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エピローグ


 首都近郊、のんびりとした田舎道を進むと、未開拓の原生林に辿り着く。


 人の踏みいった形跡も、まして馬車の轍など存在しない。


 だが一角、不自然に茶色い地面がむき出しになっている。硬い足跡が、行こうか戻ろうかと何度も足踏みしたようで、草が踏みしだかれていた。


「所詮、飼われた馬は野に放てないんだよね。」


 赤い髪の男の声が届いたのか、不意に木々の隙間から、ぬっと大きな青鹿毛の馬が現れた。


「おいで。一度は自由に憧れたって、それは恥じることではないさ。でも、お前は本当はあの人に付いていきたかったんだよな。」


 青鹿毛の馬は、ゆっくりと歩み寄り、赤い髪の男をその黒い瞳でじっと見据えた。


「いいんじゃない?引き返しても。今なら間に合うさ。太陽を背に、本能に従って走ってごらんよ。きっと追い付く。」

「・・・」

「なに。これは餞別だよ。こう見えてもオレ、応援してたんだよ?」


 赤い髪の男は嘘臭く笑うと、青鹿毛の馬の尻を強く叩いた。馬は高く嘶き、太陽を背に嬉々として駆け出した。


 その様を見送る男は折れた片腕を擦りながら、来た道を戻っていく。


「さぁて、次は何の不自由を逃がそっかなぁ。」


 見上げた空の青さに赤い瞳を細めながら、サンディークスは寂しそうに笑った。




         ~遠い明日を夢に見て、了~

 




 

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