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第15話 松葉陽喜

最後に投稿してから2年と3ヶ月大変時間がかかってしまいましたが、読んでくださると嬉しいです。

よろしくお願いいたしますm(_ _)m

Side : 司


「行ってらっしゃい」


ダイアさんが微笑みながら言うと炎の玉は毛糸玉のように変化して、徐々に体を包んでいく。

炎の糸に体を包まれたあと、私の意識は徐々に薄れていった。





「……ここは」


次に目を開けるとそこは、真っ暗な空間に自分の周りだけスッポトライトが当てれたみたいに明るい。 私を中心に約1メートルの範囲だけが白い床になっている。


「ここが松葉君の心の中」


私は暗闇の中ただ1人、ぽつんと佇んでいる。

ダリアさんのプランだと心の底にもぐって本能の松葉君と対話なんかをして、昔のトラウマを少しでも軽くしてあげるというものだった。

しかし、一寸先は闇、どこを捜したらいいんだか全くわからない。

けれどもここで、立ち止まっていてもなにも始まらないし変わらない、取りあえず歩いて松葉君を捜してみよう。

一応真っ直ぐに歩いているつもりだけど、目印になるものが何も無いから、もしかしたら辺りをグルグルと回っているんじゃないかと思ってきて怖くなる。

私の体以外は何も見えず、全てが闇で、足音と息遣い、衣服が擦れる音しかしない。 寒さも暖かさもない。 私以外何も無い空間、ここに来てどれくらいの時間が経ったかな暫く歩いたり走ったりしているけど、時計もないし太陽の光もない、体感的には10から15分程度。


(風景もなにも変わらない。 ランニングマシーンに乗ってるみたい。 松葉君は一体どこにいるのかな? そういえば、歩いているだけで、呼んでみたりはしてなかったな)


「松葉く~ん、どこにいますか? 出てきてくださ~い」


試しに呼んでみたら、前方に松葉君が現れた。 私と同じく松葉君の周囲は円状に明るく照らされている。 私は松葉君に近づいていき話しかける。


「こ、こんにちは、松葉君」

「……ん? 誰ですか、貴女は?」



―――チク



松葉君は真顔で、私を見ながらそう言った。

胸に針が刺さったかのような痛みがする。


「こんな所に来る人がいようとは驚きです」

「まあ、どうやってこんな所まで来たのかはわからないけど、十中八九表の僕の知り合いなんだろうね。 君がどこの誰かはきになるけど、今僕は君の事をまったく知らない。 出来ればどういった目的でここに来たのかも含めて自己紹介してくれない?」


いつもの松葉君より遠慮がない喋り方で他人行儀、違和感を拭えないながらも、言われたとおり自己紹介を始める。


「私は竜胆司って言います。 ここには松葉君の少しでも救うために来ました」

「竜胆、司さん、ね。 よし、覚えたよ。 けどわからないな、救うって何からだい? 目下僕の脅威は君なんだけどね。 人の心の奥に無断で入り込んできた、危ない人。 それが今の君の評価だよ。 僕から見た危険人物の君が、何から僕を救うんだい?」


大好きな人から、危険人物とか危ない人なんて呼ばれると、かなり傷つく。

胸を手で押さえ、悲しい気持ちを奥へ仕舞う。


「松葉君のトラウマ。 君の笑顔を曇らせるものを取り払いに来たの。 無断で入り込んできたのは謝ります。 松葉君ごめんなさい」

「トラウマ……ね。 嬉しいよ。けれどいささかお節介が過ぎるんじゃないかな?」

「ぅ………そうかもしれないけれど、松葉君の妹さんとも約束したんです。

だから、お節介だとしても私は貴方を救います」

「そうかい、救ってくれるのはありがたいけど、僕は松葉陽喜の本能。 本能として僕の中に無断で侵入してきた者、詰まりは外敵を排除する役割がある。 防衛本能と言うやつさ。

 だから、ごめんね竜胆司さん、個人的に怨みとかは無いけれど、これが僕のやらなきゃいけないことなんでね」


松葉君はそう言うと、片手を振り上げパチンッ!っと指を鳴らした。 すると私と松葉君の周囲以外は暗闇に包まれていた空間が一瞬で民家のキッチンになっていた。


「ここは、キッチン?」

「そうだよ、ここは僕の家のキッチンさ。 ここは心の1番深い部分、だから今までの人生の中で1番印象深い風景になる」


(この風景が松葉君にとって、今までの人生の中で1番印象深い風景。 やっぱり、どうにかしたい。 今までの人生で1番印象深いことが辛い事なんて、そんなの悲しすぎる。 そういうのは嬉しい事、楽しい時の思い出あるべきだと思う)


「さあ、始めようか。 ここまで僕を追ってきてくれたお礼に痛みを感じる暇なく君を排除しよう」


そこには私を殺す大きな刃が出現した。 瞬く間に私の首を切り落とそうと、刃が風を切り直進してくる。


形態(Mode)変化(change)竜化(Dragon)!』


竜化してこちらに迫る刃を塵にする。


「……人が一瞬で終わらせてあげよとしたのに、君は中々強いみたいだね。とても厄介だ、直ぐに終わらせるのは難しそう」


指を鳴らした松葉君の手には大きな鎌が握られていた。


「行くぞ」


松葉君が私の方へ向かって来た、尋常ならざる速度で。


(速い!!)


「何故驚く、ここは僕の中だよ? 自分の中で自分の身体機能をいじることくらい造作も無いことだよ」


瞬間的に間合いを詰めて足を切断しようとしてきた、狭い空間で翼を広げようにもなかなか出来なくて一瞬反応が遅れてしまった。


「ぁ……しまっ!!」

「ふっ!」


左足が残ってしまい、足首が切断された。


(い、痛い! 痛い!! 痛い!! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!! なに……が!??!)


切断面が酷く熱い。 死ぬほど痛くて、意識が飛びそうになる。 床に転がり涙を流しながら切断面を両手で強く押える。


「……ぁあああああ!!!」


上手く呼吸が出来ない、痛みで思考がまとまらない。激痛で涙が止まらない。


(痛い! 痛いよ! 痛い! 妹さんのときとは比べものにならないくらい痛い!!)


「痛めつけるつもりはなかったのですが、ごめんなさい。 これで終わりにします。 ここまで来てくれたことは嬉しかったですよ。 こんなこと僕が言うのもあれですが、竜胆司さん、表の僕とも仲良くしてあげてくださいね。 ごめんなさい」


大きく振り上げられた鎌が私しの首を切り


―――スパッ

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!


この2年は仕事でバタバタしたり、設定をしっかり考えて過ごしてきました!

まだまだ文章は稚拙ですが、楽しく読んでくださると嬉しいです!


これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

今後は毎週1話更新していきます!



次回予告!

   『死の恐怖』

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