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第三十六話 事後処理と死前名

皆様の愛読により、このたびPV10,000アクセス突破しました!!

話数の書き込みを間違えている事に気付きましたので訂正いたしました。

 ――って!

 なんだこの有様は!

 木々はなぎ倒され、いたる所にクレーターが出来ているじゃないか。

 更に信じられない事に近くにあった山が一つ消失していることだ。

 人間同士の戦いじゃないだろ!!

 爺さんなんか顔が引きつっているし。

 おこってんじゃねぇか?

「正嗣。説明してくれるわよね?」

 ニッコリと可愛らしい笑顔で微笑むルスティーナ。

 この惨状に俺は頷くしかなかった。

 だってしょうがないだろ。

 こんな事後処理俺一人で出来るわけがないのだから……


「それにしても大魔王の再来とは。恐れ入ったわよ」

 事の顛末を聞き終え、疲れた顔のルスティーナ。

 あの後、俺とヤザフは吹き飛ばされ風通しの良くなった学園長室に連れて行かれ、事の顛末を一から十まで喋らされた。

 最初の内はルスティーナとミリヤの目が汚物でも見るような目で俺を見ていたよ。

 あれはしょうがないだろ。

 でもその横でスーヤがニヤニヤしているのを俺は知っている。

 アイツめ。

 覚えていろよ。

「やっぱり大魔王なのか?」

「ええ、その呼び方が一般的よ。

 この十三大陸を平定させ、今の十三大陸の礎を築いたのは彼だけど……」

「そうですね。

 十三大陸記によれば――

 彼を怒らせれば地は割れ抉れ、山脈は丘になり、小川は大河になった……

 故に彼の機嫌を損ねた街や国は消し飛ばされた……

 と歴史書に残っていすよ。

 他の書物にも同様の事が書かれています」

 ルスティーナとミリヤは苦笑いで俺に大魔王・アシヲスの事を教えてくれる。

 ここにアシヲスがいたなら絶対オレ様は英雄王だ!!

 そう言っていたに違いない。

 歴史書でこう書かれているのだ。

 間違いはないだろう。

「俺が死前名を隠していても、力を使えば名を明かしたも同然じゃないか」

 そう、俺はここにいる。

 ルスティーナ、ミリヤ、スーヤ、爺さんには言っていなかったのにだ。

 最初にスーヤが

「大魔王の再来だねー」

 なんて呑気に口にしていたのを聞いてドキッとした。

 後々話に聞くと、英雄王……

 いや、大魔王・アシヲスを題材にした昔話は古くからあるようでこの大陸に住んでいる者であるなら知らない者などいないらしい。

 アシヲス、とことん話が違うじゃないか。

 何が英雄王だよ。

 まあ、自分で言っていたからな。

「だから無闇に力を使うべきではないのよ。

 まあいいわ。

 正嗣……私の死前名も受け取りなさい」

「なんでそうなる」

「正嗣の死前名を私は知っているのに私の知らないなんて対等じゃないでしょ?」

「そもそも俺とルスティーナは対等じゃないだろ。

 主と執事なんだから」

「なによ!

 そのエルフ女のは聞き出しておいて。

 私のは聞けないって言うの!!」

 だからなんでそうなる。

 なんだミリヤ、スーヤ。

 何か言いいたいことでもあるのか?

 今さっきから俺を見ているようだが……

 いや、違うか。

 まったく俺は自意識過剰すぎるな。

 ん? なんか二人で頷き合っているぞ。

「マサやん。ワタシの死前名をア・ゲ・ル」

「わ、私も死前名を正嗣さんに受け取って欲しいです」

 スーヤ。ウィンクするな!

 ミリヤまで何を言っているんだ。

 ヤザフは仕方ないとしても、ルスティーナやミリヤ、スーヤの死前名まで背負うなんて俺にはそんな甲斐性ないぞ。

「ちょっと待ってくれ!

 流石に四人もの命を預かるなんて俺には荷が重すぎる」

 そう、俺にそんな資格があるのかと問われれば無いとしか言えないからな。

「私が重いですって?

 ふざけるのも大概にしてくださいよね……

 正嗣。

 私が与える物を拒む権利は貴方にはないのだから」

「――っう。

 それでもさ」

「私の死前名はアルタ・ベス・スノーランドよ。

 も、もう教室に戻るわ!」

 逃げるように学長室から出て行ってしまったルスティーナ。

 ……なんでお前そんなに顔を赤くしているんだ?

 耳まで赤くなっていたぞ。

「くーっ。可愛いなルスティーナ嬢。

 耳まで赤くなってたよ。

 なんだか先を越された感がなるなー……

 ルスティーナ嬢の株は跳ね上がちゃったねミリヤ!」

「そうだね、スーヤ。私達も頑張ろう!」

 いや、頑張らなくてもいいよ。

 それより教室に戻ってくれ。

「ワタシの死前名はアルベルト・ディア・ウィザード。

 マサやんの愛人席はワタシのもんだ!」

「では私も受け取ってもらえますか。

 正嗣さん?」

「ミリヤ早まるなよ。今なら後戻り出来る!

  後悔する前にやめておくんだ!!」

 そうだ。

 きっとミリヤはいいお嫁さんになる。

 だからこそ俺みたいなボンクラより、それ相応の――

「マサやん。

 ルスティーナ嬢に続いて、ワタシの死前名まで受け取っておいてミリヤを受け取らないなんて不公平じゃん」

「そうは言ってもな。

 これは一生を無駄にするかもしれないんだぞ?」

「その時はその時で、マサやんを崖から突き落としてしまえば問題ないじゃん」

 なに物騒なこと言ってんの。

 お前! 余計怖いわ!!

「私の死前名はギルガベア=ジューザスです。

 私は後悔なんかしません。

 私は正嗣さんが好きですから」

 え?

 今死前名の他に聞きなれない言葉が聞こえた気がするんですけど?

「うわぉ。ミリヤ大胆だね。

 死前名と一緒に告白するなんて。

 これは正妻の席を狙っているのかな?」

「は! い、今の、その、えーと……そう。

 私、正嗣さんが作るクッキーがとても好きなんですよ。

 ほらスーヤもう教室に戻るよ」

 スーヤはミリヤに襟首を掴まれ学長室を出て行った。

 なんだ。

 そうだよな。

 ミリヤのような女の子が俺なんかを好きなわけないか。

 でも、俺が作ったクッキーが好きか。

 よし今度またクッキーを作ってあげよう。

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