表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異聞録:東京異譚  作者: 小礒岳人
人の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/234

中編 其の二十八 ―蝿の王―

追い詰められた松田リカはついに禁忌の手段に出る―

人の道を外れた、その行為とは―

二十八



―4月27日(火)夜0時56分―


―あきる野市 秋川渓谷 嘉手名別邸地下一階 食肉加工室―

挿絵(By みてみん)



松田リカ『ううぅッ…! ならッ…! もっと栄養が必要ね…!』


苦しみながらもそう言うと、触手が美穂へ向かい、身体を刺し貫くと、自分の方へ持ち寄せる。


黒い男「!ッ 止せッ…」


反射的にその言葉が口から出ていた。


松田リカ『このコも私の糧になってもらうの…』


言いつつ触手で刺し、逆さ吊りになった美穂を口元に引き寄せると、大きく口部を開いた。


クリフ「止めっ…!」


その行動の意味を察したクリフが衝動的に抑止の言葉を口に出す。


黒い男「ッ…!」


こちらも衝動的に飛び上がり、両手の刀で思い切り斬り掛かる。


刃を振り下ろすと同時に、変生(へんじょう)松田リカの左触脚が前に差し出された。


黒い男「!? 何ッ?!」


すると、強力な力に黒い男が弾かれる。


松田リカ?『()くな紅い眼の狩人よ…!』


もう一つのドアに物凄い勢いで吹き飛ばされ、衝撃と共に打つかったドアは(ひしゃ)げ、ワインセラーに繋がる廊下に飛び出し、ゴーギャンの絵に全身を打ち付けた。


黒い男「ぐぅあッ!」


だが、そんな事など意に介さず、変生松田リカは美穂の遺体を口部に入れていく。


大きく開いた口を閉じると共にゴキゴキという骨の折れる音、クチャクチャという肉を咀嚼(そしゃく)する不快な音が響く。


クリフ「そんな…!」


丸呑みでは無く、引き千切り、噛み砕き、()り潰す…それは味わう様な食し方。


黒い男「…貴様!」


廊下から戻ると、全てを食した変生松田リカ=蠅の化物に敵意を向ける。


松田リカ『…はぁぁぁ~…♪ 満たされる…!』


ごくりと喉を鳴らし全てを飲み込み、恍惚とした声を上げると、再び全身が変化し始めた。


身体が更に肥大化し、ドズッという衝撃音と共に床に座り込む。


それと共に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


周囲の変生が始まったのだ。


その異界化が広まると共に、変生松田リカの身体変化も著しく、()()()()()()()()()()左右四枚の羽が部屋いっぱい横に大きく拡がり、左右の触脚が更に増え九本となり、()()()()()()()()()()()()()、頭部が炎で揺らめいた二本の角を持つ()()()()()()が在った。


在ると言うより、"()()()()()()()()()()()"という表現が正しい。


そして、尻尾の様に在った腹部が前部に来ており、ぬらぬらとした粘液を纏い、中が透明になって脈打ってている。


それはまるで巨大な()()


中には透明で薄ぼんやりとした光を帯びた様々な人間達の顔が複数漂っていた。


その顔は各々に苦痛や困惑の表情を浮かべ、何かを口にしている。


それが怨嗟の響きとなって室内に木霊し、聴いていて不快な音を奏でた。


卵巣内の魂が、吸い込まれる様に卵管から排出される。


どちゃっ!


…という嫌な音と共に床に墜とされたソレは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()=此処まで来る間に()()()()()()()()()()()だった。


その()()()()()()は、羊水まみれの身体を振るわせながら起きると、背中の羽がみるみる伸びていく。


まるで蝉の羽化を高速早送りで見ているかの様な。


そして直ぐ飛び上がった。


女生徒蠅「Baal…Zebul…至高ノ…王…タタス…けケ…テ…テ」


虚ろながらも助けを懇願してくる。


黒い男「! …ックソが…! こんな方法で…!」


その余りに禍々しい生み出し方と扱いに、怒りが募る。


蠅の王『我が子達よ…ヤツを食い殺しなさい~』


嬉々として支持を出しながらも、産卵を続ける。


蠅の王『さァ…! いくわよぉ~♪』


その言葉を合図に、蠅達と、背部から生えた触手が複数真っ直ぐ此方に向かって襲い掛かってくる。


黒い男「出来ると思ってんのかよ!」


吐き捨てる様に言うと、黒い男は"力"を解放した。

ついに五龍の"力"を解放する黒い男―

その姿はまるで…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