目が覚めたらそこは・・・
深い眠りから徐々に脳を覚醒させていき、やがて俺は目を覚ました。
「・・・・・・・・・・知らない天井だ」
どこかで聞いたことのあるセリフを呟きながら自分の今現在の状況を確認する。
自分はどうやらベットの上に寝かされていたらしい。周りはベットを囲むようにカーテンが配置され、俺の隣には見たこともない機具やら装置やらが置かれていた。
「・・・・・・・ここ病院じゃん・・・・・・」
目が覚めたらそこは異世界でした~・・・なんてそんなこともなく、現代の病院風景がひろがっていた。
どうやら俺はあの助かりそうにもない状況から生き延びることができたらしい。奇跡にも程がある。
今でも鮮明に覚えている。
あの一瞬を・・・。あの光景を・・・。
思い出しただけでも身震いする。
「・・・・・・・・痛っ」
脳が完全に覚醒したせいか体がまるで思い出したかのように痛みを訴えてくる。体のいたるとこが痛かったが一番痛かったのは頭だ。
まるで頭をトンカチでかち割られた(されたことないが)ようにズキズキと痛い。頭を少しでも揺らすとさらに激痛が増す。
そのほかにも体中包帯だらけで所々にうっすら血がにじんでいる。見ているだけで痛々しい。
しばらく頭痛と格闘していると様子を見に来た看護師さんがやってきた。
俺が起きていることを少なからず驚きの表情を見せた後「ちょっと待っててくださいね」と言い、どこかに行ってしまった。その後、その看護師さんは担当医らしき人と他の看護師さんを連れてやってきた。
俺の体や隣の装置など色々調べた後、担当医が俺にことの顛末を教えてくれた。
担当医の話をまとめると、
俺はあの交通事故のあとこの病院に送り込まれ、大手術を受けたらしい。
手術は奇跡的に成功したが、まる2日間目を覚まさなかった。
あと1分手術が遅れていたら君は帰らぬ人となっていた。
そんな内容だった。
「しかし、ほんと奇跡だよー星野さん」
「???」
「あんな事故に巻き込まれたにもかかわらず、生還し術後に後遺症も残さないなんて・・・ほんとびっくりだよー」
「頭か体に何かしらの後遺症は覚悟してもらうはずだったんだけどね、いやあほんとによかった、よかった!」
ガハハっと担当医は笑う。俺も本当にそう思うよ。
後遺症なんて残ったらこの後の生活に支障がでる。
ただでさえ独り身なのだ。誰か俺の世話をしてくれるの?いや世話をしてくれる人なんていない。
一歩間違えたらそんな状態になっていたのかと想像すると運が良かったと手放しで喜べない。
いや、そんなifの世界なんて想像しない方がいい。今ある結果を喜ぼう。
「痛っ・・・・せ、先生・・・・俺はいつ退院できますか?」
「そうだなー、体の状態が良ければ1,2週間で退院できるぞ。それまで絶対安静だがな」
「そうですか・・・・ありがとうございます」
あれだけの事故に巻き込まれたにもかかわらずそのぐらいで退院できるなんて僥倖だ。
さっさと退院して大学の勉強の遅れを取り戻さなきゃな。そろそろ期末が近いし。
ズキン
「痛っ!!」
「む?どこか痛むのかね?」
「はい、さっきから頭痛が・・・・」
「ふむ、まだ本調子ではないのだろう。二日も眠っていたのだからな、一時的なものかもしれん。後で頭痛薬を処方しよう」
「はい・・・・・お願いします」
「うむ、それでも頭痛が収まらなかったら遠慮なくナースコールを押してほしい。いいね?」
そう言って担当医と看護師さんはこの場を後にした。
俺は頭痛を忘れようと頭から布団をかぶり、再び寝ることにした。
以外にも早く睡魔はやってきて、俺は眠りに落ちた。
何度も修正するかもしれません。ご了承ください。