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私がアパレルで働く理由  作者: 清和
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ただの販売員にはなりたくない


「いつまで今の仕事で働くの?」


両親にそう言われ続けることに慣れてしまった。


今年で10年目くらいになるだろうか。


所謂ファッション業界の販売員になってーー









販売員そのイメージは、


お洒落なお洋服や小物に囲まれて。


その商品の知識を学び。


お客様に接客して販売する。


経験を重ねるに連れてセンスが磨かれ。


自分自身もお洒落になって。


いつのまにか顧客様ができていく。


売上がとれるようになっていく。


単純にそんな簡単な仕事ではないと思っていたけど。


こんなに奥深いものだと想像していなかった。








私は、今働いている会社で取り扱っている

商品の美しさに惹かれて入社した。



働いて知ったことは、

商品の美しさはもちろん、商品の内面の魅力。



誰もが知っているブランドでもなく。


なかなか手が出ない高額なものばかりだったけど。



作り手や作品に込められた物語を知り。


自分の嗜好や琴線に触れた。


益々大好きになった。


他の色んなお店を見ても私達の商品には敵わない。




そう思えるくらい。





50代の女性のお客様に出会った。


会話でお好みのテイストや

お持ちのアイテム等を伺いながら、

お似合いになられそうな商品をご紹介していく。


色々お話していくなかで、

自然とその人の家族構成をやんわりと知る。


お嬢様が1人いらっしゃる。


お2人でよく一緒にお出掛けされる。


お洋服やジュエリーを貸し借りされるくらい、

仲が良い。


この春お嬢様が東京に就職が決まって

ほっとしている。



そして、旦那様の話は一切出て来ない。





もうすぐお嬢様が上京されること、

寂しい気持ちもあるんだろうな。


お話しているうちに何となく、そう思った。


もちろんその時寂しい様子はなかったけど。




お家で1人になって、話し相手がいなくなること。


今までのお嬢様とのお出掛けも、

あまりできなくなること。


想像すると私まで寂しくなってきて。


私達のお店が少しでも、

新しい楽しみになればいいなと思った。


家にいる時に美しい商品で癒されるように、

インスタグラムをお伝えしたり。


お好きそうな商品を見つけてご紹介したり。


毎月、メッセージを送るようになり。


毎月、お買い物をしてくださるようになった。


お話しだけでお立ち寄りくださる時もある。


毎回楽しいと言ってくださることが嬉しい。




「お客様が家に帰った後の幸せを考えてみて」



入社してそれなりに安定して売上が

とれるようになった頃、ある人に言われた。


その頃の自分にとって、その言葉を

本当の意味で理解することが難しくて、

今も正解を探し続けている。


それでもこうしてお客様に向き合えた時に少し、


わかってきたかも。と思えてきた。



売る為だけの販売はしない。



「ただの販売員」になりたくない、私の理念。



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