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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

言霊術師はスキル『効果音』をもっているから、つらい。

作者: かなま

山道を歩いているちょっと陰気に見える男。

彼の前に


「クハハハ、久しぶりのお客さんだな。」

頭悪そうな男たちが道をふさいでいる。

手には武器を持っていて、あんなセリフまで…

強盗だな。


盗賊の前に立った男はため息をつく。

「ふう…」

「ハハハ、もう遅いぞ。柔順にお金になるものを…」


その瞬間、ものすごい突風が吹きつける。

「これは?!」


盗賊たちはうろうろしていたが、男は平気で呟く。

「しまった、これも効果音だったか。実は武器を壊そうとするつもりだったのに。」


「カチャン」


男の声とともに盗賊たちの武器が全部壊される。

「なんだ、これ?!」

「に…逃げろ!あいつめっちゃ強いやつだ!」


盗賊たちが逃げるが、敢えて追いかけることはない。

追って息が切れたら、また周りを暴風で吹き飛ばすかもしれないから。

そして、すでに任された任務があるので…



盗賊を無視して歩き続け、到着したのは一都市、ベル市。

まっすぐ冒険者ギルドへ行く。


その時間ギルドの中では

「俺はそんなヤツ認められない!」」

「お願い、ジェーン。お前も分かるんじゃないの。

「私が直接確認してみる。ふさわしいやつかどうか。」


そしてギルドに入ってくる男。

ギルドの中をよく見る。


普通の冒険者ギルドなら活気あふれる場所だが、ここは憂鬱だ。

最近,このあたりでの冒険者活動が禁止されている。

そのためで、俺が来たんだけど。


「いらっしゃいませ。どのようにお手伝いいたしましょうか?」

「…トニオから来たロイスです。今回のことの支援で来ました。」

「あ、そしたら要請したS級の!」


受付の人が暖かく迎えてくれる。

「ありがとうございます。この恩は忘れません。」

「そんなことは普通仕事が終わってから言わないんですか?」

「あはは、そうですね。」


「ここにいらっしゃったということは、どういうことかはもうご存知でしょうか?」

「やっかいなモンスターが現れたことは聞きました。」

「あなたに依頼したいモンスターはレインボーカメレオン。A級の中でも最上級の力を持つ酷いやつとして悪名が高いですね。」


「なぜ僕を行かせたのかわかりますね。あいつには僕が適格でしょう。

事前に伝書鳩で要請しておいた、情報を整理しておいた文書は用意されていますか?」

「はい、どうぞ。」


まっすぐに振り向こうとするロイス。

「それでは行ってきます。」


この言葉に驚く受付担当。

「ちょっと待ってください、一人で準備もせずに行ってくるんですか?!」


答えてあげるロイス。

「準備はこの文書が最後でした。他のものはここに来る前に予め準備しておきました。そして…」

「弱者がいくら集まっても何枚か上の相手に勝つことはできません。命だけ捨てる格好です。」


ロイスに言葉に腹が立ったように、ある女の人が近づいてくる。

「そんなお前はどんなに偉かったと大きなことを言うんだ?!」

「君は…?」

「A級のジェーン。あなたが来るまで討伐隊の隊長だった。」


二人の衝突に緊張感が漂う。


「自分が偉かったとは思わないんだけど。」

「僕を含めて、ベルシー全体が手に負えないモンスターをお前一人で討つって?ここに集まった人達が皆討伐隊だ。この人数が手に負えない相手だって!」


「そしたら逆に聞いて。今度、俺と一緒に行ったら、役に立つと思う?」

「当然…」

「それならどうして私がここに来たのか分からないね。あんなにすごい人たちなら俺の助けがなくてもレインボーカメレオンを討伐できるんじゃないか。」


この言葉に結局怒りが爆発してしまう。

「ちくしょう、なめてんのか!?」

剣を持ったまま飛びかかるジェーン。


「ふわふわ…」

「何の寝言みたいなことを…」


そして剣を差し込むジェイン。

「あいつが!」

