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ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る  作者: るちぇ。
第2章:一筋縄でいかないギルド創設の道
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おぞましい魔族の取引とは

「ロリッ子の型を1000万Gで売ってくれぬか?」


 借金を返すどころの額ではない。


 しかし、相手も魔族ということか。


 相応(?)の対価を要求して来たため、被害者がまず怒りの声を上げた。


「な、なななっ、何を言いやがりますか、メフィスト様!?」


 これに頷いたルークも加勢する。


「そうですよ! このロリッ子を身売りするような真似をして、採算が取れるんですか!?」

「そうそ――待てこら。それは聞き捨てならない」


 加勢とは一体。


 ところで、メフィストはやれやれといった様子である。


「確かに、そこのハーフのようなモデル体型ならばいざ知らず、こやつでは元を取れぬリスクは大いにある」

「ほほぅ、メフィスト様も命をドブに捨てると仰る?」


 敵意むき出しのイブリース。


 しかし、メフィストはニヤニヤしながらこれをスルー。


「人間の欲望は底が知れぬ。黙って素敵な体にハァハァしておれば良いものを、うぅむ、何がどう捻くれたのか。パンツだの糞尿だのに興奮する奇特な奴もおる」


 人間の抱える闇は、魔王軍大幹部すら唸らせるらしい。


「では、ロリコンとは果たして罪なのじゃろうか?」

「え、あの、そういう話でしたか?」

「黙って聞くがよい。いいか、この世には身の毛もよだつ悪魔染みた情欲が溢れ返っておる。ゆえに、あえて言おう。ツルペタ娘とはいえ、人を愛する者はむしろ健全じゃと!」


 どうやら結論に達したらしい。


 メフィストは指を突き付け、決めポーズを取った。


「理解できたか?」

「えーと……とりあえず、人を何だと思っているんですか?」

「いやいや、私を何だと思っているんですかっ!?」


 涙目になりながら食い付くイブリース。


 これに対し、メフィストは満面の笑みを浮かべて、


「天性のロリッ子」


 そんな事をのたまった。


「だから私は違いますっ!」

「では魔王軍幹部の権限において、お主をロリッ子と認定しよう」

「う、うぅ、うがーーーっ!」


 魔王軍幹部と出されては歯向かえないらしい。


 イブリースの中で何かが壊れ、叫び、うずくまった。


「私は美少女、私は美少女、私は美少女……っ!」

「だ、大丈夫、イブ?」

「ノーロリッ子、イエス美少女! そうです、私は美少女――って、何ですか、その胸は?」


 ギロリとした目付きが、プルートの胸を捉えた。


 流れるような動作で、イブリースは鷲掴みにする。


「そうです、格差社会の根源はこいつでしたね。えぇ、私には全く非などありません。悪いのはこいつでした!」

「い、痛たたたっ! ち、ちぎれる! ちぎれるからぁっ!」

「ふはははっ! 真の平等はここから生まれるのです!」


 もはや手の付けられない状況ながら、事態は更に悪化する。


 それはアイリスの呟きだった。


「小さい方が何かと良いだろうに」

「今、何と……何と言いましたか!?」

「い、いひぃいぃぃぃっ!? い、イブッ! 手を、手を離してから怒って! 憎しみを込めないでぇっ!」


 この様子を見ていたはずのメフィストは、真面目な顔をしてこう言った。


「人の業は深い。魔族とはまた別のおぞましさに、ワシは興味を持っておるのじゃ」

「あの、魔族も十分におぞましく見えてならないです」

「はっはっは、そう褒めるな」


 ルークは閉口した。


「さて、自己紹介も済んだところで……どうじゃろう? ロリコンを布教させてくれんか?」

「あの、本気でそういう話でしたっけ?」

「うむ、端的に言うと人間と友好関係を築きたい。それには手向けがいる。そこで、あの至極健全なロリッ子のゴーレムを人間どもに配りたいと考えておる」

「え、えー……」


 ルークは返答に窮した。しかし。


 ――流石に可哀想過ぎる


 壊れてご乱心のイブリース、またその被害を一身に受けるプルート。


 2人を見て、ルークは決意した。


「恐れながら、お断りします」

「なぜじゃ? もう一桁増やしてやろうか?」

「金額の問題ではありません。イブは仲間です。守ってやりたい」

「ほぅ……面白い。貧困者の発言とは思えぬな」


 メフィストはどこまで把握しているのだろう。


 しかし、ルークには関係ない。


「確かに困っています。でも、それと仲間を売るのとは話が別です」

「る、ルーク……!」


 イブリースがいたく感動して涙する。


 プルートは解放され、負けじと涙する。


 アイリスは何ともない。


「ほほぅ、なんと殊勝な奴よ。ますます気に入った。では、こういうのはどうじゃろう? お主、金が欲しいのは山々じゃろう?」

「それはまぁ、そうですが」

「では近場に高額賞金の……そうじゃな、1000万相当のボスモンスターを召喚してやったぞ。それを狩り、金にするがいい」


 ルークは固まった。


 意味がわからなかったらだ。


「え、えーと……どういう意味ですか?」

「言葉通りじゃが? あぁ、そうじゃ。名前は腐敗神竜デッド・ニーズヘッグ。聞いたことはあろう?」

「で……デッド・ニーズヘッグ……っ!?」


 ボスモンスターの中でも極めて凶悪とされる不死属性モンスターだ。


 宵闇の竜クラスのギルドが総力を挙げて、ようやく倒せるかどうかのレベルである。


 そんなのがこの近く――王都近郊に出現したと言うのである


「ふっふっふ、これで遊んでばかりと後ろ指を指されることもない。一石二鳥じゃ」

「あぁ、一石二難だよ!」


 ルークは駆け出した。

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