幸せ
せとながスマホでまさやに電話していた。せとなが諦めて切ろうとした時
『はい』
『センパイ…』
『せとなどうした?』
『ごめんね、電話して…』
『いいよ』
『センパイ忙しい?』
『あー、ちょっとバタバタしてるかな?』
『そっか…』
『せとな?』
『…センパイに会いたい』
『… 今度一緒にクレープ食べに行くか?』
『行く!』
せとなは嬉しそうに電話を切った
俺は大学の食堂らのテーブルに肘をつき、窓の外をながらぼーっと眺めていた。昨日の事を考えながら。まさやさんはめちゃくちゃ幸せそうに、奥さんに手料理作るって話してて、せとなの気持ちにも答えられないくらい幸せそうで、なのにその奥さんは不倫している…せとなの「センパイが可哀想」って言ってたのはこの事なのか…?
「悩める青年」
「今日はどうした」
窓の外を 見ながぼーっとしている俺を見つけて皆川が声をかけてきた。
「皆川… なぁ結婚して間もないのに相手の事好きじなくなる事ってあるのかな?」
「急にどうしたの? うーん、まぁ、あるんじゃない?」
「所詮は他人なんだから、一緒に住んでみたらなんか違うって感じる事だってあるでしょ」
「…」
「あ、せとなだ」
皆川が食堂にお昼ご飯を食べにきたせとなを発見する。こころなしか、ウキウキしているようにみえる。きっとまさやさん関係で良い事があったのだろう。
「声をかけないの?」
「…うん」
(せとなを笑顔にできるのはクレープとまさやさんだけかぁ)
久しぶりにせとなと帰宅時間が一緒になった。せとなは相変わらず話かるなモードだったが俺はせとなに話しかけた。
「隣り街ののクレープ美味しかったよ」
「…」
やっぱり俺が話しかけてもせとなは何も答えてくれない。
「せとなはなんでそんなに人を避けるの?」
「… 人は裏切るから。 私はセンパイさえ居てくれたらそれでいい」
「まさやさんには奥さんが居るよ。せとながどんなに想っていても…」
「…週末一緒にクレープ食べに行くし、私はそれだけで幸せ」
せとなはそういうと駅まで歩いて行った。
数日後
せとなとまさやは公園でクレープを食べていた。
「クレープ食べるの久しぶりだな」
「ここのクレープ安くて美味しいんだよ」
「せとなは本当にクレープ好きだな」
「うん センパイ、この前、未央さん見かけたよ… また、違う男の人だった…」
「そっか、今日も朝からオシャレして出かけて行ったよ。友達と食事に行くって」
「… センパイは幸せ?」
「んー、幸せかな?」
まさやのスマホが鳴る
「はい、…わかった直ぐ行くよ」
「せとな、ごめん」
せとながまさやの言葉を遮る。
「…言わなくていい」
せとなは電話の相手が未央だとわかっていた。
「じゃあな」
まさやは未央のところへ向かった。