表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テカポ湖の奇跡  作者: ポッキー @home
1/1

出発そして出会い。

やっと着いたか。

僕は今成田空港の搭乗ゲートに来ている。

搭乗ゲートの前には沢山の人々が蟻のように一列に並んでいた。

並んでいる人たちは何を考えているのだろうか。


ある人はイライラしているだろうしまた別の人は楽しみにしているだろう。

俺はそもそも飛行機にすら乗ったことがないから少し不安だ。

正直飛行機って墜落しそうだし、ましてや墜落したら俺はすぐに死ぬだろうな。


いろいろ考えていたらすぐに搭乗口の前の改札機まで行けた。

しかしすぐにトラブルが起きた。

そもそも改札機の通り方がわからない、、

「どうなされましたか?」

CAの人がきた。CAなんてテレビでしか見たことなかったから初めてリアルで見た。


「改札機の通り方がよくわからないんだけど…」

「お客様がいま手に持たれているチケットのバーコードをここにかざしてください。」

「わかりました。」

そうして俺は改札機を通った。これは俺にとっての第一歩になるだろう。


「おはようございます。」

入り口にはCAがいた。CAの挨拶はとても礼儀正しく俺はとても気分が良かった。

入学式とかって入場する時に拍手されるよな。まあそんな感じがする。

俺はまず自分の席を探すことにした。席の番号は47Aらしい。

だが自分の席はなかなか見つからなかった。


結構歩くと自分の席を見つけられた。

「よいっしょっと。」

俺は席を見つけるや否やすぐに座った。

外を眺めると滑走路が見えた。滑走路には他にもいくつかの飛行機かあった。

そろそろ飛ぶのか…


俺は楽しみにしながらも少し緊張していた。飛ぶまでの緊張が導火線のようにじりじりと迫るように増えていく。

「なんで飛ばないんだ…」

飛行機は少しは動きはしながらも飛ぶことは決してなかった。

飛行機ってすぐに飛ぶものかと思ったがここまで遅いのか…


暇だったから飛行機の雑誌を読むことにした。しかしいつまでたっても飛ぶことはなかった。

「…遅すぎる。」

俺はそもそも飛行機が飛ばないんじゃないかと不安に思った。

足をくすぐられるようでくすぐられない。そんな焦ったい感じがする。


「皆さん。まもなく離陸しますのでシートベルトをお締めください。」

「やっとか…」

俺はやっと飛ぶことを知り安心した。

「…なんだ!?」

急に飛行機が動き出した。しかも思ったより速い。


「かっ体が…!?」

飛んでいる時の気圧のせいか俺の体に強い重力を感じる。やばい…思ったより怖い。

「飛行機が揺れるので気をつけてください。」


揺れてるどころじゃないだろ…!!俺死ぬかもな…

「当機はもう揺れることはありません。しかし万が一のためにシートベルトをおつけください。」

やっとおさまったか…


俺は飛行機よ離陸した時の揺れのせいで酔った。すこぶる気分が悪い。乗る前は気分が良かったんだが…

隣には誰も乗っていなかったので横になることにする。


そもそもなんで俺はここにいるんだろう。酔いのせいで何もかも分からない。いったん自分の記憶を思い出すために目を閉じて思い出すことにした。


あれはちょうど3年前の2001年の1月の頃だった。俺は東京の大学にいた。その時地元の病院から電話がきたんだ。嫌な予感がした。

「母さんに何があった?!」

「達也君…落ち着いて聞いてくれ。君のお母さんはもう少ししか生きられない。」

俺の嫌な予感は的中した。


「もう君のお母さんは長くは生きられない。長く生きてもあと2週間ぐらいだろう。」

「今から向かいます!!」

「あぁ、君のお母さんの為にも来てくれ。」

すぐに俺は病院に向かうことにした。


俺はその時お金がなかった。仕方なく夜行バスに乗って行くことにした。

早く着いてくれ…

俺はそう願った。

次の日には地元に着いた。そこは昔とは変わっていなかった。変わったとすれば俺の知っている人が何人かいなくなっていることだ。


きっと引っ越したかお年寄りが多かったから何人か亡くなったのかも知れない。

そうだ。一刻も早く母さんのいる病院へ行かないといけない。

俺は走って母さんのいる病院へと向かった。


「母さん!!」

俺は母さんのいる病室へ入った。