「あの多血質はどうにもならないのかよ!?」


周囲の人たちが驚愕する。

しかし、続いてさらに驚愕すべきことが起こった。


「ふむ、剣の硬さを綿枕くらいに変えたのに、この程度の衝撃だなんて、枕投げが得意なんだね?」

剣に押されて座り込むロイス。

みんなが死んだと、少なくともけがだと思った男が言っている。


「今のそれは…?」

刺した当事者のジェーンもまた驚いている。


気にせずに、言葉をつなぐロイス。

「力は本物だな。よし, さっきの無礼は謝ろう確かにあなたの立場でも自分の村は自分が守りたいのが当然だから。」

「私についてきてくれる?ただし、あなただけだよ。他の人たちがついて来たら危険になるだけのことは変わらない。」


頼りない提案だが、たった今自分の攻撃を防御した男だ。

いやなのとは別に信頼感は生まれた。

「…わかった。」


「それではすぐ出発するつもりだが、準備するものがあるか。」

「ないよ。今出発しよう。」


カメレオンの棲息地に行く。

「あいつが出没したところはここから遠くないところだ。そのため、人々が外部に出ることができなかったのです。」

「そうだね。」


「…さっきのことは謝るね。手伝いに来た人にそんなことをするなんて。」

「気にするな。本当にすまないなら熱心に手伝ってくれ。」

ロイスの言葉にジェーンの表情がとける。


「ところで本当に感情のない人だね。私がそんなことをしたのに、一度怒らないなんて。」

「理由があるんだ。感情がないわけじゃない。私もなるなら感情を思う存分表出したい。」

「どういうわけ?」

「後で私の戦闘を見ればわかるはずよ。見せたくはないけど…」


まもなく大きな森にたどり着く。

「今あいつがこの森の生態系を粉々にしているところだ。」

「さっそく入ってみようか。」


森に入る。

鳥の声どころか草虫の声さえ聞こえてこない。

「気持ち悪いほどの静寂だな。」


歩き続けていると何かに気付く。

少しずつ動物の声が聞こえてくる・

言い換えれば。

「この辺にあるだろうな。」


森の入口が静かだったのは、全てのことが食われたり、逃げたりしたからだ。

それならそこに餌はない。

餌がなければ、当然餌のあるところへやってくるだろう。


「これからは警戒を...」

その瞬間、何かが早く飛んでくる。


「しまった!」

ジェーンを狙った攻撃。

防ぐにはもう手遅れだ。


「ふわふわ!」


直撃した攻撃だが、ジェーンにダメージはない。

「今のあれは?」


「なんで大丈夫なんだ?って聞かれるなら俺の魔法のおかげだし、攻撃の正体ならあいつだな。」


木から長く伸びたピンクの触手

よく見ると形が見える。


「レインボーカメレオン。今のはあいつの舌だな」


木に向かって叫ぶ。

「ヌルヌル」


地鳴りがする。

茶色のカメレオンが地に落ちた音。


「え、なんだ。先のことは?」

「俺の言葉よりは一応あれに集中してくれる?」


カメレオンは目をぱちくりさせ,またジェーンに舌を向ける.

「見てる以上やられはしないんだよ!」


剣でカメレオンの舌を傷つける。

そして。

「始まったな。」


カメレオンが銀色に覆われる。

「攻撃を受けると受けた攻撃と同じ属性に変わって防御するカメレオン。それと共に回復が並行される。」

「今の攻撃で鋼鉄属性になってしまったのか?」


当然、舌も鋼鉄に変わった。

鋼の舌を振り回すカメレオン。

森が崩れていく。

一先ず引き下がる。


「ムチという言葉でも足りない。鉄槌か」

「ちぇっ、私たちもあれが問題になって今まで討伐できなかったんだよ。あいつに決定打を食らわせるのができるのは私だけなのに、私が攻めたら鉄壁になってしまうから。」


「決定打を打たせるまでの攻略はどうやったんだ?」

「低い等級のやつらの攻撃で属性を変えて、その属性に対する弱点で攻撃したね。」

「定石だな。それにしてもこれまで失敗したのは、やはり決定打以前までの累積ダメージが足りないからなのか。」

「悔しいけどその通りだよ。私が怒ったのもお前が正鵠を射たからだったの。」


ロイスはしばらく考えてから,ジェインに尋ねる.

