恨み、晴らします
言われた通り仕方なく直輔の部屋で同棲を始めた。
でも、まだ身体の関係は許していなかった。
そんな折に実家へまだ手を着けていなかった父の遺品整理に向かった。
蓬治の死も重なっていて、ショックで手を付けられて居なかったが、姉の衣羽もまだ幼い巌と一緒に失踪してしまい、半分仕方なくだった。
母親は私が幼い頃に亡くなっていてもう家には誰も居なかった。
ほんの少し前まで父も姉も宅文も居て賑やかだったのに…
がらんとした家に入ってまるで悪い夢でも見ているかの様だった。
父の部屋を整理していたら、クローゼットの奥から段ボールが出てきた。
中を開けると母親の物が色々出てきた。
私は殆ど記憶が無いので新鮮だった。
若い頃の写真等もあって、あぁ、こんな感じの人だったんだ…私と姉に似ているなあって思っていた。
その中から小さな桐の小箱と封筒に入った便箋が見つかった。
中身は臍の緒だった。
私と姉の物は見た事があったので、なんでこんな物がこんな所から出てくるんだろう?と不思議に思いながら封筒の中身の便箋を読んだ。
これって…
○○○○○○○○○○
「初天ちゃん…ちょっと良い?」
仕事終わりに店長…琢越さんに呼ばれた。
「あのね…落ち着いたら話そうと思ってたんだけどね…実は衣羽ちゃんが失踪する前に俺、会ってたんだ…」
「えっ!?」
「宅文に…衣羽ちゃんに元気になってもらう様に漢方薬を渡されて…ついでに気晴らしになる様に喋り相手になって欲しいって…」
「本当ですか!?」
「うん。それでね…宅文が卯愛って女と結婚するって聞いて驚いて衣羽ちゃんに会いに行ったの。そしたら…その薬を飲んだ衣羽ちゃんが…」
「そんなっ!酷い!」
その言葉を聞いて私は走って直輔の部屋へ行った。
「直輔!琢越さんから聞いたけど宅文が酷い事したって知ってたの!?」
「俺は詳しくは分からない。けど、多分衣羽さんが邪魔になって殺してるのかも…」
「なんて事を!あれから居なくなってるけど自分の息子まで?信じられない!人じゃ無い!」
「確かに酷いよね…俺は初天ちゃんの味方だから。」
「…」
「もし連絡来たら一緒に仇撃ってあげる」
「…」
「でも…それにはさ。やっぱりタダって訳にはね」
「どうして欲しいの?」
「そりゃ…散々お預け食らってるんだからさ…分かるよね?」
「分かった。」
「有難う!愛してるよ!初天ちゃん!」
そう言って直輔は私を押し倒した。
○○○○○○○○○○
「初天!ゴメン、待たせたね!」
「えっ!?嘘っ!?なんで!?死んだんじゃ!?」
「間違ってね。直輔に。別の人間が」
「どう言う事!?蓬治!」
働いている店に死んだと思っていた蓬治が現れた。
幽霊かと思って暫く信じられ無かったけど、現実だった。
「あの日ね、会社から出てきた僕と背格好が似た人間が暗闇で襲われて、殺されたの。」
「そんな!?」
「僕はたまたまその現場を見てしまってね。どうやら直輔も間違ってる事に殺した後気付いたみたいで…顔とかぐちゃぐちゃにしてて…酷い物だったよ」
「…」
「僕も身の危険を感じてね、直輔が立ち去った後に自分の身分証をその人の持ち物に入れて身を隠してた。」
「そうだったんだ…」
「ゴメンね。連絡先したかったんだけど、下手に連絡すると初天も危ないと思って…」
「うん…」
「それでね、身を潜めている間に探偵に頼んで直輔を調べてたんだ。」
「そうなの!?」
「うん。それで…言うのが辛いんだけど…」
「うん…」
「衣羽さんは…多分…宅文に殺されてる…」
「やっぱり…店長…琢越さんの話を聞いて何となくそんな気はしてた…」
「それでね…レンタカーの履歴とかでね…調べて貰ったらね…直輔が…宅文と遺体の隠蔽をしてるかも知れない…」
「成る程ね…」
「僕は許せないよ。こんな事絶対。初天ちゃんを騙して…琢越さんから聞いてるよ。同棲させられてるって…」
「うん…私…ホント馬鹿だ…」
「馬鹿じゃない!僕が恨みを晴らしてあげるから!安心して!」
「うん…有難う…」
「じゃあ、今日の深夜に…直輔を呼び出せる?」
「うん…分かった…」




