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全く予期していなかった。
朱音はその日、なかなか寝付けなかった。親が共働きで2人の帰りが明け方前になることもしばしばなこの環境だと、どうしても夜更かしをしてしまう。深夜のテレビ番組を何の気なしに眺めたり、お風呂にゆったり浸かったり、友達と長電話をしたりー日常的な時間の使い方を学校や親に支配されている分、朱音にとってそれは天国だった。
ひとしきり羽を伸ばしきっていざベッドに入っても、眠気の気配すら毛ほどにも感じないほど意識は冴えきっていた。いや誰が悪いって自分が悪い。なぜなら、朝と夜の2回インスタントコーヒーを飲み、本当は液晶画面の光が睡眠にによくないと知っていながらさっきまでテレビを見ていたからだ。
何だかイライラしつつ、枕の横の目覚まし時計に手を伸ばす。ライトアップされた目覚まし時計が指している時刻はちょうど1時を回ったところだった。明日は日曜日で学校がないとはいえ、こんな時間に友達に「やっほー起きてる?」なんてLINEしても、既読のまま放置されるか「ごめん寝てるわー」と返信が来るのが関の山だろう。煙たがられるくらいなら、動画投稿サイトで漫才を見て1人盛り上がった方が何倍もいい。・・・・・・客観的に画を想像すると痛々しいが。