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異世界勇者たちの合同世界救済〜滅びゆく世界に派遣されたのは、それぞれの世界を救った英雄でした〜  作者: ターシ


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第6話 勇者たちの作戦


「さて、とうとう着いたな」


 五人は魔王城が見える位置までやってきて、一度立ち止まった。


「当然門番はいるし、城の内部にも敵はいるだろう。手っ取り早いのはクロウが城を吹き飛ばすことだが...」

「十中八九、囚われている人たちがいるだろうな。」


 ユリウスの言葉に全員が同意する。

 昨日の部隊が捕虜、人質を連れていたが、あれで捕虜が全てということはないだろう。城にも人がいると考えるのが自然だ。


「全員助け出せれば吹き飛ばしてもいいんだが、どこに、何人囚われているかわからない以上、それはできないな。」

「つまりそのまま突入して、魔王の場所まで行って討ち取ると?」

「敵の幹部はもういないし、できると思うけどな。」


 情報が正しければ、残っているのはただの兵士だ。多少強いやつもいるかもしれないが、正面突破で切り抜けられる程度だと予想している。


「レオン。正直に答えてほしいが、魔王と一騎打ちすればどれくらいの割合で勝てると見ている?」

「...この世界の魔王のことは全く知らないが、敵の雑兵、正規兵、幹部の強さを考えると、7~8割かな。単純な武力勝負なら負ける気はしないが、未知の魔法や能力があるかもしれないと想定すると、それくらいの勝率になる。」


 それを聞きユリウスは考え込む。一騎打ちで7~8割なら、全員でかかれば問題はないだろう。

 だが突入してから魔王の場所まで行くのに、少なからず消耗はする。全員が消耗した状態で挑むか、レオンの温存のために魔王の場所まではレオン以外で突き進むか...。

 それに、問題は他にもある。


「できれば隠密で行きたいところだな。」

「隠密?」

「ああ。理想は魔王の場所まで隠密で行き、できるだけ万全の状態で戦う。そして一気に魔王を倒す。」

「城内を半分くらい制圧して一旦引き返して、休んでからまた来るっていうのは?」

「そうすると次来た時は囚われている人が人質に使われるだろうな。そうじゃなくても、正面突入すると途中で人質を出される可能性もある。できれば一気に魔王を倒したい。」


 どうしても城に囚われている人がネックになってくる。一か所にまとまって囚われているとも限らないので、全てを救出するのも難しい。


「...こっそり魔族を捉えて、捕虜の場所を吐かせたりはできないのか?」


 珍しくクロウが提案をしてくる。


「...催眠魔法とか使えるやついるか?俺は使えない。」

「オレもだ。」

「私は...隠密のほうは行けますが、催眠とかそういうのはありませんね...」

「わたしも隠密だけですね。」


 訪れる静寂。


「...隠密がいけるのならば、こっそり捉えて拷問でもすれば」

「却下です。」

「そういうのはナシにして、別の方法を考えましょう。」


 クロウの提案は女性陣二人にすぐさま断られる。

 レオンとユリウスも考えていた提案ではあるが、通らない意見だろうということで口には出していなかったことだ。


「そもそも魔王を倒した後で人質が出される可能性もあるんじゃないか?」

「ないとは言い切れないな。だが大将を倒され、幹部もいない状態で抵抗しようというやつはほとんどいないだろう。魔王を倒してしまえば敵の士気は崩れ、逆に人々の士気は上がる。そうなるとこの世界の人たちだけでも勝機は見えるだろう。」

