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第二十三話 起に1・9・4

 あれ、そう言えば俺あの子から寝ている時は起に来ないでって言われていたな。

 どうしよう。

 一応命令だし守ったほうがいいのか?

 でも、それでせっかく作った料理が冷めるのもな。

 ミリヤやスーヤとの約束もあるし……。

「ミリヤ。ちょっといいか?」

「なんですか正嗣さん」

 食堂の準備を済ませて部屋に帰ろうとしているミリヤを呼び止める。

「その、ルスティーナを起に行くのを手伝ってくれるか?」

「あれ? いつも一人で起に行かれているのに今日はどうしたのですか?」

「色々あって、寝ている時は入ってくるなと言われてしまってさ」

「そうなのですか……

 はぁ、ルスティーナ様が羨ましいな……毎日正嗣さんに起に来てもらえて。

 私なら寝たふりしてまでして――……」

 なんだ?

 最後の方はよく聞こえなかったぞ。

 ミリヤは結構独り言が多いよな。

 幸せそうな顔をしているから話しかけにくい時が多いけど。

「よく聞こえなかったけど、ルスティーナの何が羨ましいんだ?」

「え! いえその。

 何でもないです。早く行きましょう」

 ミリヤは顔を赤くしてルスティーナの部屋まで走っていった。

 そんなに俺って嫌われているのか?

 なんかショックだ。

「なんだよ、マサやん。

 ミリヤに嫌われるような事したのかよ」

「何もしてねえよ。

 先にルスティーナの部屋に行っただけだ」

「なんでミリヤがルスティーナ嬢の部屋に行かないといけないの?

 毎朝、マサやん。一人で行っていたじゃん」

「ルスティーナに寝ている時は入ってくるなって言われたんだ。

 しょうがないだろ」

「ああ。ルスティーナ嬢も年頃だからね。

 お父さん勝手に部屋に入ってこないで! 的な事じゃないの?」

 誰がお父さんだ!

 失礼な。俺はまだ十七だぞ。

 子供がいてたまるか。

 まったくコイツはろくな事を言わないな。

「それにしてもルスティーナ嬢の部屋か。

 見てみたいかな。アタシも行っていい?」

「別にいいけど。物を壊すなよ」

「分かっているって」

 俺はスーヤとルスティーナの部屋に向かって歩き出す。

 ルスティーナの部屋の前には俺を置いて走って行ったミリヤが居た。

「すみません。取り乱してしまいました」

 綺麗なお辞儀で謝罪を述べるミリヤ。

 別にそこまで畏まらなくてもいいよ。

「別にいいよ。それよりノックして返事が無かったらお願いな」

「任せなさい。バッチリ起こしてくるよ」

 スーヤ、自信満々だな。

 お前に期待はしてないけど。

「なんでスーヤがいるの?」

「面白そうだから!」

 即答した。あいつは感だけで人生を渡っていけそうだ。

 そんな気がする。

 さて、気お取り直して起こすとするか。

「じゃあいいか。ノックするぞ」

 俺はしまっているドアをノックする。返事はない。

 まだ寝ているようだな。あの寝坊助さんは。

「ルスティーナ。起きているか?」

 当たり前の如く、返事は帰ってこない。

 さて、ミリヤとスーヤの出番だ。

「返事が返ってきませんね。

 やっぱりまだ眠られているようですね」

「よーし。張り切って起こすぞー!」

 ドアに手を掛けると勢いよく開け放ち中に入っていくスーヤ。

 自分の部屋か!

 少しは遠慮しなさい。

 そこは一応、王族の部屋!

「あの、何を用意したらいいのでしょうか」

「ん? ああ……制服を出すだけだよ。

 他の用意は昨日の夜に自分でしているはずだから」

「分かりました。失礼の無いように起こしてきます」

 スーヤに続きミリヤも部屋に入って行く。

 そのミリヤの手によって静かにドアが閉められた。

 大丈夫だろうか。

 いきなり仕事を放棄したようで居座りが悪い事この上ないのだが。

 暫くして、ルスティーナが出てきた。

「おはようルスティーナ」

「なんでマサツグが起に来ないのですか!!」

 顔を合わせての第一声がそれだった。

明日も六時に会いましょう

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