「君の一番強いスキルって何んだ?」

「オーバードライブよ。」

「破壊力は十分か。」


ロイスがカメレオンに近づく。

「他は考えずにオーバードライブを準備してくれ。ダメージは俺が責任取るから。」

「一人でできるって?!そうするためにはいくつ属性が必要か分かるの!?」


ジェーンの言葉を無視して進む。

鋼鉄の舌が再び襲い掛かる。


「アタフタ」


舌よりも速いスピードで舌を避ける。

「それでは次は」


「メラメラ」


鋼鉄が赤く染まり始める。

熱するカメレオンの皮膚。

苦しみながらも、まもなく平気そうにロイスを見る。


「属性を変えるのにかかる時間はおよそ13秒。その間に変わせるべきなのか」


ジェーンの方を見ると、すでにスキルのために闘気を集めている。

俺を信じてくれるなら, 俺も答えてくれるだけ。


「無理をしてみようか。」


「かちかち」

凍り始めるカメレオン。

すぐ水晶のように輝く。


「ドロドロ」

地面がカメレオンを包むが、すぐに抜け出る。


「ひゅうひゅう」

風がカメレオンの体をけずる。でも、すぐ風に乗るように避けている。


「準備できたぞ!」

ジェーンが叫ぶ。


「よし、じゃあ」

鋼にふさわしい属性なら、


「ビリビリ」

手から稲妻が打ちながらカメレオンを強打する。


実は、俺の立場ではいい方法はない。

風の属性に稲妻の効果は大きくないから。

でも、鋼鉄系との相性は···


「まかせたぜ!」

カメレオンの体から少しずつだが稲妻が流れ出る。


「食らえなさい!」


「オーバードライブ!」


剣の鋭さを極大化するスキル。

そしてカメレオンの体を分け始める。


大きくなる傷とともに稲妻は少しずつ消えていく。

鋼鉄に乗って少しずつ。


そして稲妻がなければ再び属性を変化させるまで、回復はない。

そして、再び銀色に変わり始める体。

けれど、


「俺もまだ力が残ってるんだから。」


「スパスパ」


そしてカメレオンが半分に割れた。



「…勝ったのかな?」

「そんなこと言わないで。また立ち上がったら君の責任だ。」


しかし、半分に分かれて生きて動く生物がどれほどいるだろうか。

少なくともこのカメレオンはない。


「勝った!」

「終わったな。」


ロイスを抱きしめるジェーン。

「あんた、結構やってるじゃん!」

「離れてくれ…。」


この言葉に腹が立つ。

「なんだよ、ほめてくれたのに!それに、こんな綺麗な女の人が抱きしめてくれると喜ぶべきじゃないか。オカマかよ?!」


線を越えた言葉に結局何かが切れる。

「このやろう! おれも当然何かぱあっときて顔がほかほかするんだ!でも、そうなったら…」


凍りついたロイス。

「やべぇ…」


熱風が森を吹き渡った。

幸い大きな被害はない。


「なんだ、いまのは?!」

「何って、魔法なんだ。正確には言霊術に近いけど。」

「言霊術?」


「俺の持つスキルは『効果音』たった一つだ。私がすることはすべてこれの応用に過ぎないよ。」

「私が言った擬声語や擬態語のような効果音が現実になるんだ。」


この言葉に何か気付いたようなジェーン。

「だからそんな恥ずかしいことをよく言ったんだね!」

「そう思っていたのかよ…」


「私は当然無詠唱魔法を使うものだと思った。訳もなくさっきオカマと言ったのじゃないよ。なんかそんなこと口外するのは少女らしい感じじゃない?」

「俺も知ってる!知ってるからもうやめて!」


そして独り言を始めるロイス。

