帰還者 前編
早く投稿できるだろうと言っておきながら、半年以上空いてしまいました。
本当に、お待たさせいたしました。
言い訳というか、こうなってしまった原因を活動報告の方でちょこっとさせていただきたいと思います。
では、本当にお待たせいたしました。
本編の方をどうぞ!!!!
地の裂け目奥深く、闇の底に落ちていく。吐き捨てるかのように言われた言葉。憎悪と憤怒の感情が自分を支配していた。それ以外何も考えることはできなかった。後から冷静に考えてみれば、その言葉には侮蔑や嘲笑の言葉以外にも別の意味を持っていることが理解できた。言葉には、自分が全てを失うこととなったあの事象は、単なる時代の流れによるものだから仕方がなかったと、簡単に済ませるようなものでは決してないということが伺えることができる。そう判断することができる言葉ゆえに、簡単に見過ごすわけにはいかなかった。だからこそ、自分は全てを失い、敗北したその日から着実に力を蓄えてきた。新たな力をも手にすることができた。ようやく、自分はあの場所に戻れるのだと、そう思った。全ては、あの日の誓を果たすために。
「全ては、遥か古より紡がれ、受け継がれてきたものの為に、か」
窓から入ってくる日の光以外存在しない自身の仕事部屋で、そう愚痴を零した。愚痴を零した人物、黒のスーツに身を包んだ高齢の男性はタバコを吸いながら窓越しに佇みながら今自分のいる場所に近づいてくる愛孫に思いを馳せていた。
「しかし、かおりから聞いてはいるが、田原の名、これもやはり因果なのかものぉ」
冗談のような物言いをつぶやきながら、男は一度大きく煙を吐き出した。その姿は、どことなく疲れているようにも見える。そんなことをしながら、男は自身の孫娘が来るまでの間暇を持て余していた。男は、この日のために、やらなければならない仕事は既に全て終えていた。後は、自分の孫娘が立案したこの企画に協力して成功させることだけだった。少なくとも、男の孫娘の中では、そのはずであった。
「幾らでも後悔するがいい。幾らでも嘆けばいい。だがしかし、貴様の役目に変わりはない」
マイク越しから発せられたような、ノイズがかかった不気味な女のかすれ声が男の方へと発せられる。だが、部屋には男以外は存在していなかった。その声が男の後ろから発せられたということしか分からなかった。しかし、その声に対して何も不審に思うこともなく、分かっておると何処か諦めのようなやるせない声で男は返事をする。
「『園の使徒』の連中は、目上に対する礼儀がなってないのう。老人が1人で物思いに耽っているというのに、少々無粋ではないのかのぉ」
その声の主に対して男はそう声をかけるが、その声に対する返答は一切なかった。相変わらず、主に従順な犬じゃのぉと明らかに不愉快そうに男は再度、声を発した。
「先程、曇の城が海底から浮上するのを確認した」
その声に対して、少し間があった後にそう返事が返ってくる。未だに声の主はその姿を現しておらず男が何もない空間にただ話しかけているような奇妙な光景ができていた。しかし、今度は男の顔に砕けた雰囲気は一切なくなり何処か遠くを見つめるようなそんな素振りを見せた。先程返ってきた言葉の意味を理解したからだ。
「・・・・・・約束の通り、戻ってきたか」
男はそう言葉にする、加えていたタバコは口からこぼれ落ちて男の部屋の床へと落ちていく。男はその間、まるで走馬灯を見ているかの如く思い出されていく記憶に知らず知らずの内に拳を握りしめていた。
「夕刻にはここに辿り着く。貴様の抵抗如きで、今の奴を止めることなど出来はしない。お前たちは皆殺しにされる。お前の孫も、その友人も。誰1人生きてこの島から出ることはできない」
ノイズがかった声がよりその言葉の重大さを更に際立たせた。刹那、男の影がざわめき、蠢き初める。そして、男の影は一瞬にして男を飲み込んでいく。そのことに対して男は特に驚く素振りを見せず、せっかちだなと愚痴りながらも受けいれる。暫くの間、男の周りには黒い靄が渦巻いた
「契約通りに、儂は物を用意した。この印をどう使うのかは、お主達しだいじゃ」
「・・・・・・確かに受け取った。こちらも、契約通り、微力ではあるが奴に抵抗できる力を与えた」
健闘を祈る。その言葉が言い終わると、声の主である男を包み込んでいた影は、まるで霧が晴れていくように室内の空気へと飛散し、最後には全く何事もなかったかのように消えていった。
「・・・・・・健闘を祈るってのぉ、散々勝てないとほざいとったくせによぉ言うわ。それに、どの神に祈れというんじゃろうかのぉ」
ため息混じりにそんなことを言いながら、男は落ちたタバコを灰皿へと投げ捨て、ゆっくりと天井を仰ぐ。その行為は、一種の儀式のようにも見えた。これから、自分の身に起きること全てを受け入れるための。目蓋を閉じ、男は大きく息を吸い込み深呼吸を行う。
