幻想白~白詰草
幻想白=白詰草
久しぶりのピクニック、娘がはしゃげるように広めの公園で遊ばせている。
娘は3歳になる、この前まであんなに小さかったのに、3年という月日は残酷なのか、幸せなのか。
今まで頑張ってきたからか、目の前の光景は幸せ一色だ、世界の他の何色にも染められないだろう。
娘はかけ寄ってきて、シロツメクサの群生を指さした。
いい機会だと、四葉のクローバーを探した。
数十分かけて、一輪見つけた娘はとても喜んでいた。
幸せはこれだと、私は理解した、幾度と起こる感情の昂りさえ、どれも今に勝ることはない。
今がとても幸せだ。
娘にはシロツメクサの花かんむりの作り方を教えた、花の冠を被って楽しげな様子が、世界で一番美しい花のようだった。
私はこの世に生まれて本当に良かったと、心の底から感じた。
白詰草
命というものは尊い。
境を彷徨う命はとても美しい。
目の前で母親と話している幼子は、今最も輝く生命だろう。
鏡を見るようだ、生きていた頃の私はこんな風に、ここで友人と遊んでいた。
未だ忘れられない、記憶の鱗片。
死の瞬間、私は友人といつものように遊んでいた。
最後に視界に映ったのは煌めく自動車のランプだった。
誰も恨んじゃいない、憎んじゃいない。
故に、私は縛られた。
この場所に縛られ、幸せに生きる人間を見続けなければならなくなった。
ただ、今回はそうじゃない。
この幼子は境目だ。
花冠を被って楽しそうな幼子は、生と死の境目に居る。
瀕死ってわけじゃない、運命的に死にかけってだけだ。
命というものは散る間際が生命として最も儚く美しい。
親子まとめて死んでしまうのだろうか、この公園で死んでしまうのだろうか。
ともかく、私は孤独ではなかったと、証明してくれたようでとても嬉しいよ。
母親も娘もとても幸せそうだった、私も幸せだ。




