お叱り
「お父さん、また変なのに捕まってるね。」
「やっぱりそう?」
娘の佳奈に叱られていた。
「隙が多過ぎるんだよ。この間危ない目に遭ったばっかなのに…ホント懲りないよね。」
「佳奈みたいに見えれば苦労しないんだけどね…」
「この歳で孤児にしないでよね。せめて大学卒業するまでは大人しくしてて欲しいんですけど。」
「すみません…」
佳奈は現在、高校3年生だ。
最近彼氏が出来たとはしゃいでいたが母親がいない分家では母親の様にしっかりしている。
妻は佳奈がまだ小さい時に死別した。
今は俺と佳奈の親1人子1人の二人暮らしだ。
そして、佳奈には見える力が有る。
俺には無い。
無い代わりに何かよく憑かれる。
「私は見えるけど払う力は強く無いからね。また叔母さんに頼る様な事にはしないでよね。あの人面倒だし。」
「分かっておりますよ…」
叔母さん…とは死んだ妻の妹だ。
この人は主に依頼されてお祓いなどをしている祈祷師みたいな人だった。
多分この血筋を佳奈は受け継いでいるんだろう。
何かと自分の後継者にと佳奈を狙っている節もある。
妻も力があった様で俺のこの惹きつけ体質に関わって出会った様なものだった。
「で、どうなの?岩見くんだっけ?仲良くしてる?」
これ以上佳奈に怒られるのが怖くて話題を変えた。
「航平ねー。あの人も危なっかしいんだよねー。多分お父さんと同類だね。デートで行く先々憑かれそうになってて、ヤバそうな所は行き先変えてるんだけど…」
「そうなんだ…」
「多分ワガママで面倒な子って思われてんだろなー。あー!ホント恨むわこの体質!」
「まあ佳奈が一緒なら安心だろ?俺もお母さんに大分助けられたぞ?」
「そう思って貰えてたら良いんだけどねー。」
「言っちゃえば?」
「やだよー。それで昔彼氏に引かれて振られたんだから!ホントおじさんってデリカシーないよね!」
やっぱり怒られた…
この年頃の女の子って難しいなあ。
「それで、今度はどんなのに付き纏われてんの?」
そう尋問されて、四谷での経緯を説明した。
「あー!契約しちゃったかあ。逃げられないね。」
「契約?」
「そう。」
「味覚のやつ?」
「そう。大体そいつらは体の一部を欲しがるから。多分今回は命までは取られないと思うけど…」
マジか…
「まあ、味が1種類分からなくなった所でどうって事ないでしょ。」
「そんな殺生な…」
「上手く行けば味が分かる様になるし。まあ、頑張って。」
「助けてよ。親子でしょ?」
「お祓いでどうこう出来ないよ。取り憑かれたってより呪われたに近い感じ?結ばれた契約は叔母さんでもどうにも出来ないと思うよ。」
「そうなの?」
「まあ最悪、根本をお祓いとなると大掛かりになるから叔母さん1人じゃ無理だろうし。我々って事は多分相手は数もいるね。土地柄昔から居着いてる大物だろうし。助っ人集めるとなると私多分叔母さんに借金のカタに持ってかれちゃう。」
「どうすれば良いんだ…」
「まあ、相手の要求通り面白い話すれば良いんじゃない?」
「何を持って面白い話か分からん…」
「まあ、相手がソレならソレ系の話で良いんじゃない?丁度この間危ない目に遭ったじゃん。その話でもしてみれば?」
「あれかあ…」
岩見は佳奈ちゃんに助けられてたみたいですね。




