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藍に飲まれて。

人程の大きさを持つ狼、いとも容易く人を飲み込む蛇、一国を落としたとされる龍。

そんなヤツらが跋扈する世界で俺は今何をしているのかというと...


女に抱かれて寝ていた。

(何故こんなことになっているんだ...?)


時を戻すこと1日前。

俺こと椿原 桜太は今日から高校生。

名前の可憐さに似合わない平凡な顔、175cmの平凡な背丈、細くも太くもない平凡な体。強いて特徴をあげるとするなら目つきの悪さだろうか。

言うまでもなく俺はモテ期が来ていない。そんな平凡な人生を巻き返すべく鮮烈な高校デビューを飾ろうと

意気込み最寄り駅までの電車に乗る。

(可愛い子いないかなぁ)

そんな思春期らしさが溢れる思いで目を泳がせていると、

キーーーー!!と聞くに絶えない甲高い金属音と共に迫り来る壁。

あ...と思う頃にはもう遅い。平凡な人生を過ごした俺には反応できなかった。


次に目を覚ますとそこには高い天井、少し洒落た木造のカフェのような内装。そして美男美女。

(病院...?)

「ーーーー!!」

男が感極まった表情で何かを言っている。日本語では無さそうだ。

「ーーーーーー...」

女も日本語ではない言語で喋っている。それにしても息が荒い。手術をしていたのだろうか。成功したのか?聞いてみよう、と手を伸ばす。

だがそこには短い指、小さい手のひら、ポテッとした腕があった。

「あ〜」


どうやら俺は赤ん坊に転生したらしい。最初はそれを理解することもできず泣くだけの日をすごしていたが段々と理解が追いついてきた。相変わらず若い男女...もとい両親の言っていることはわからないが、パパやママ的な単語を繰り返していたのでそこだけ覚えることが出来た。そして、俺の名前はどうやらライと言うらしい。

(あと数ヶ月はママンの乳を吸うだけの生活だろうなぁ...それにしてもここはどこなのだろう。火はコンロではなく薪で、スマホもパソコンもない。窓の外は村と壮大な小麦?畑だけか、辺鄙なとこに生まれちまったもんだ)


数ヶ月が経ち、はいはいができるようになった。それ以外にも言語はほぼ理解することが出来た。赤ん坊の頭は覚えが良いらしい。

自分のこと以外にもいくつか分かったことがある。

この世界は剣と魔法の世界らしい。最初にそれを見たのは庭で父が剣を振っていたところである。最初は親ガチャ外れどころでは無い、と落ち込んでいた。そうして見ているうちに足を滑らせ椅子から落ちてしまった。

「大丈夫?!」

母親のセナが駆け寄ってくる。涙ひとつ浮べない俺を見てすこし安心したが、すぐに

「痛いの飛ばしてあげるからね!」

といったので痛いの痛いの飛んでけー!的なものかと思っていると、

「湖の乙女よ、わが寵愛の徒に癒しの光を、ヒーリング」

そう言った時は夫婦揃っての厨二病なのかと泡を吹いて倒れそうな気分になったのだが、1コンマ置いて緑色の優しい光と共に頭を打った痛みが引いていった。そんなこんなで剣と魔法の世界に生まれてしまったらしい。





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