「・・・・・・これで、儂の役目も、終わる」
言葉と共に、男はゆっくり仰いでいた状態から下にゆっくりと息を吐きながら戻っていく。男の儀式が、終を告げたのだ。閉じられていた目蓋によって隠されたその目には、強い意思を感じさせる、死の覚悟があったのだ。
さあ、儂の約束を、果たすとしよう
「それで、結局の所、君はずっとホールにいるときは寝ていたってことでいいね」
「そ、そんなに怒るなって、久遠。仕方ないだろ、昨日は今日が早いってんで早く寝ようと思ったんだけどよ、羅紗の姉貴から電話がかかってきてなんだと思ったら延々と夫婦の痴話喧嘩を聞かされたんだから」
「ま、流石にアレには俺も同情したぜぇ。何つたって、明け方5時ぐらいまで延々とノロケ話同然の話を聞かされたらしいからよぉ」
龍京堂の一行が、秋月の創設者である秋月かおりの祖父が個人所有する多目的研究施設グラウンドに到着し、一旦は今回のイベントの概要の説明を受けるために港の近くにあるホールに集められた。そこで40分ほどの説明を受けた後、現在はそれぞれのクラスに別れて、グラウンド側から用意された案内役に案内されながら徒歩で自分たちが見学する施設に向かって移動していた。
「・・・・・・しょうがないな、君は。もう一度説明すると1組の生徒が、DT・ZTのメインフレームである人工骨の研究・開発を行なっている北の第一エリア。2組の生徒がDT・ZTの動力源である人工心臓と人工筋肉及びそれを上手く連動させるために必要な他機能の研究・開発を行なっている北東の第二エリア。3組の生徒が、DT・ZTの要である人工血管マンドラゴとDT・ZTに使用される特殊人工血液 DNMとEDの研究・開発を行なっている東の第三エリア。4組の生徒が、DT・ZTに使われる龍羅の鋼の能力向上と汎用性向上の研究を行なっている南東の第四エリア。5・6組の生徒が、DT・ZTが組み立てる際に必要な他の部分及びAIの開発・研究を行う南の第五エリア。7組の生徒がDT・ZTに使用されるブースターやスラスターの研究・開発を行う西の第七エリア。」
「そして、俺たち8組は、DT・ZTの稼動実験をしてる北西の第八エリアってわけか」
「そういうことです、因みに南西の第六エリアにはGDを使用した医療目的の新薬の研究・開発を行うエリアになってまして、そこには推薦で選ばれた他学年の生徒たちが向かっています」
そのことを伝え終わった久遠は再び、目的地に向かっている8組の生徒の先頭へ走っていく。因みに8組の案内役は久遠であり、目的地までもう直進しか残っていなかった為、担任に道を伝え、一旦光秀たちの場所に来ていたのだ。
実の所、今回の龍京堂2年生のグランデル訪問のイベントには、他学年の生徒たちの間にも伝わっており一緒に同伴させて欲しいという意見が多数挙がったのだ。しかし、学校側としては全員連れて行くわけもいかないが、こういった機会は滅多にないので生徒たちの言い分も最もであるというのが本音だった。
だが、ここで問題が一つ起きた。マスコミがこのことを嗅ぎつけたのだ。そして、生徒たち共に、DT・ZTの授業の一環の撮影という名目で、同行させて欲しいと言ってきたのだ。
そこで、同伴させる生徒を医療の分野に絞り抽選行うことにしたのだ。そして、それと同時にグランデルの方に訪れた際にそれぞれの分野の研究を行っている部署の方に生徒たちが書いた質問書を渡し、それの回答とグランデルの内部の様子を撮影した映像とそれぞれの部署の活動内容とその部署のトップのインタビュー等を記録した特別映像を用意することで手を打ったのだった。マスコミに関しては、秋月の許可を得た上で少人数ではあるが同行を認める方向へとまとまったのだ。
そして、そのことを伝え終わった久遠は再び、目的地に向かっている8組の生徒の先頭へ走っていく。
「そう言えば、浜野部長に内部の記録をノートに纏めて学校に戻った後に部のみんなに提出して欲しいって頼まれてたな」
「私も、堀田先輩から同じようなこと言われたよ。何でも、ここに所属しているオペレ-タ-が、先の大戦の際に、実際に戦地にいってかなり長い間任地で活動していたベテランの人みたいなんだって。それで終戦後、その人が此処に再就職したって噂があるらしくて、その真偽を確かめて来て欲しいって頼まれたよ」
「・・・・・結局、考えることは皆同じということね」
しかしながら、抽選で選ばれることのなかった生徒の中のほとんどは諦めることができずにいた。そこで、最期の手段として今回行くことになっている2年の生徒たちに色々と内部でのことを見て、記録したものをあとで見せてもらうこととなったのだ。