「どうしたの達也!?」

「母さん大丈夫なのか!!?」

「私はなんともないわ。あなたこそ大学休んで大丈夫なの?」


「一応大学には伝えてるから大丈夫。母さんが元気そうで安心したよ。」

「そうね。達也は何日ぐらいここにいるの?」

「2週間から3週間ぐらいかな。」

「そう…」


母さんは少し元気がなさそうだった。

「もう外が暗いから家に帰りなさい。」

「母さん…明日も来るから。」

「気をつけるのよ。」

そうして俺は病室から出た。

「星が綺麗だな。」

しんしんと冷える寒い冬の夜道の上に覆いかぶさるように星が輝いている。それはまるでの黒い画用紙にばらまいた。銀砂子のように。


そうこうしているうちに家に着いた。久しぶりの実家。でも思ったよりも久しぶりとは思えないような気がする。家に帰ったのは2、3年ぐらい前なのだが…家の鍵を開けて中に入った。前に帰った時よりも寂しい感じがした。どちらかといえば虚しいのかな。


少しでも多く母さんに会っとけばよかったかもしれない。そもそも自分よりも母さんの方が寂しかっただろう。母さんのことが心配で何も食べれなかった。地元に来るまで寝ることも忘れていた。俺は休む為に自分の部屋へとで寝ることにした。


何も変わっていなかった。空気、匂い、そして懐かしい天井。安心して少しずつ眠たくなっていく。でも母さんが心配で目が覚める。また眠くなるの繰り返しでよく眠れなかった。ちゃんと寝れたのは午前3時頃か…


俺が起きたのは亭午の少し前。電話の着信音が聞こえた。

「はい。もしもし。」

「大変だ。君のお母さんが危篤状態だ。今すぐ来てくれ!」

「わかりました!!」


俺は急いで病院へ向かう。生きていてくれ。母さん!!俺は一心不乱に走った。

俺の全身のありったけの体力を使った。

そうして病院に着いた。

「残念ですが…」

「うっ…嘘だろ…」


母さんが死んだなんてありえない。医者は2週間ぐらいは生きられると言っていたのに…

「君のお母さんはもう体力は残っていなかった。だけど達也君の前では元気に振る舞っていた。それだけ達也君を気にしていたんだよ。」


母さんは俺のことをそんなに思ってくれたのか…俺なんて母さんに何にもしてあげられなかったのに…一人で俺を育ててくれたのに…俺は…俺は親不孝だな…


「あと君のお母さんから手紙を渡しってて言われててね。これは自分の夢を成し遂げてから読みなさいって。」

俺は母さんの手紙をもらった。母さんは俺に夢を成し遂げてって…俺に今できる親孝行は夢を成し遂げることかな。


「頑張れ達也君。君ならできるさ。」

「ありがとうございます。」

僕はそうして病院を後にした。一旦実家に帰るついでに本屋に立ち寄ることにした。今の俺には夢と言える夢はない。本屋なら俺のやりたいことを与えてくれるような本もあるだろう。


少し本屋の奥へと進んだ。そこは本の匂い言うなればアーモンドのような匂いがした。

そこには色々な雑誌があった。ふと目をやると表紙にとても綺麗な星空が写っていた。

興味本位でその写真についての記事を見る。


そこに写っていた星空が撮影された場所はテカポという街にあるテカポ湖という場所らしい。テカポ。聞いたこともないその名前に俺は面白いと思った。記事にはこう書いてあった。テカポその名前の由来は星空が眠る街。


俺はその写真で見た星空が母さんが死んだ日の前日に見た星空のように見えた。きっと母さんは星になってタウポ湖の星空で寝てるんだろうなって。ますます俺はタウポ湖の星空を見たくなった。よしこうなったらタウポ湖の星空を見に行こう。それが俺の夢だ。


そうして俺はタウポ湖に行くためにニュージーランドについての本と英語を勉強するための本を買った…


「っ…ここはどこだ?」

目が覚めるとそこは飛行機の中だった。そうか俺はあのまま寝たのか。酔いは覚めた。

本当に夢が叶いそうだよ。母さん。

大学卒業したり英語勉強したりで3年はかかったけど夢が叶えられるなら良かった。母さんに対する親孝行ができるならそれで良い。


寝てから9、10時間はたったころか…あと少しでニュージーランドだな。。ニュージーランドはサマータイムもあり日本より4時間早い。俺は外に見える夕焼けに染まったオークランドの街並みを見る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