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ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る  作者: るちぇ。
第1章:愉快でトリッキーな仲間たちと
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悪魔に言われた悪魔より悪魔な

 女性は何度も何度も頭を下げるが、男の怒りは収まらないらしい。


「お前はクビだ! 書類仕事もこなせないんだ、文句は言わせない!」

「ま、待ってくれ! 私は働きたい! お金を貯めて冒険者になって――」

「黙れ! こんな簡単な業務もこなせないで、何が冒険者だ!」

「ちょっと、そこの貴方」


 ルークは努めて冷静な口調で男に声をかけた。


「あ? あぁ、ギルド創設の受け付け申請をしに来た方ですね。申し訳ありませんでした、うちの馬鹿が大変なご迷惑を」

「お客人、誠に申し訳ない!」


 後ろで歯ぎしりする音が聞こえたルークは、一度振り返って首を振った。


 そして男に向けて言葉を発する。


「本当に申し訳ないと思っているのか?」

「え、えぇ、そりゃもう」

「だったら、代わりにギルド創設の申請書を出してくれ」

「え? いやぁ……しかし、ご覧の有様でして」


 受け付け内は酷い状況だ。


 棚という棚をひっくり返したため、ありとあらゆる書類が散乱している。


「ここはギルド創設の受け付けだろ? なら、あの中に必ず申請書があるはずだ。なんなら、俺たちが探してもいい」

「い、いやいや、冒険者様にそのようなお手間をかける訳には」

「そうか? なら貴方でいい。あの中から探し出して来てくれ」

「し、しかし私は担当部署が違いますから」

「あー、もう、じれったい!」


 痺れを切らしたイブリースは、ツカツカと男に詰め寄る。


「この人はクビなんですよね!? つまり、この後は自由って事なんですよね!?」

「え、は、はい。その予定ですが」

「だったら話は終わりです! 貴女、私たちと一緒に来て下さい!」


 突然振られた女性は目を白黒させた。


「え、えっと、私がか?」

「そうです! 貴女を私たちの仲間として迎え入れて、冒険者として働いて貰います! いいですよね、ルーク!?」


 本当はもっと追い詰めてやりたいところのルークだったが、あのまま喧嘩になっても誰も得しない。


 むしろこの流れに乗った方が遥かにマシと考えた。


「貰い受けたいな、貴女を」

「わ、私を……!? わ、わかった。不束者だがその……どうぞよろしく。管理人、今までお世話になった」

「あ? あぁ、それは別に構わないが……」


 3人は元いたテーブルに戻った。


 心なしか、女性の頬はほんのりと朱色に染まっている。


 その表情を見て、ルークは何と言ったものかと悩んだ。


「まったく、人間のくせに悪魔より悪魔に見えましたよ。あの悪魔め、悪魔に悪魔って言われたぞ、やーい、バーカ。この悪魔―」

「落ち着け。悪魔、悪魔って言い過ぎてもはや意味がわからない」


 そう言いながら、ルークは心から感謝していた。


 イブリースのお陰で、一気に話しやすくなったのである。


「あのさ、その、名前を聞いてもいいだろうか?」

「む、これは失礼した。旦那様に自己紹介もまだだったとは」


 ――旦那様?


 イブリースが光の速さでルークの顔を見た。


 これに対し、ルークは負けじと首を横に振る。


「改めて、私はアイリス。その、後で失望されたくないから言うが、私は人間と悪魔のハーフだ」

「なるほど、ハーフか。だからあんな扱いを受けていたんだな」


 ハーフは人間界、魔界ともに肩身の狭い思いをする。


 出生率が低く、彼らだけの集落を作るのもままならず、大抵はアイリスのように扱われて死ぬとされていた。


 これには何度も何度も頷くイブリースであった。


「あー、そういう事ですか。同じ美しい者としてわかります。美人薄命というやつですね」

「お前……よりによってアイリスと比べたのか? 正気か?」

「なっ!? アイリスはどう見ても美人ですよ!? ルークの目は節穴ですか!?」


 ――そっちにいったか


 ルークは頭を抱えた。


 アイリスはナイスバディの美人である。


 エルフのような金髪、白い肌、青い目、そして長い耳が特徴的だった。


 一方、イブリースの体は何と貧相なことか。


「あぁ、そういう事ですか。私と行動を共にする内に、美少女に対する免疫が付いてしまったのですね。美少女とはかくも罪深いものでしたか」

「おい、イブ。どう見ても軍配は向こうに上がるぞ?」

「な、なぜですか!? 胸ですか!? それとも尻なんですか!? えぇい、男という生き物はやれ胸だの、やれ尻だの、もっと顔で勝負したらどうなんですか、こん畜生!」

「それを俺に言うか!?」

「美人薄命ならブス幸運って言いそうじゃないですか! いい加減、私という悪魔的美少女を隣におけることを喜んで――い、イタタタッ!? ぼ、暴力反対! 美少女に嫉妬しないで下さい! こ、この、やめろーっ!」


 ルークが頬を引っ張り、イブリースは涙目になる。


 それを見て、アイリスはとんでもない発言をした。


「なんと男らしい旦那様だ……」

「「――え?」」


 こうして、新たにアイリスというハーフの者が加わった。


 後に軍神と謳われる彼女だが、その片鱗はまだ見えない。

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