「そのことに関しては、大変申し訳なく思っています。お祖父さまに相談してみたのですが、何しろ一学年の生徒数が350人前後いるので、皆様を連れて行くとなれば、相当の時間と人員を割かねばならないため、すみませんが今回は諦めていただきました」
「そういえばぁ、かおりの所に3年生が何人か代表を選んで直談判に行ってなぁ」
そもそも、何故龍京堂の生徒たちがこれほどまでにこのイベントに拘るのにもちゃんとした理由があるのだ。
「仕方ないでしょ。そもそも、このグランデルって場所自体が機密の塊みたいなものなのに、よくかおりのお爺さん許したわよね」
そう、グラウンドの創設者である秋月 紅は今の今までこの地に自身の関係者以外踏み入れたことがないのだ。その為、内部がどのようになっているのかこの施設が作られた当初から部外者は知ることができずに今日まで至ったのだ。理由としては、第3次世界大戦の末期、ここで第4世代のDT及び、ZTの開発が行われ、ここが当時におけるDT・ZTの開発の中心地であったためである。各国から、多くの優秀な技術者や整備士・科学者など多くの知識人たちが集められ、その時の際の記録が全て此処に厳重に保管されている。そして、当時それらを取りまとめていた紅に当時の全記録の保管が一任され、その殆どがこのグラウンドに保管されているのだ。当然、機密性の高いものが多く、それゆえに今日までメディアや一般人などは、グラウンドの存在は知っているものの中がどうなっているのか分かっていなかったのだ。
「今回のことを話した際に一番初めにそのことはお祖父さまに聞きました。しかし、その理由もそのうちお前に話すと言ったきりで、多分、今日皆様と一緒にここを回る際に説明があると思います」
そう、と少し納得のいかないような声で雪は隣を歩くかおりに向かって呟く。そして、少し考えたような表情を取りながらそのまま歩を続ける。実のところ、今回のイベントが決まった時から彼女の中には疑問があった。何故、このタイミングでということだ。DT・ZTの専門的な知識や技術を学ぶ学校に娘が通っており、その伝で施設に訪れるというのは一応、筋は通っている。しかし、だからと言って何もかもタイミングが微妙すぎるのだ。今日まで、鎖国状態にも等しい状態を保っていたにも関わらず、娘の頼みとは言えそんな簡単に決められるものではないはず。今回のイベントに対して反対する声も当然あったはずであるのだから、根回しも相当大変だった筈。その上、終戦の日付までまだ3ヶ月くらいあるので、平和の実現の記念の為のイベント、というのも中途半端である。詰まるところ・・・・・・。
「・・・・・・なあ、いい加減に機嫌直せよ。悪かったって言ってるだろ」
「・・・・・・知らないもん」
しかし、そんな思考も自分の後ろの方から聞こえてくる和やかな会話に阻まれ、ため息と共に雪は考えるのを一旦中止した。そして、自分の後ろの方から聞こえてくる痴話喧嘩をしている二人の人物へと目を向ける。
「アンタたち、少しは緊張感持ちなさいよ。一応、私たちって授業の一環で此処に来てるのよ」
如何にも怒っていますよ、とアピールするかの如く二つの小さな頬を目一杯膨らませてジト目になっている琴音と、それを見ながらヘラヘラした様子で悪びれる気もなく意地の悪い笑みを浮かべている光秀。真剣に考えている自分が馬鹿馬鹿しく、何時もの見慣れた風景に処か溜息が漏れそうだと雪は心の中で思った。
「何か、このやり取りをいっつも見てるからデジャブを通り越している俺がいるぜぇ」
「・・・・・まあ、分からないでもないですけどね」
「・・・・・そして、何時も光秀くんに言いくるめられるんだよね。琴音ちゃん、口喧嘩弱いから」
「そこ!!!!地味に私が傷つくことを言うのを辞める!!!!」
「だったら、少しは俺に勝てる努力をするんだな。こ・と・ね・さ・ん」
「うぬぬぬぬぬ~」
小動物が威嚇するかの如く、また、何処か犬と猿のやり取りのような、そんな低レベルな会話が繰り広げられ、その光景を見ている他の面々はどことなく和みながら暖かい目でその言い合いを見つめていた。
「全く、アンタたち、痴話喧嘩なんてさっさと切り上げなさいよ。久遠が前に戻ったってことは、そろそろ着くわよ」
「分かってるよ、ほら、琴音、後で何時ものあれ買ってやるから」
「この御上 琴音。物で釣られるほど、安い女なんかじゃないんだよ」
そう言いながらそっぽ向く琴音、その際に小声で5袋ねと呟いた声は小声だったにも関わらずこの場にいた他の6人には聞こえており、6人はこれまた何時もの光景に苦笑いをしていた。そんなことをしながら、一行は自分たちの目的地である、グラウンドの第八エリアに向かって歩を進めた。
