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Hello HappyMagic Lord  作者: 雑種猫
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不愉快だが、それを相手や小さい子供の前で口に出すのは憚られると思考を巡らせ、表情には出ていたが苦し紛れに出てきた「腐れ縁だ…」の言葉を聞き、イリスは首を傾げた。


なんで、こんなにアスターと喋るのがすっごく楽しいって雰囲気を出しているのに?

アスターの世間話を聞く時も目元は笑っているのに?

不思議な子ってやつなのかな…?


そう純粋な疑問を抱きながら、ブバリアの表情を見つめるイリスを一瞥し、ため息を吐き「んな、純粋な目で見るな。別に…アスターがき、嫌いな訳じゃ……」後半が小さく音にはなろうとも、声にはならない様な聞き取りにくい声色になって来たのを見て、イリスは不思議そうにアスターの方を見た。


視線に気付いたアスターは「あはっ!!ブバリアは素直になれないんだよな!!昔っから!」っと両手を何度も叩き、笑いながら答えた。


「アスターこの野郎!こっちが黙ってりゃ、付け上がりやがって!!これだから、お前は___」

眉間に青筋を立てながら小言を言うブバリアに、それに対して気分が下火になっている様に目をしょぼしょぼとさせながら、「ごめんなさぁい…」と繰り返し繰り返し言うアスターとでまるで悪い事をした仔猫を叱る飼い主の様な既視感を覚えたイリスであった。


居心地が悪そうにイリスが大人しく座っていると、ブバリアの背後からひょっこりと唐紅色と桃色の腰程までの長髪に緑色と赤色の虹彩を持った少女が不安そうにこちらを見つめてきた。


「あのぅ……叔父様、わたくしは御客様と喧嘩をしてはいけないとお母様から伺っておりますの、それは叔父様も一緒なのではないですの?」


そう不安そうにしながらも、ブバリアの白衣の裾を引っ張り自身に目を向けさせ、その上で()()()と慕い、客とトラブルを起こしてはいけないのでは?と疑問を投げかける少女は次に居心地が悪そうに座っているイリスの眼の前にやってきて、綺麗にお辞儀をした。


「はじめまして、わたくしはKALMIA(カルミア)=LATIFOLIA(ラティフォリア)といいますの!!

よろしくお願いしますわ!!」


突然の育ちの良さそうなお嬢さんから名乗られ、握手を求められ少し困惑気味になりながらも、イリスはにっこりと笑いこう答えた。


「はじめまして!!

わたしは、IRIS(イリス)=FLAGRISU(フラッグリス)っていうんだ!!!

よろしくね!!」


そして、二人は握手を交わした。

次にカルミアはブバリアの前でいつの間にか土下座でもさせられそうな勢いで正座させられているアスターの眼の前に行き、先程同様にお辞儀をし、名乗った。

アスターも普段の調子に戻り、その礼儀に応えた。


「初めましてーオレはブバリアの幼馴染兼親友のASTAR(アスター)=CARISTEFAS(カリステファス)っていう者だ!

ブバリアの姪?のお嬢さん、どうぞよろしく頼むな?」


そう太陽の様に明るく答えるとカルミアははわっ!と口元を手で抑え、頬を紅くした。


「お、叔父様、叔父様の言う通りこの方は危険ですわ…!!」


「だろ…?こいつは危険人物だ…」


そうコソコソとアスターに聞こえぬ様に耳打ちしている二人をアスターはあちゃーやっちまったかーという顔をしながら、眺めていた。


「あ、そうだ。

これ、例の物だ。さっさと受け取って帰れ。」


そう言い、話が逸れに逸れた例の物が入った箱をアスターに渡し、コーヒーを淹れに奥の自室に吸い込まれていった。


カルミアも同時にいなくなるのかと思いきや、先程ブバリアの座っていた椅子に小さく膝に両手を合わせて礼儀よく座り、アスターに向かった。


「アスター様、イリス様は今何歳ですの?」


突然その話を振られ、びっくりしたのか目を見開くが直ぐ様元に戻り、質問に答えた。


「大体、5歳位だな。

来年には、魔術学校の初等部に入る予定だ。」


そう聞き、カルミアは光を浴びた精霊の様に表情が明るくなった。


「でしたら、わたくしと同い年ですわ!!!

わたくしも来年初等部に入学しますの!」


「おっ、そうなのか!!

イリスと仲良くしてくれよ!」


「勿論ですわ!!」


きゃっきゃっと楽しそうに会話を重ねるカルミアとアスターは次第に仲良くなっていき、ブバリアが帰ってきても話すのをやめずに長話を続けていった。


「……この天才野郎……」

そう呟きながら、両手に持ったコーヒーカップの片方を口に運び啜った。


「ブバリアさん、天才野郎ってどういう事?」

「言葉通り、彼奴は色んな分野での天才なんだよ。

それもいけすかねぇけどな…」


そうコーヒーを啜りながら、イリスが次から次に問う事に答えていった。

答えていくに連れテンションが上っていったのか、次第にアスターへの褒めと愚痴を繰り返す様になった。


「なんだかんだ言って、お二人共仲がよろしいのね!

良い事だと思いますわ!」


「まぁな!オレもアイツの事は大好きだ!」


そう答えながら、二組は話を続けていると工房の窓から見える空が橙色に色付いてきた。

アスターがもうこんな時間か…!と名残惜しそうに言い、イリスの手を引き「ブバリア、カルミア!今日は楽しかった!また来るな!!」と手を振り、工房を出ていった。


イリスも「カルミアちゃん、ブバリアさん今日は楽しかったです!ありがとう!」と手を振り、アスターの跡を追う様に工房から出ていった。


「わたくしこそ、アスター様も、イリス様も本日は楽しゅうございましたわ!!

次はそちらに遊びに行きますわ!」


「もう来るな!!」


そう言いながら、出ていく間際まで手を振るなり、塩を撒くなりしていた。

だが、心做しか全員の表情はとても穏やかで楽しかったというのが目に見えるようだった。

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