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ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る  作者: るちぇ。
第1章:愉快でトリッキーな仲間たちと
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普通の仲間が欲しいです

途中、一瞬真面目になりますが、すぐに転落します。

 目標はギルド創設だが、その前にやるべき事は多い。


 100万Gの借金返済、ギルドメンバー集め、土地の選定などなど。


 どこから手を付けたものかとルークは考え、まずは――


「よし、これでいいかなっと」

「何をしているんですか、ルーク?」

「メイジの募集だよ。うちは魔法攻撃が足りていないだろ?」


 掲示板に、メイジ職の募集用紙を貼ったのだった。


 初期ギルドメンバーの募集だけではない。


 借金返済のため、強敵との戦闘に備えようという狙いもある。


「ほうほう、メイジですか。確かに、うちの魔法使いは攻撃魔法が使えませんしね。まったく、自らの攻撃手段を持たないなんて、どういう神経しているんですか? あれですか? 大切な物が欠けている俺ってカッコいいとか、そんな痛い発想ですか? もしそうなら言って下さい。絶交しますから」

「いいか、イブ? 俺の支援魔法は仲間を信頼する証だ」

「あれれ、今日はやけにノリが悪いですね。いつもならうがーーーっ! って来るじゃないですか」

「当たり前だ。これは俺にとって大切な事だからな。ふざけていられるか」

「ほっほぉ~、悪魔である私に隠し事なんて強気ですね。そこまで言うなら――」


 イブリースは訝しげにしながら、ルークの目をじっと見つめた。


 その瞳が深紅色に一瞬染まったかと思うと、たちまち赤面し、プイと顔を背ける。


 そして絞り出すようにして言葉を発した。


「……ごめんなさい」

「おい、どうした? そっちこそ、どんな風の吹き回しだよ? 」

「私、これでも悪魔ですよ? 普段は滅多にやりませんが、その、そこまで言うならって心を覗かせて貰いました。こんな私すら仲間として信頼してくれているって分かりました。だから……その、ごめんなさい」

「……別にいいよ。俺も、支援魔法だけなんて~ってよく言われていたからさ」

「――でもっ!」


 イブリースはバッと顔を上げる。


 涙目になりながらルークの頬を持って、


「私の事をちっぱいだの、ロリだの、頭がおかしいだの、そういう感情も丸ごと見えてしまっては、黙ってはいられません!」

「お、お前っ! それはプライバシーの侵害が過ぎるだろ!?」

「見えたものは仕方ありません! えぇ、これは事故のようなものですから、甘んじて罰を受けなさい!」

「い、イタタタッ! 悪魔が断罪するな! は、離せーーーっ!」


 ひと悶着の後、いやともすると続けながら、2人は顔を突き合わせて口論する。


 採用条件について。


「いいですか!? 性別は男しかあり得ません! バランスを考えて下さい!」

「どうして男限定なんだよ!? 入ってくれるなら性別なんて関係ないだろ!?」

「関係ない!? 冗談はよして下さい! また頭のおかしい女が入ったら――っ!」

「当面の問題は間もなく解決される! だから大丈夫だっての!」


 因みに、その頭のおかしいアイリスは装備を買いに出かけていた。


 タンクが丸裸とか、全裸で冬山に篭るような自殺行為である。


「そんなの些細な問題です! 一番は私の存在が危うくなることですよ!」

「そっちかよ!? それは流石に知るかっ!」

「大体、男女どちらでもいいなら男でも良いじゃないですか! 何をそう意地を張っているんですか? あれですか? 私が奪われるとか考えて恐れを成しているんですか? ふふん、なら仕方ありませんね。こちらから妥協してあげても――」


 ルークは極めて爽やかな笑みを浮かべて、イブリースの肩を掴んだ。


「――男にしよう。いや、もう男しか受け入れられない」

「な、なんですか、その清々しい顔は!? この流れには悪魔の私ですら身震いする悪意しか感じられませんよ!? 一周回ってホモの方がまだ良いんですがっ!」

「安心しろ、他意はない」

「悪意しか詰まっていないじゃないですかっ!」

「さぁ、四の五の言わずに男限定と書き足そうじゃないか。あぁ、そうだ。悪魔的美少女が待っています、とも付けておこう」

「あ、悪魔的美少女……!? ふ、ふふん、しょうがないですね。後で泣いても知りませんよ、ルーク!」


 そうして集まった男は12人であった。


 レベルや才能は調べればわかるが、普通、心までは読み取れるものではない。


 そういうものは長い時間をかけて交流し、明らかにしていくべきなんだろうが――


「男とはいえ、濃い人は危険です。私が内面の選定をしてやりますよ!」


 誘い文句のイブリースも同席し、ちょいと心の中を覗く事になったのだった。


「おい、程ほどにしておけよ? 仲良くなる醍醐味が無くなるぞ?」

「一般人Aを確保するためですから、仲良くなるつもりなんて毛頭ありませんよ?」

「そんな普通の奴なんて本当にいるのか?」

「普通の癖に私のような美少女に憧れる奴は絶対にいますから! まぁ、見ていて下さい!」


 こうして、血で血を洗う面接が始まったのだった。

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