この部署に配属になってから、今日でちょうど2年くらいになるかな。私が所属していた連合の部隊があの地獄から本国へ帰還した際に、ここの責任者だった秋月さんからのお誘いがあって、その時、私も戦争が終わってからは当時やっていた仕事から身を引こうと考えていたし、タイミング的にちょうど良かったのかな。
一人の女性が、第八エリアにある職員用の事務所の一室のデスクでうなだれていた。着ていたスーツはだらけており、憂鬱になっている彼女の気持ちを表しているかのようだった。
今日の私の仕事。紅さんが言うには、今日のこの仕事を終えたら紅さんと結んでいた契約が一旦終了ってことになって、新しく、かおりちゃんとの仕事の契約を結んで欲しいと頼まれたのだけど。
うなだれている彼女の悩みの種。それは、つい最近、雇い主である秋月紅からの突然の契約の終了を言い渡されたことにある。何時ものように、ここでの仕事をこなしている時に突然、社長自身からの呼び出しがあり、その内容が『娘の企画している計画は知っておるじゃろ。その計画が終わったら、君と儂との契約を一旦破棄して、新しくかおりと仕事の契約を結んでくれんかのぉ』というものだった。事実上のリストラ宣告である。別に、リストラされることに対しては、彼女は何も戸惑いはなかった。彼女自身、元々、今こなしているDT・ZTのオペレーターの仕事から足を洗うつもりだったのだ。今更、無職になろうが特に問題はなかったのだ。しかし、問題だったのは無職になるということではないのだ。
「しかし、よりによって、どうしてこんな中途半端な形なのだろう」
ため息を付いた後に女性は言葉を漏らす。奇しくも、その悩みは先程まで雪が考えていたこと似ていた。どうして、このタイミングでということ。それと、秋月かおりとの新契約ということである。新しく契約を結ぶことは別段珍しいというほどのことではない。こういったことは仕事の上ではよくある話だ。しかし、問題はどうしてこのタイミングでしかも、こんな中途半端なのかということだ。
(かおりちゃんが主導して行ってる、このイベントが成功すれば、彼女が将来、秋月のトップの座につくために、磨いてきた手腕が証明される。それによって、ゆくゆくは、全ての仕事から足を洗い、自分自身は隠居する。その為の準備の一貫だと言えば、一応の筋は通るんだけどね・・・・・・)
そんなことを思いながら、取り敢えず彼女は自分の中にある疑問を解決していく。どの道、彼女は言われた仕事をきちんと最後までこなすことができれば紅自身から詳しく聞けばいいのだから。そう今は、考えることにしたのだ。
「ま、今回のこの仕事を無事にやり遂げてから考えることにしましょうか」
そう呟きながら、椅子に座ってうなだれていた自身の体を起こして、目の前の机に息抜きがてらに事務所の自販で買ってきた缶コーヒへと手を伸ばす。
「あ、篠村さん。ここにいましたか。例の生徒たちが、到着したんで呼びに来ました」
彼女が缶コーヒを空けて飲もうとした同時に、彼女のいた事務所の部屋の扉が開かれ、部署のスタッフの一人が彼女を呼びに来た。予め、かおりたち龍京堂の生徒たちがここに到着したら、この施設にあるDT・ZT用の演習所のオペレーター室に案内させる手はずになっており、それが終わった後に、彼らの見学の担当の1人である自分を呼びに来るようになっていたのだ。
「うん、ようやく到着したようね。分かりました、すぐに行くので準備ができるまで、手はず通り、演習の様子を生徒たちに見せてあげていてください」
自分を呼びに来たスタッフにそう返事をして、さっきまで長い間、深く座っていたデスクの椅子から立ち上がり、大きく背伸びをする。
「それにしても、これも何かの因果なのかもね。嘗ての同僚たちの兄弟姉妹の案内をするなんて」
手に持っていた缶コーヒを一気に飲み干してから、一度、自身のデスクの端に立てていた写真に目をやりながらそう呟き、彼女は部屋から急いで退室していく。
時間が経っているのだろうか若干色あせてはいた。しかし、どこかその写真は、今でもそれに写っている人物たちの時を守り続けているように見えた。暖かな日に照らされた、立派な軍服姿に身を包んだ青年青女たち。その姿は、何処か、先程ここに到着してきた生徒たちと似ているのであった。
『これより、DT及びZTによる模擬戦闘を開始する。今回の模擬戦はデモンストレーションも兼ねている。勝利条件は、通常と違い損傷率が2割を越した時点で勝利とする。他は何時も通りだ』
対峙するのは2体の巨人。厳つい鎧の装甲で全身を包んだ寸胴な巨人。その鎧の肩部には大きな螺旋状の刺がついており、そのほかにも腕と思われ部分から、ランス状のスピアが生えている。そして、その巨人よりも一回りほど小さな巨人。銀色の細いプロテクターの形状をした鎧を纏い、その背には迷彩色で着色された虫羽と細長い筒が2本背負われ、手には大槍を握った巨人。明らかに、作りもそのコンセプトも違う2体の巨人がお互いに真正面から向き合って対峙していた。2体の間隔は、100mはあるだろう。しかし、その巨体のせいでそれほど離れているとはあまり感じられなかった。
