出逢い
俺は桜の舞う中歩いていた。所謂迷子だ。
大学に入学して1週間、広い大学は迷路 講義まで自時間があるから、良いのだが(この辺は人がいないんだな…)
「あ!」俺は驚いて足を止めた俺の前にいたのは……
4月俺、辻元龍志は今日から大学生になる。有り触れた思いだが、期待に、胸を膨らませながら、大学まで来た。だが、ワクワクしすぎたのか、迷子になってしまった…
迷子になりふと、一人の女性に目が留まっる。凛とした美しい横顔に一瞬で、心を奪われた。
はじめてみたキミはとても美しかった。
綺麗な横顔に見とれていると、不意に君が振り向く。突然振り返り何かを言った君にアタフタしていると
「ウザイ、消えろ」
美し君からは想像できない言葉が返ってきた。こうして、衝撃的な出来事とともに、俺の恋は始まった。
(迷子は治るんだろうか…)そんな事を思いながら今日も俺は迷子になっていた。人気のない旧校舎近くの階段に座っている女性を発見して声をかけた。
「せとな!」
俺の目の前に居るのは思いを寄せている、藤岡せとなだ。見た目と反してとても口が悪い。誰とも群れる事もなく、いつも一人でいる。果たして笑う事があるのと思う程、無表情。
「せとな」
確実に俺の存在を認識しているにもかかわらず、せとなは返事をしない。もう一度声を掛けるが、せとなはとても、面倒臭そうにこちらを睨んでいた。
「…何?」
とても迷惑そうなせとな。
「何してるのかな?って」
ため息をつきながら、立ち上がってどこかに行こうとしている。
「待って!」
「気安く声をかけるな」
せとなは首にかけていたヘッドフォンを耳に当て、着ているパーカーのポケットに両手を突っ込んで歩き出した。
「あっ」
せとなを追いかけようと足を踏み出そうとした時、急にせとなが立ち止まり、振り返った。
「…どうせまた、迷子なんでしょ」
「着いてくれば」
せとなはぶっきらぼうに言うとまた、歩き出した。今、俺の顔は情けないくらいニヤニヤしているだろう。きっと、そんなにやけ顔をせとなに、られたキモイって言われるに違いない。俺は置いて行かれないよう、せとなを走って追いかけた。