殺意
「あいつ、どこ行きやがった!」
男二人組で俺の目の前にいる少女を血眼になって探していた。
その少女はずっと走っていた疲れからか、過呼吸になっている。このまま、あの集団が居なくなってくれれば良いんだがな・・・
そうもいかず、こちらへ近づいてくる音がする。
茂みになんとか隠れられているものの、少しでも動いたらバレて天国まっしぐらだ。
その少女の方を見ると、気を失っていた。
俺は必死に脳を動かした。そして2つの打開策が見つかった。
1つはこいつを囮にして、尻尾巻いて逃げる・・・。
これはないな。
2つ目は一か八か対敵する。
相手は男二人組は見た感じ武器はククリとハンマーのみ・・・だろうな。
考える時間はない・・・。やってやる。
ザザザ・・・
「ん?おい、さっきあそこで音がしたぞ。」
「確認しろ。」
一人の男が近寄ってくる。ハンマーを持ったやつだ。
その男はハンマーを振りかぶった。
その瞬間、俺は持っていた武器の刀で男の両腕を斬り落とした。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
男は腕が斬れて、発狂していた。
すると後ろからククリを持った奴が走ってきた。
俺はそのククリを避け、カウンターを入れようとすると、そいつは素早い動きでククリを俺の太ももに刺してきた。
その痛みのせいで動くこともできなくなった。
ここまでか・・・。
思い返すと、昔色々あったな....
妹は今頃元気だろうか....顔は覚えていない、名前も覚えていない....だが昔に妹にこう言ったのは覚えている。
「負けを認めない限りはまだ敗北じゃない。決めたことはとことん貫く!」
ってな.....
はぁ....何考えてるんだろうか。これが走馬灯ってやつか?
『立て、小さき英雄よ。』
え・・・?
その声が聞こえた途端、意識が戻った。
男が俺めがけてククリを振り下ろしてくる。
なんだか、ピンチだってのに清々しい気分だ。
それは、無意識だったのだろうか。
振り下ろされたククリを難なく弾き飛ばし、ククリを奪い捨て、男が隠し持っていたナイフを取り出し、特攻してきたが、それを受け流すように避け、腕に力が入り、そこに刀身が顕現した。そして俺は、男を斬った。
ほんの一瞬の出来事だった。
感覚はあった。俺が殺ったという自覚もあった。
だが罪悪感はない。こいつらも俺とこの娘を殺そうとしたのだから・・・・・・。
その男、エランは、殺意であふれていた・・・。