『なお、今回は素晴らしいことに、ギャラリ-にも恵まれている。我ら秋月試験中隊の技量をアピールする絶好の機会だ。心してかかれ』
以上だ、そのアナウンスが終わると同時に巨人たちの静まっていた瞳に光が灯った。重厚な動きと共に、寸胴の巨人が臨戦態勢を取り、それに呼応しても一方の巨人も臨戦態勢に入った。
『だそうです。まあ、何時ものむさくるしい連中ばかりでしたから。逆に新鮮かもしれないですね』
『言われてみれば、そうやな。ま、いつも通りやって問題ないやろ。何時も通りが、地獄のようなもんやから』
それはそうですね、巨人に取り付けられている外部スピーカから2人の男の会話が聞こえてくる。寸胴の巨人にのる声は、軽い感じの男性の声。もう一方の細身の巨人からは、反対に野太い声が聞こえる。
『じゃ、ギャラリ-も待ちわびてることだし。始めますか、先手は譲ります』
『ええんか。そっちのケントロは、要塞みたいやからって、ぼちぼちの攻撃は耐えれるが、一対一に向おってへんやろ』
『小回りが利かないって弱点はありますが、一応、発展型だから。1対1に対応できるようになってます。それより、そっちこそ、発展させた銀飛蝗の性能を試したいでしょ』
『まあ。コイツの飛翔能力と脚力は上がってるって話やから・・・・・・』
お互いの腹の探り合いは突然の終を迎えた。大きな砂埃を巻き上がり、銀飛蝗と呼ばれた巨人が背の羽を羽ばたかせて一気に自身の前にいるケントロと呼ばれた巨人の眼前へと跳躍した。
『試してみますか!!!!』
鈍器で何かを思い切り殴ったかのような音が一体に木霊する。一瞬の内にしてケントロの懐へと潜り込んだ銀飛蝗が、自身の2倍以上の大きさを持つケントロへと鋭い蹴りを入れたのだ。銀飛蝗の蹴りをもろに受けてしまったケントロは、その鈍重な身体に関わらず態勢を崩されながら凄まじい勢いで吹き飛ばされた。
『えぇ、そっちの銀飛蝗の5倍以上の重量があるってのに。冗談でしょ』
しかし、吹き飛ばされているのにも関わらずケントロからでる声はいたって冷静だった。吹き飛ばされたケントロは背と腰、そして足に格納されていた小型ブースターを出し、それを使って空中で態勢を立て直し、勢いを落とすために両腕にあるランスを勢いよく地面に突き刺す。
『そっちこそ、ゴッつい蹴りかましてやったってのに、全く傷がついてへんやんか』
吹き飛ばされたケントロが地面に突き刺したランスが勢いによって地面を数十メートルえぐるが、再び態勢を立て直すのを確認する。蹴りのいれられた箇所には、蹴りの跡らしきものは残っているものの殆ど損傷を負っているようには見受けられなかった。
『一応、技術部の人たちに話を聞いたんですけど。装甲の厚みを3割ほど、厚くしたそうです』
『それって、こっち無理ゲーやな。前の段階でぇさえ、鎧を傷つけて砕くのにむっちゃ時間費やしたってのに』
そんな軽口を言いながらも、銀飛蝗も、態勢を立て直しつつあるケントロへ向かって背に格納してあったジ小型ブースターを出し、さっきよりも一段と速い跳躍で一気に肉迫する。その手には、先程は使わなかった槍を構え、一気に勝負を決めようとケントロの懐へと突き刺そうとする。
『流石に、強度と鋭さを増したそれを食らったらやばそうだ』
地面に支柱の代わりに突き立てていたランスを前方から突っ込んでくる銀飛蝗へと突き出し、動作とともに手首の部分からランスは切り離されて、銀飛蝗へと射出される。
『ちょ、マジかいなっ!!!!』
予想外の攻撃で、驚きの声が上がる。何とか反応しようと背のブースターを調節すると同時に地面に構えていた槍を突き刺して、強引に態勢を崩した。しかし、その行動により態勢を崩したことによって、飛んできたランスを紙一重で回避することに成功する。銀飛蝗は、手に持っていた槍を手放してケントロの横を通過し地面に衝突し凄まじい量の土煙を上げた。
『今の避けます、か。新武装のお披露目には最高のタイミングだったのにな』
『アホッ!!!!そんな武装あるならネタばらししとかんかい!!!!危うく、死ぬとこやったぞ!!!!』
『いや、一応殺すつもりでやれって、何時も言われてるでしょ?』
『ゲストがいるっちゅうのに、死人だしてどないすんねん!!!!』
模擬戦ではあるが、戦闘中にも関わらずそんな漫才みたいな会話が繰り広げられる。土煙が晴れて銀飛蝗が出てくるが、地面に強く衝突した為に背にあった羽は、少しではあったが傷がついていた。
