遭遇 そして発砲
本編です
雨が衰え、静寂が訪れる。
少年と少女は銃を向けたまま動かなくなってた。
静寂を破ったのはミラだった。
エルに問いかける。
「貴方は、誰?敵なのは分かってるけど、何故撃たない?」
エルは戸惑いながら答えた。
「あんただって、すぐに俺を撃てただろうに。何故撃たない?しかも、女であるあんたが何故戦場にいる?」
その時。別方向から兵士が数名近づいてきた。
アーガスト連合の者だった。
「その軍服は、味方か......所属を述べよ」
エルは銃を降ろし答えた。
ミラは銃を向けたままだが、このまま撃ったら、間違いなく残りの兵士に殺されるだろうと判断し、撃たなかった。
兵士の数名は少女に銃を向け、膠着状態に。
その状態を解くためエルは答えた。
「第18特別迎撃部隊 エル少尉です。」
兵士はその名を聞くと銃をエルにも向けた。
「何のつもりですか!?」
「我々は第7防衛中隊ゴードン中佐に特命を受け、ここに来た。その内容は、第18特別遊撃部隊の殲滅だ。貴様らには反逆の容疑が出ている。」
「俺たちは命令にしたがってるだけで、反逆なんて考えたことすらありません!」
「お前に出来るのは我が国のためにその反逆の汚名を自らの命で注ぐとこだ」
もう聞き耳を持たなかった。
少年は覚悟して目を閉じた。
銃声が響いた。
発砲の時の硝煙が漂う。
だが、撃ったのと撃たれたのは違う。
少女がエルを撃とうとした兵士を撃った。
鮮血が飛び、地面に倒れた。
絶命していた。
「貴様!!」
銃を向け、発砲したが、避けられた。
今相手してるのは特殊部隊の腕利きの相手だった。
あっさりとかわされ、次々と撃たれた。
弾が切れたらナイフで喉をかっ切り、殺していく。
残り一人の時に丸腰になってしまい、撃つ手がなくなった。
兵士は躊躇いもなく、怒りに身を任せて引き金を引いた。
発砲した。
だが、兵士の銃から撃たれることはなかった。
エルが兵士に向けて撃ったからだ。
脳天を貫かれゆっくり倒れ、絶命した 。
ゆっくり銃を降ろした。
「何故助けたの?」
「俺には居場所はもうない。でも、女の子を見殺しにはできなかった。ただ、それだけだよ......」
エルは何処かに消えようとしたが
「待って」
呼び止められた。
「なに?」
「なら、私の元に来ない?腕も良さそうだし、戦力としては大歓迎だけど」
これが、エルとミラの運命を左右する出会いだった。