「だから一人で来たかったのに…」

「それでも刺々しい話し方は直したいから、コミュ力をために好意は受け入れたいし…」

「ちくしょう、いいやつだと思って秘密を明かしたら、すぐにからかってるのかよ。」



ロイスをからかい続けるジェーン

「ふふん、見た目はクールだし、立ち居振る舞いもそうだったのに、肝心のスキルはそうなんだな。」

「くぅっ…!」


ジェーンは笑いながら話す。

「まあ、秘密にしてあげる。私が悪かったこともあったし、恩人だから。」

「どうかお願いするよ。」


再びベルシに戻ってきた2人。

ジェーンの手にはカメレオンのしっぽを持ち上げている。


「やったな!」

「やっぱりS級だよ!」

「ジェーンもごくろだった!」


人々の歓呼の中でジェーンは言う。

「まあ、私がやったことはあんまりないし、本性は少し『メラメラ』燃え上がる火のようだけど、普段は『かちかち』に凍った氷のようにクールな人のおかげね。今は『ばたばた』していて。」

「てめえ…」

「言っちゃおうか?」


「…ゆらゆら」


「えっ、地震!?」」

「ちくしょう、いきなりこれは何?!」


結局人々が解散する。


ロイスも人混じりで席から出てくる。

まっすぐギルドに行って報酬をもらう。



そして、月が空高く昇った時間。

ロイスは戻るために城を出る。


「帰るんだね。」

「お前はどうしてここにいるんだ?まだからかうのが足りないのか?サディストの奴。」


「ただの見送りだ。人の好意をそんなに受け取るなんて、思ったよりひねくれているね。」

「このスキルのせいで人に会うのは避けているのだから。そんなことには鈍感ではある。」

「なのにどうして冒険者をやっていて、今回のことも受け入れたの?そのまま自分の仕事だけすればいいのに。」

「人が困るなら助けるのが当たり前だろ。」


その言葉に爆笑するジェーン

「ハハハハッ。変わり者だけど人はいいね。 よし、それなら私があなたの仲間になってあげる。私とパーティーになろう。」

「なに?!なんでそうなるの?!」

「恩返ししよう。都市を救ってくれたから、私があなたのコミュ症を直してあげる。」こんな美人と一緒なら自信が溢れるようになるよ。」

「アホが移らないといいな。」

「何だって?!」

「俺は行くよ。またな。」


ジェーンを無視して道を歩くロイスの後ろから声が聞こえてくる。

「トニーオに住むって?訪ねるよ!」

「面白い女だね…。」



一週後

ロイㇲの家


「やっほー!遊びに来たよ!」


「本当に来たか…お前も本当に気分通りに生きるんだな。」

「とりあえずコミュの基本!人に暖かく接すること。だからお茶でも出してきて。」

「あんな奴が役に立つかな…?」

「でも出て行けとは言わないね。うれしくはあるようだね、フフッ」


そうやって、その夜に結成されたパーティー。

このパーティーが仲間を増やし、もっと強くなり、全国を超えて全世界に名を馳せるのはもう少し後の話。

それと共に、誰かには致命的な、如何なる困難な噂もどんどん大きくなるけど。

そして、その噂のせいで言霊術師が、毎晩寝返りを打つようになるのも、もう少し後のことだ。

二日前に書いた短編の後、連載版になりそうな素材としても書いてみたくて書いた短編です。

でも、今連載中の作品が疎かになるのは問題www。

お読み頂きましてありがとうございます。

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