再会
「ここに居るんでしょう!?出しなさい!」
卯愛の母、伊藤由美が俺の実家に怒鳴り込んで来た。
あの地獄の結婚式で俺は走って逃げ出した。
暫くは身を潜めていたが、実家を巡回していた警察が引き払って来た頃合いに実家にとりあえず身を隠していた。
なんとか母、公眞に少しの間匿ってもらう事にした。
母親も元々気の弱い性格で衣羽が病気で、直前に再婚の報告に会いに行ってあまりの姿にショックになり、卯愛との結婚式で俺の精神が不安定で錯乱したと泣きついたらコロリと騙されていた。
俺が自殺したと偽装をする為に黒い額縁に入った俺の遺影を飾っていた。
正直良い気分はしないが、仕方ない。
卯愛の母、由美は言わば俺に娘と父親を同時に殺された仇だ。
怒り狂っているのも仕方ないだろう。
まあ、しかし公眞が元々気の弱い性格で普段からジメジメどんよりしているので演技をしなくても俺が死んで悲しんでいる様に見えた。
由美は埒があかないと渋々帰って行った。
しかし、あの様子だとしつこく俺を追ってきそうで面倒だ。
もういっそこのまま消して愛する娘と父親に会わせてやろうと後をつけた。
通行人がいないのを確認して、川沿いを歩いていた由美の背中を蹴り倒した。
ドブン
と勢いよく落ちた。
このまま静かに旅立ってくれ。
そう思っていたら
「流石っすねー!パイセン。相変わらず惚れ惚れする鬼畜っぷりっす。」
「直輔か。」
「今はゴンって名乗ってます。」
「へえ。」
相変わらずタイミングが良いのか悪いのか…コイツとは何かしらの縁で繋がってるんだな。
「そろそろ俺にも借りを返して下さいよ。」
「なんだ?俺は今は金はないしお尋ね者だぞ?一緒に居たらお前も共犯で捕まるぞ?」
「金はとりあえず良いんで。初天ちゃんとの仲を取り持って下さいよ〜」
「お前、まだ諦めてないのか。ある意味尊敬だわ」
「あざっす!一途なんで俺!」
「でもどうやって俺が取り持つのよ。俺も警戒されてるっしょ。」
「いやね、俺から連絡しても絶対会ってくれないだろうからさ。宅文さんから連絡入れたら絶対食いついてくるっしょ!」
「成る程なあ。相変わらずお前の悪知恵は感心するわ。」
「あざっす!まあ、初天ちゃんに逢えさえすればコッチのもんなんで。宅文さんは呼び出しだけでオッケーっす。」
「俺が同席する訳ねーだろ。捕まるわ」
「それじゃヨロチクビ!」
「オエッ」
○○○○○○○○○○
「宅文はこれからどうするのかしら…」
ピンポーン…
「こんな時間に誰かしら…あれ?モニターに誰も映ってない…変ね…宅文かしら…」
ガチャ…
「どなた?誰か居るの?」
「お久しぶりです…お義母様…」
「衣…羽…さん…!?何で!?死んだって聞いてた…けど…」
「ええ…殺されましたよ…貴方の…息子に…」
○○○○○○○○○○
「何で直輔が居るのよ!宅文はどこ!?」
「宅文さんは来ないよ。初天ちゃん。相変わらず怒った顔もかわい〜ね!」
「どう言う事よ!」
「宅文さん、逃げてるからね。色々と。俺と一緒にいればいずれ会えるよ!あの人俺には連絡くれるから。」
「…」
「衣羽さんの居所、まだ分からないんでしょ?」
「そうよ。何か知ってるんでしょ!?教えなさいよ」
「俺には分からないなあ。多分宅文さんなら分かるんじゃない?連絡来たら聞き出すからさ、そしたら真っ先に初天ちゃんに伝えるよ!」
「じゃあそうして。」
「でもタダって訳にはいかないなあ。」
「何が望み?」
「そりゃ初天ちゃん以外ないっしょ!」
「…」
「俺と暮らしてくれたら何でも教えてあげるよ〜!」
「分かった。」
「わあい!やっと思いが通じ合ったね!愛してるよ!初天ちゃん!」
「…」