『それにしても、あれだけの衝撃で地面にめり込みながら激突したってのに、装甲の方は無傷かいな』
『まあ、幾ら質は落としているとはいえ、究極の鋼材である“アレ”が使用されるようになってからは、滅多なことじゃ傷一つ負わせることができなくなりましたからね』
凄まじい勢いで衝突したにも関わらず、銀飛蝗の機体には、先程のケントロ同様、装甲には擦り傷や凹みといったようなものを見受けることはできなかった。
『せやけどな、こっちの銀飛蝗そっちの機体と違って装甲は極力薄くしてあんやから。アンマ、ゴツい攻撃は無しやで。後で、親父さんが煩いんや』
『だったら、さっさとこっちの装甲に傷でも入れることですね』
先程射出したランスに取り付けられていたワイヤーを巻き戻して再び腕に装着したケントロは、立ち上がった銀飛蝗に機体を向けて両腕のランスをお互いに叩きながら挑発する。その行為が、銀飛蝗の中にあるDT乗りとしての心に火をつけてしまう。
『ええんか、そういうこと言うて。そっちが、そういうことを言うやったら』
そして、明らかに自分を挑発しているケントロ向かって銀飛蝗も立ち上がって自身の態勢を立て直す。そして、それと同時に銀飛蝗の背後股に格納されていた全てのブースターを出し、更に背に収まっていた羽も4枚から8枚へと増やした。
『様子見は早々に終わらせて』
前かがみの姿勢になり、背の羽がざわめき始める。ブースターの出力を高める。
『本気で行きまっしゃろか!!!!』
そして、一気にそれらは爆発した。爆音にも似た音と同時に土煙が突風と共に巻き上がる。先程のものとは比べ物にならないくらい、凄まじい速度でケントロの前へと肉迫する。自身と間合いがかなりあったにも関わらず、一気に詰め寄られてしまったケントロは、その動きに反応することができなかった
『スキありや!!!!そっちだけが、隠しネタ持ってると思うちゃいかんよ!!!!』
最初に仕掛けたのと同様に一気にケントロの懐へと潜り込んだ銀飛蝗は右腕を突き出し、更に拳からは隠されていたであろう短剣がついており、勢いに任せってケントロの腹へと突き出した。
『ヤバ』
『コイツで、どうや!!!!』
装甲の分厚い筈のケントロの装甲へと探検が突き刺さる。その瞬間、銀飛蝗は背のブースターを地面に向けて、ケントロを突き刺した状態で、一気に空へと上昇していく。
『懐に入られたら、何も出来んやろ!!!!取ったで!!!!』
自身の5倍以上もあるケントロの機体を一気に空中へとお仕上げ、ある程度の高度に到達すると突き刺した短剣をケントロの懐から抜き取って一気に急上昇する。
『流石に、これ以上喰らうつもりはないですよ』
重装甲のケントロは、その重みによって空中から一気に地面へと落下するが、背中にあるブースターを出力を上げた状態で地面に向けて使って何とか落下する速度を落とそうとする。
『寝言は、後で幾らでも聞いてやんで!!!!だが、これで終いや!!!!』
先程、ケントロから離れて一気に上昇していた銀飛蝗が速度を一気に上げてケントロへ突っ込んで行く。その際、銀飛蝗は、ケントロへと向かって飛び蹴りの構えを取っていた。
『どうせ、足にも短剣が仕込んであるんでしょ。さっきの攻撃で、それは予測済みですよ』
対するケントロも、自身の両腕に付いているランスを銀飛蝗に向かって突き出す。そして、留め具が外れるような音と共に両腕のランスが先端から四つに割れて傘のように広がり、立派な盾へと変化する。
『そないな、薄っぺらな盾、砕いたるで!!!!』
『やれるものなら』
金属同士が衝突する音が響きわたる。激しく火花を散らせながら、銀飛蝗の踵に収められてあった短剣が突き出され、ケントロの盾と衝突する。両者は、衝突の勢いと重力と共に一気に落下していく。
『今日は、負けへん!!!!』
『こっちも、負けるつもりはありません』
言葉が言い終わると共に、両者は地面へと激突する。落下により発生した凄まじい爆風と共に今まで上げた土煙とは比べ物にならない程の量が舞い上がる。そして、余りの衝撃の大きさの為に、地震にも似た大きな振動が周囲に辺り、衝撃で土煙の他に砕けた大小の石が円をかいて周囲に飛び散っていく。
『・・・・・・そこまで。模擬戦を終了してください。ケントロ、損傷率28%。銀飛蝗、損傷率15%。損傷率が規定に達したため、この勝負。銀飛蝗の勝ちとします』
最初にアナウンスをした声とは別の、女性のアナウンスが未だに土煙の晴れない模擬戦場に流れる。そして、そのアナウンスが流れ終わると同時に土煙の中から、2つの影が同時に飛び出す。勿論、その影は先程まで戦闘を行っていたケントロと銀飛蝗である。2体は態勢を立て直すために一旦距離をとる。
『よっしゃ!!!!今回は、わいの勝ちやで!!!!』
