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ふと気がつくと、そこには真っ白な世界が広がっていた。音も、風も、臭いも、何も感じない、果てしなく白い空間が、目の前を染めている。
「あれ?私・・・・・・」
朱音はコンクリートに叩きつけられた状態の姿勢から、上半身だけをむくっと上げた。大理石のような硬い感触の床に手をついたが、音は響かない。6秒ほど停止したのち、全身が震え上がって飛び起きた。
「ど、どこだここ!」
頭の思考回路が、まるでミキサーにかけられたみたいにごちゃごちゃになった。落ち着け、落ち着け朱音。深呼吸するんだ朱音!お前ならやれる!と、ぎゅっと目をつむり、胸に手を当てる。
まずは、事故のところから回想してみることにした。朱音は、急いで横断歩道を渡っていたところ、車に、轢かれた。あぁ、うんうん。記憶はあるわ。で、痛いなー死ぬのかなーなんて思っていたら周りから声が聞こえてきた。「大丈夫か」とか「警察」とか「救急車」なんて単語があちこちから飛び交っていたようないないような。