたけれど、今は脇においておいて、竜胆さんにお願いする。


「それで竜胆さん、さっきの炎は君能力でいいんだよね?」

「うん、そうだよ。 気になってるみたいだからついでに教えておくと、私の能力は【竜の息吹(ドラゴンブレス)】は私の吐く息は大体、摂氏500度から1200度くらいの炎になるの。 恥ずかしい話まだ全然制御が出来なくて、呼吸や吐息やくしゃみも炎になってしまうの。 だからこのマスクをいつも付けてるの」


 丁寧に教えてくれる竜胆さん、普段目にする彼女の姿からは想像できないくらい饒舌だった。 他クラスだからそこまで詳しいわけではないけれど、廊下で見かける彼女はいつも物静かで他の生徒とは一線を引いているように見えた。


「そっか、ありがとういろいろ教えてくれて。 それでなんだけど、もし良かったら君の(能力)を貸してくれないかな」


 竜胆さんに素直にお願いしてみると、彼女は不思議そうに目をしていた。


「どういうことなの? こんな能力なんの力になるの?」

「それはね、僕の能力に関わることなんだよ」

「君の能力?」


 竜胆さんの呼び方で1つの過ちに気がついた。


「あ、ごめんね。先走っちゃって自己紹介がまだだったね、僕の名前は松葉陽喜ですよろしく。 学年は君と同じ3年生だよ」

「あ、こちらこそ。 お互い廊下とかで顔は知ってるいるけれど直接話すのは初めてよね。

 ご存知の通り私は竜胆司、よろしくね松葉君。 それで、私に何をして欲しいの?」

「ああ、率直に言うと君の能力で僕のことを暖めて欲しいんだ!」


「……………………」


 なんだろう、まるで度し難い変態を見るような冷たい目で見られてる。 もしかして今の一言で何か盛大に勘違いをされていないだろうか。 例えば自傷癖のあるドMの変態……とか?


「なにか勘違いをいているようだけど、違うからね。 別に自殺志願者でも、自傷癖のあるドMでもないからね! いたって真面目なことをお願いしているんだ」

「ふ、ふ~ん。 そうなんだですね。 それはいいけどもう帰っていい?」

「嘘だ、絶対信じてないでしょ!? 待って、お願い最後まで話を聞いて!」


 屋上から去ろうとする竜胆さんの制服の袖を掴んで、必死に呼び止める。


「ちょ、わかりましたから。 て、手を離してください」


 どうやら、呼び止めるのには成功したようだった。


「さっきも言ったでしょ? 僕の能力に関係することなんだって。 僕の能力は【耐熱】なんだ。 摂氏0度から1000度までの自分の体温以外の熱はすべてシャットアウトされるんだ。 それに摂氏1000度までの熱なら僕の体には何の傷もつかない。 だから、能力が発現してから、”暖かい”と感じることは今まで1度も無かったんだ。 だからさっきは興奮気味になってしまったんだ、ごめんね」

「…………そう、だったんだね。 分かりました、私のせいで制服も駄目ににてしまったし、それくらいでよければ力を貸しましょう」


 そう言ってくれた彼女の目には薄っすらと涙が滲んでいた。


「ありがとう! でもなんで涙目なの、目にゴミでも入ったの?」

「ち、違うの。 松葉君の能力の話を聞いて、悲しくなっちゃって。 だって、猛暑でも寒くても、誰かが触れても何も感じることが出来なかったんでしょ? もし自分がそうならって思うと、寂しくて……」


 ああ、この人はこんなに優しい人だったのか。 もっと暗くて他人に興味がない人だと勝手に思い込んでいた。 他人の事にこんなにも真摯に受け止めてくれるなんて、中々出来ることじゃない。 あの能力の持ち主が彼女で良かった。


「そじゃあ、改めて。 僕に”温もり”を教えてくれませんか?」

「はい、喜んで」


 差し出した手を優しく包んで、笑顔で答えてくれた。


 こんなに優しい彼女の手はさぞ暖かいんだろうな、と思い試しに意識を手に集中させてみたが

 ――――やはり、彼女に包まれた手には何の温度も感じなかった…………。

最近ちょっと忙しいかったので、少し遅れてしまってごめんなさい(T^T)


最期まで読んでいただきありがとうございました。


次回タイトル!

   『葵ちゃんはご機嫌斜め』

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