『ちぇ、これで連勝記録も3でストップですね』
銀飛蝗は自分の勝利にガッツポーズを取り、逆にケントロの方は何処か残念そうに顔を俯かせた。ケントロは、腹部に先程銀飛蝗の攻撃を受けた為に刺し傷がついており、両腕のランスも盾がわりに使用した為に銀飛蝗の攻撃を受け止めた左腕のランスは砕けていた。逆に銀飛蝗の方は、蹴りを入れた方の足の足首から下の部分がへしゃげており、背につけている羽も小石などが衝撃で飛んできたためか、所々、小さな穴が空いていた。
『それにしても、あれだけの攻防だったのにこの程度の傷で済んだなんて。ちょっと前までなら信じられませんでしたね。それにさっきの落下の時、幾ら肩の螺旋刎を使用して衝撃を抑えたとはいえ、あの高さから落下して凹み一つすら見当たらないです』
『まあ、そっちがさっき言ったとおり、龍鋼を装甲に使ったおかげやろうな』
あれだけの攻防を繰り広げたのにも関わらず、自信たちが搭乗している機体の損傷率があまり高くないことに考察をしながら両者は、淡々と今の模擬戦闘を振り返りながら互の改修された機体や新装備について語り合う。
こうして、グラウンドの第8エリアにある、実験中隊専用模擬戦場で行われたDT・ZTの模擬戦形式のデモンストレーションは成功という形で幕を閉じた。
「ご苦労だった。お前ら、機体を格納庫に収めたら何時も通り模擬戦のレポートを後で提出しろ」
先程まで模擬戦を行っていた2体が映し出されていた巨大な液晶画面が設置されている部屋に、龍京堂8組の生徒たちは集められていた。先程まで行っていた模擬戦を観戦していたのだ。
「さて、如何だったろうか。DT・ZTの操縦を主に担当する為に日々学んでいる君たちのことだ。先程の戦闘で感じることはあるだろう」
巨大な液晶画面から映像が途切れ部屋の上部へと消えていくなか、明らかに強面の如何にも鬼教官な見た目の男性が、自分の前に座っている龍京堂の生徒たちに向かって話しかける。
「色々と質問を聞いてやりたいことは、山々なのだが、それ用の時間は後で部隊の隊員たちとの交流という形で準備してあるから、それまで保留にしておいてくれ」
では、君たちの担当の人物の準備が出来たため、私はここで失礼する。そう言って、龍京堂の生徒たちをおいて、男性は部屋から退出していった。男性が出て行った瞬間、生徒たちが一斉に話し始める。無論、先程行われた模擬戦についてである。何度も言っている通り、彼等8組の生徒たちは龍京堂の中でもDTやZTといった人型の巨大ロボットのパイロットとそのオペレーターを志望しているものが集められたクラスである。当然、今の模擬戦を見て、それぞれが感想を話していたのだ。
「今の模擬戦、明らかに俺たちがやる模擬戦とは質が違ったよな!!!!」
「何か、機体に搭乗していた人の技量を見ても、エース級の人たちだったよね」
「あぁ、動きに無駄がなかったし、少ない攻撃で確実に相手を仕留めようとしてたしな」
「何か、ああやって動かしているのを見せられると私たちも動かしたくなっちゃうね」
そんな会話が、至る所から聞こえてくる。そんな中、光秀たち一行はクラスメイトが座らされている座席の最背後当たりに座り、周りと同様に模擬戦について会話をしていた。因みに久遠は生徒たちをここに案内した後に、少し用事ができたので紅様の所に行ってきます、そう言い残して生徒たちを残して何処かに行ってしまい、今は6人で座っていた。
「・・・・・・あの機体、初めて見るタイプね」
「ベースは、日本製DTの第三世代の飛蝗と米国製ZTの第四世代のステゴだけど、明らかに形状が違ったもんね。両方、量産機だけどあの性能から考えると新しく発展させてワンオフの機体になってる可能性があるね」
「流石だぜぇ、こういう時に蓮華のDT・ZTオタクの知識が役に立つなぁ」
「享くん、仮にも龍京堂にかよってるんだから、これぐらいは把握してないとダメだよ」
「無理よ、単細胞なんだから」
「・・・・・・幾らなんでもよぉ、即答するこたぁねぇだろおぅ」
先程まで、戦闘を行っていた2つの機体について話していた。今まで、学校の授業や書物、ニュースにも情報が出てきたことのない機体だった為、DT・ZTの機体オタクである蓮華はかなり驚いていたのだ。
「あの機体、DTの方は銀飛蝗で、ZTの方はケントロという機体ですね。先程、蓮華さんがおっしゃられた通り、量産型の飛蝗とステゴを改良して。新しく開発に成功させた機体ですわ」
「世代は、第四世代と第五世代なのかな。あの動き、一応、一つ前の世代でも再現は可能だけれども、俊敏性も防御性も明らかに劣ってしまうし。何より整備に時間がかかっちゃうし」
「言えてるわね。この馬鹿が何時も学校でDT・ZTのシュミレーターをした時に、何時も動きが早すぎて機体が追いつけなくて自爆してしまうことがあるし。さっきみたいな動きを続けてしまえば、間違いなくお蔵入りになってしまうでしょうね」
