幻想白~白猫
幻想白=白猫
朝起きて、一階に降りてカーテンを開ける。
それが私の日課だ。
それだけだと、ただの日常でしかない。
だけどカーテンを開けて庭を見ると、白猫が居る。
毎日、数ヶ月前からだ。
特に思い入れもなかった可愛い猫ちゃんだったけど、毎日見ていたら愛着が湧いた。
いつの間にか名前が付いていた、縁起が良さそうな白色だったから白星という名前を付けた。
私の日常に溶け込んだ白星は、毎朝私を迎えてくれる。
別に撫でたり触れ合ったりはしないけど、毎日見かけて、日常の欠片として変えられないものとなっていた。
でも、ある日のこと。
朝、カーテンを開けて庭を見た。
少しの間、現実を直視できなかった。
白星はただの白猫じゃなくなっていた。
白猫だった白星は黒猫の番いを連れて来ていた、白星の反対の真っ黒な黒猫。
不安になった、いつも白くて縁起が良い色だったのに。
毎日出迎えてくれた縁起が良い白猫は黒猫の番いを連れている。
美しい白色が汚れた様な感覚に襲われた、いつもの日常が崩れて悪いことが起きるんじゃないかと、そんなことまで思ってしまう。
その日はいつも通り、仕事をして家に帰った。
日常は変わらなかった。
――――――――――――――――――――――
いつも通りカーテンを開けて庭を見てみた。
そこには白猫と黒猫の番いと、子猫が居た。
私の日常にはいつもこの猫たちがいた。
見守っていたし、この子達も私を見守っていた様に思う。
一時は白猫にある種の信仰のような感情を持っていたが、黒猫が来たことで考えを改めた。
日常の些細な部分が変わっても全てが変わるわけじゃないし、変化した些細な部分に注目して気を悪くしても仕方がないんだ。
この白黒の猫たちは私の日課に色をつけてくれた、それは白でも黒でもない。
カーテンを開けば、日が経つほどに彩り鮮やかな世界を私に見せてくれたのだ。
白猫
私は猫だ。
簡単に猫と名乗ったが、厳密に言うと人間の皆が思い浮かべる様な可愛い猫ではない。
人間の平和を乱す、猫又野槌という妖怪だ。
猫又と野槌が合わさった種だ、妖怪の中ではなかなか珍しい種族らしい。
ここ最近は、ある人間の家の庭に棲みついて妖気を養っている。
毎日、陽の光を遮る布を横にずらしてこっちをみてくるが、早朝で人間も頭が働いていないのだろう。
私が姿を消せば追ってこない、人間の妖怪への認識も甘くなったものよな。
――――――――――――――――――――――――
力が戻ってきたので式神を創った。
黒の猫又と白黒の猫又を召喚し、侍らせている。
久しぶりの式神、景気が良いではないか。
猫が増えたのを見て、人間は不安になっていたな。
カーテンを開けて、こっちを見たら青ざめていたから少し面白かったな。
しかし、別に何をするでもない、ここは力が溜まりやすい。
いい場所だ、人間はこんなところに住処を作って、幸せもんだな。
猫はクスクスと笑い声を漏らす。
人間からすれば、災難ばかりで辛いんだろうがな。




