第三話 洗い場のサラ
アグネスと別れてから間もないが、ようやく目指していた洗い場が見えてきた。
この洗い場には職員が十五人いて作業を日替わりで交代している。緊張感を常に持つためだろうな。
ここでは、洗い、染み抜き、アイロン、乾燥までやってくれる便利な場所だ。この学園の関係者であれば利用は可能らしい。
ちなみに俺もここに出している。
前に一度スーヤの奴が俺のシャツに醤油をぶちまけたんだ。
直ぐに洗ったんだがシミになってしまって落なかったよ。
そこでレスニアさんに相談したら洗い場に出してみろって言われて出してみた。
そしたら綺麗に染み抜きがされて戻って来たんだ。
以来お世話になっている。
洗い場に来るとまず、洗濯届けにサインして中に入る。
あとは洗濯物を洗い場に居る職員に引き渡して、洗濯に出していた物を受け取って帰るだけだ。
「あ、マサツグちゃん! 今日も汗水垂らしながら寮生のパンツ運んでくれてありがとー」
「――ちょ!」
なに人聞きの悪い事さらっと言ってるんだ! 俺の心臓を止める気かぁ!!
って、職員の皆さんが白い目で俺を見てるじゃねぇかよ!
「人聞きの悪いこと言うなよサラ! 俺は中身にしか興味はない!!」
俺の声が洗い場全体にこだました。
サラ。
本名サラベル・ベトナ。
歳は俺と同じ十七で基本黄緑色の作業服に三角巾を頭にしている。
とてもが付くほど元気な子だ。
そう、元気なことはいいんだよ。
ただ、たまに落ち込んでいる時にとドン底に叩き押すくらい手痛い言葉を平気で投げかけてくるから精神的に弱っている時はサラに極力合いたくはない。
「えっと……ごめん。
なんと言うか、その……ゴメンネ、マサツグちゃん。えーとそうだ! ウチ急ぐからまたね」
サラが目をそらした。
しかも引きつった笑顔で立ち去って行く。
はっ! これでは俺が本当にヤバい人になるじゃん。
だってここほぼ女子校だし女が五なら男が一しか居ないような場所で俺はなにを言っているんだ!
俺は手早く洗濯物を下ろし洗濯された物をリアカーに積むと逃げるように洗い場を後にした。
サラ覚えていろよ……
洗濯された物を学生寮の玄関前に置くと午前中の俺の仕事は終わりとなる。
これからが自由時間だ。
寮生の部屋の掃除とかはレスニアさんが一人で行う。
手伝うこともあるがせいぜい廊下や階段たまに玄関の周りを掃き掃除するくらいはお願いされるが、それも希だ。
本当なら鍛錬や読書をしていたいが今日は先約がある。
そう、今朝のルスティーナとの約束であるクッキーと学園長のジジイの所に行かなくてはならないんだ。
せっかくの自由時間が老いぼれジジイの退屈しのぎに使われるのか……
複雑すぎるぞ。
まったく一体なんの用だって言うんだ。
うう、ガッツリ書きたいですけど時間がない。
余裕があれば明日も投稿します。