「馬鹿と言いつつも、俺のことを褒めてくれる雪がいる件について」
「気のせいよ。それでかおり、実際の所どうなの?」
「あの2機については、秋月が独自に新開発したということしか教えてくださいませんでした。予定では、この見学の際に各クラスに説明される手筈になっていて、その後に今の映像も含めて、此方に同行した記者の方々を通じて情報公開を行うことになっています」
今現在、世に出回っているDTは第四世代までであり、ZTについて第五世代までである。この2つの世代に関しては、あらゆる国において抑止力の意味を持つほど強大な力を持っており、ある程度の情報公開が義務付けられている。その為、新たな機体が開発される度に開発元は情報公開を行わければならないのだ。
「それにしてもよぉ、さっきからあの2人、何にも喋られねぇな」
そう言いながら、自信の後ろの席、最後列の席に座っている光秀と琴音に目を向ける。ここまで辿り着くまでは、他愛の無い話を自分たちともに延々と繰り返していたのにも関わらず先程の映像が流れてから一転して、先程までの雰囲気は一切消え失せて、まるで、何かに惹かれるようにスクリーンを真剣に凝視していたのだ。
「お~い、光秀、琴音よぉ。どうかしたのかぁ」
「・・・・・・あぁ。すまん、ちょっとさっきの動き、自分の戦いに取り入れられないか真面目に考えてしまってた」
「ごめん、私も。光くんと同んなじこと考えてた」
「さっきの模擬戦、模擬だったといえ、明らかに私たちのものよりも遥かに技量が上だったのものね。思うことがあったのでしょ」
「それに、さっきの戦闘。模擬戦だったとは謂え、通常の戦闘と何ら変わりなかったもんね」
享に声をかけられた為か、思考の海の中へと旅立っていた2人は戻ってくる。龍京堂の授業の一環で行われるDT・ZTを使用した模擬戦は、実機を使用したものは少なく、その殆どがシュミレーターを使用したものが殆どである。映像とはいえ、直に最新鋭のDT・ZTの、それも実戦といっても刺し違えないものを見れたことにより、DT・ZT乗りとしての感情が燻られた、少なくとも享やかおり、蓮華と雪は、そう思った。
そんなことで生徒たちの話が、熱が入ってきたところで先程、男性が出て行った扉が開かれる。入ってきたのは、スーツに身を包んだ長身の女性。髪は茶に染められており、その雰囲気は服装に見合わず、どことなく和やかな感じが漂っていた。一言で言うのなら美人な女性が目の前に現れた為、龍京堂の生徒(主に男子)からは少なからず歓声が上がる。
「すみません、お待たせいたしました。先程、秋月実験中隊の方から、ある程度お話があったと思いますが、改めて自己紹介させていただきます」
その人物は、座っている生徒たちに向かって身体を向けて挨拶をする。そんな彼女に向かって生徒(繰り返すが男子)から更に歓声が上がる。その姿に、彼女と知人であり友人であるかおりは苦笑いし、他の生徒たちに紛れて同じく歓声を上げている享に向けて右ストレートを食らわす雪。そして、持参してきたノートにさっきのDT・ZTのメモを事細かくとる蓮華。
そして、自身たちが頭の中で考えてあったことが当たっていたということを実感し、まるで死人でも見たかのような目を向ける光秀と琴音。
自分に向けられるあらゆる視線を他所に、彼女は生徒たちに向かって綺麗に一例をして営業の笑顔ではあるが、笑顔で自身の名前を口にした。
「秋月実験中隊専属のオペレ-タ-として此方に勤務している篠村です、どうぞよろしく」
それぞれの事が始まりを見せる。あるもの達は、自身の夢を叶えるためにこの地を訪れ。あるものは、その夢を応援するために協力しようとする。そして、あるものは自身の役目を果たそうとする。
そうした中で、その者は戻ってくる。自身に託された呪を背負い、帰ってくる。だが、帰還は同時に再会と出逢いを意味する
この世界には、良い再会もあれば、悪い再会もある。良い出逢いもあれば、悪い出逢いもある
では、そんな中で、彼らの場合は、どうだったのだろう
その答えは、当人達にしか知りえないだろう
しかし、どういった形であろうとも、これも宿命だったのかもしれない
彼と彼女は、再会すべくして再会し、出逢うべくして出逢うのだ
如何でしたでしょうか?
えぇ、全くと言っていいほど進んでいません。おまけに、短い上にクオリティも格段に落ちています。
本当にすみません。
活動報告の方にも書かせていただきましたが、とにかく、なるべく早く続きが書き上がるように尽力しようとも思いますので。
気長に待っていただければ、幸いです。
では、次回の更新でまたお会いしましょう!!!!