「じゃあやっぱり、魔王を討つのが世界を救うことに繋がるってことだな。」


 しばし作戦会議が続いたところで、方針が決まった。


「分断作戦だな。城の注意を外に引き付け、その間にこっそり突入して魔王を倒す。」

「方法は?」

「外で注意を引き付けるのは、クロウだ。」

「...俺か。」

「ああ。外で魔力を放出して、プレッシャーをかけるだけでいい。それだけでやつらは出てくるだろう。」

「...わかった。場合によっては城に当たらないように、地面を攻撃して注意をひいておこう。」


 そしてユリウスはセリアに顔を向ける。


「注意をひいたところで、セリアの隠密を皆にかけてもらい突入する。」

「はい。周囲から見えなくなる透明な結界を皆さんに張ります。」

「そして魔王の場所まで行ったら、他の敵が来れないように扉に結界を張ってもらう。あとはそのまま魔王討伐だ。」

「ユリウスさんも行くんですか?」

「さすがに今回はついていくさ。」


──────────────────────


「...出ていった部隊、全然戻ってこねえな」

「幹部三人とも戻ってこないなんて、何かあったのか?」


 魔王城の前で、門番たちがそう口にする。


「勇者は死んだんだろ?この状況で何かが起きるか?」

「案外、侵攻が楽しすぎて戻ってきたくないだけかもな。」

「あり得るな。俺も侵攻軍に入っておきたかったぜ。人間の悲鳴聞きてえなー」


 そんな話をしていたところで、突如として森から異変を感じた。


「...!?なんだこの感じ!?」


 森から鳥が一斉に飛び立ち、動物たちが走って逃げていく。

 魔王城の正面の森の中から、凄まじい気配を感じる。


「な、なんだ...。あそこに何があらわれたんだ!?」

「まさか、勇者が生きていたのか...?」

「バカいえ!勇者があんな禍々しい魔力を出すわけないだろ!とにかく!部隊を出撃させるぞ!」


 門番は素早く鐘を鳴らし、門を開けて準備をさせる。


「何人行かせる!?」

「ひとまず、10人部隊を向かわせよう!それで何が居るのか確認を...」


 そう話していたところで、森から爆発音が聞こえた。

 ドガン!ドガン!と爆発は続き、暴力的な魔力の残骸が魔王城に降りかかる。


「...10人じゃ足りない!!50人部隊を2つ向かわせるぞ!」

「な!?本気か!?合わせて100人だぞ!?」

「それでも少ないくらいだ!幹部候補を隊長にして、すぐに部隊を向かわせる!急ぐぞ!」


 門の付近に魔族たちが集まり、慌ただしく動いていく。

 そしてその隅を小さな足音が四つ通っていったが、魔族たちは誰も気づくことなく門から出撃していった。


──────────────────────


「...全然敵がいないな。」


 城内に侵入した四人は、ガラガラの廊下を走って移動していた。


「全員、外のクロウに夢中なんだろ。そもそも城に来るまでに俺たちが100人以上倒しているし、前の勇者も魔族を倒してくれている。魔族だって兵士は有限だ。」

「力を残していけるのはいいことですね。それよりも、道は合っているんですか?」

「道はわからんが、方角は合っている。強い気配がしているからな。ただ...」


 そこでレオンは言葉を詰まらせる。


「ただ?」

「いや、気配が二つあるんだよな。明らかにでかい気配が魔王なんだろうけど、横にもう一つ、下手したら幹部以上のやつがいる。」

「そんなことまでわかるのか。便利だな。」

「もしかしたら、幹部とは別で側近のようなものがいるのかもしれませんね。」


 そんな会話をしながら、四人は魔王城を進んでいく。

 時々慌ただしく走る魔族が何人かいたが、静かにしていれば気付かれることはなかった。


 そして四人はやがて大きな扉へと到着した。


「この中だな。」

「側近がいた場合、できればすぐに側近を倒して魔王一人にしたいところだ。」

「その時は私の結界で上手く分断してみます。」

「え、と。わたしもとにかく頑張ります...!」

「それじゃ行くか。セリア、中に入ったら扉を結界で固めておいてくれよな。」


 レオン以外の三人は少し緊張した様子であったが、レオンはいつもと変わらない様子で扉を開き、中に入り込んでいった。






明日同じ時間に更新します。

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