狂宴
「本日はお日柄も良く…」
6月の大安吉日、卯愛と結婚式となった。
なんでこんなジメジメした季節に…
誰だJune brideなんて言い出したアホは。
などと頭の中で悪態をつきつつ、とびっきりのイケメンスマイルで卯愛と来場者を魅了していた。
結婚式に漕ぎ着けられたのはある意味衣羽のおかげだった。
○○○○○○○○○○
あの薬を大人しく飲んでくれたおかげで見るも無惨な姿になっていた。
正直吐き気を催す姿だったので直視は出来なかった。
「酷い姿だな。そんな姿を俺に見せつけた慰謝料は頂いて行くからな。」
胃の中身は吐き出さなかった代わりに捨て台詞を吐いてこの家の土地の権利書を頂いて家を出た。
前に四谷から突き付けられていた衣羽のサインのある離婚届は手元にまだあった。
今は衣羽名義に移っていたこの土地を売却してから離婚届は提出する予定だ。
衣羽の印鑑も頂いていた。
何だかんだと理由をつけて卯愛との婚姻届は先延ばしにしていて、準備が整ったら提出する。
地下に監禁していた小仏児兵もこの機会にトドメを刺した。
全てが順調過ぎて衣羽の元を去る時の足取りは軽やかで…
俺には明るい未来しか見えなかった。
「衣羽さん!?どうしたんですかその姿!?」
「たく…えつ…さ…ん」
「オギャーオギャー」
様子を見に来てくれた琢越さんが驚いて大声をあげていた。
巌も驚いて泣いていた。
「あの…薬…飲んだ…ら…こんな…ことに」
「まさか…宅文さんが…酷い…あんまりだ…」
「この…家の…土地の…権利書…慰謝料って…」
「そんな!酷い!あの人、明日卯愛って人と結婚式するって!人伝に聞いて!どう言う事か衣羽さんに聞こうかと思って来てみたら!こんな事って…あんまりだ…鬼だ…」
「結婚式…卯愛…」
「とりあえず私は警察に!いや、救急車か?とりあえず知らせてくるんで!」
そう言って琢越さんは走って出て行った。
許せない…許さない…絶対に…
私は身だしなみを整えようと鏡の前に這って行った。
髪を梳かそうと櫛を入れた。
櫛を入れる度に髪がパラパラと抜け落ちて血がポタポタと滴り落ちていた。
鏡でみた自分の姿がこの世の生き物とは思えなかった。
恨めしい…
宅文…
卯愛…
伊藤家ども…
絶対に…
許さない…
そのまま倒れ込んで
息絶えた
○○○○○○○○○○
四谷家の帰り際、琢越が慌てて走って行く姿が見えて思わず身を潜めた。
もしかして衣羽と小仏が見つかったのかも知れない。
過ぎ去ったのを確認して、俺も慌てて戻った。
案の定、衣羽は床に転がって息絶えていた。
本当に無様だ。
しかし、見つかると厄介だ。
すぐに直輔に連絡して、遺体2体を車で運び出した。
ドブン…
鉄板の表裏にそれぞれ衣羽と小仏を手足をボルトで固定して打ち付けて海に捨てた。
また直輔に借りが出来てしまったが仕方ない。
直輔も必要な時には俺が手伝うと約束して別れた。
明日は大事な結婚式だ。
これ以上疲れたくは無い。
「それでは新郎新婦、ケーキの入刀です!初めての共同作業ですね!」
そうスタッフに言われながらリボンのついた長いナイフを渡された。
俺は2回目がだ本当にアホらしい作業だ。
初めての共同作業は子作り以外必要ないわと思いながら笑顔でナイフを受け取った。
ナイフを受け取った瞬間
周りの空気…空間が歪んだ
隣にいる卯愛が
ただれた顔の衣羽になっていた
気がついたら俺はナイフを振り回して
衣羽を滅多刺しにしていた
驚いて駆けつけた伊藤基平は
小仏に変わった
俺は獣みたいに叫び声をあげながら
小仏を滅多刺しにしていた




