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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
人の章

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72/230

後編 其の一

遡ること半月前―

その夏は暑かった…




―2004年7月20日(火) 夜―


―骨董屋DPP地下―

挿絵(By みてみん)



黒い男「…」


休憩室にて無言でPCを弄っている。


いつもの格好のまま。


上部の入り口が開いたか、足音と共に声がする。


クリフ「ただいまです…」


言いながらいつもの部屋―休憩室に入ると、眼前の椅子に腰掛け、項垂れる。


クリフ「今日も依頼の後に…協会の人に襲われました」


顔を上げながら報告する。


黒い男「…」


カタカタとキーボードの音だけが部屋に響く。


クリフ「…あの、一応依頼は完了しましたが…その…協会の邪魔が凄くて…今日は依頼主に被害が出るところでした…」


何も答えないその様に困窮し、キョドってしまう。


黒い男「ッ!!」


突然デスクを思いきり叩き、その大きな音が室内に響いた。


クリフ「わッ…!」


思わず驚いて身体が反応する。


黒い男「…クソ共が…!」


低く唸る様に罵倒する。


4月の秋川渓谷での事件以来、プルス・アウルトラ(協会)は、異端者として黒い男(自分)を追い続けているのである。


それはもう異常な程に。


協会は一般の依頼そっちのけで追っており、毎夜襲われていた。


その皺寄せが自分達にダイレクトに来ており、怪異の対処や討伐が、エージェントAを介して増えていた。


協会の刺客を対処しつつ怪異を狩る…その二重苦で、苛立ちは限界を超えていた。


そもそも、怪異から人を護る為の組織で在るはずの協会が機能していない。


(あまつさ)え、只一人の人間を追うだけの組織など、何の意味が在ろうか?


それで困っている人間が増え、常識では助けられない者達が増えている等と、今の協会は常軌を逸しているとしか思えない。


その苛立ちに、我慢の限界を迎えた。


黒い男「あのクソ野郎共ッッ!」


何度もデスクを叩く。


黒い男「邪魔ッ! ばっかッ! しやがってぇッ!!」


何度も何度も。


衣服に符が張ったままの状態だったので、デスクが(ひしや)げている。


クリフ「ちょ…!」


その余りの怒りに、引いてしまう。


執拗なまでの…まるで悪魔の様な。


その怒りを止めるかの如く、携帯の着信音が鳴る。


黒い男「!…」


無言で携帯を取り、通話を押すと、拉げたデスクに置く。


黒い男「もしもし」


冷静な声『私だ 早速で申し訳ないが、依頼だ』


黒い男「…了解」


クリフ「…」


先程までの怒りが無いかのように一瞬で冷静に答えるその様は、側で見るクリフに底知れぬ畏怖の念を抱かせた。


しかも、冷静さを見せていても、奥底の怒りは無くなっていない。


それに気付いていたクリフは、何も言えず口を(つぐ)んだ。


エージェントA(冷静な声)『今回の依頼内容は、協会…退魔機関プルス・アウルトラの壊滅だ』


クリフ「!…」


黒い男の口元が笑みで歪んだ様に視える。


黒い男「…了解…!」


その返答は、仄暗い"ナニカ"を感じさせた。

一週間後―

プルスアウルトラ本部―

ドミニクは苛ついていた…

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