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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
人の章
41/229

中編 其の七

校舎裏―

用務員の作業として落葉拾いをする黒い男の前に―



―4月15日(木)―午後2時過ぎ―


―あきる野市 都立あきる野第二高等学校裏庭―

挿絵(By みてみん)



そこではツナギを着た黒い男が箒で落葉拾いをしていた。


授業中、学校の教室からは調度死角で、誰もいない。


そこへ、校舎からトシが現れる。


トシ「…探したぞ」


その言葉に反応せず、落葉拾いを淡々と続ける。


トシ「…」


だが、トシもその言葉以上に掛ける言葉が浮かばず、黙ってしまう。


もう、何を言って良いのか。


一ヶ月前に突きつけられた事実から―


選ばず、


正論を述べ、


事実を覆せず、


自身の言葉も無力と思い知らされ―


トシには、もう声を掛けた以外、手数が無かった。


トシにとって気不味い沈黙が流れる―


しかし、そんな事は気にせずに落葉拾いを終え、軽く会釈をすると、落葉の入ったゴミ袋を持って、裏門近くに接地されたゴミ捨て場へと向かい出す。


トシ「! 待っ…!」


反射的な言葉はそこで止まってしまった。


??「待って…!」


その言葉を投げ、引き留める。


黒い男「…」


その聞き覚えのある声に、面倒そうにゆっくりと振り向く。


スズ「私達…あなたを連れてかなきゃいけないの…でも、ちゃんとあなたの事説明するし、あなたに対して償いもする…! この事件が終わったら、二度と現れない…! だから…一緒に本部に行こ…!」


その言葉を聴いて黒い男は大きな溜息を一つ吐くと、重い口を開いた。


黒い男「…本名を名乗らんヤツから償い?」


スズ「!」


それはスズに対して衝撃を与えるには十分だった。


スズ「そ…れは…!」


それをすれば、彼との境界が曖昧になる…! 彼は唯一無二の彼であって、他の人と一緒にしてはダメなのだ…!


だって…彼は…彼は自分にとって唯一無二の…!


狼狽(うろた)え動揺するその様を見て、黒い男は理解する。


ああ…自分には本名を教える気は無いのだな…信頼をしてくれている訳では無いのだな…と


その姿を見て、更に一際大きく溜息を吐くと踵を返し、二人の前から去った。
















―日時、場所不明―


―???―

挿絵(By みてみん)



何も無い空間―


只、だだっ広く真っ白な―


そして自分が居る―


目前にも。


―そんなに辛いなら考えなければ良い―


そう言ってくる目前の自分は眼が紅く、額に角の様なモノが在るみたいだ。


その自分が問うてくる―


―そんなに辛いのか?


こんなに辛い


―そんなに痛いのか?


こんなに痛い


―なら変わろう?


変われるか…?


―自分次第


自分次第…


―変わりたいか?


変わりたい


―オレは強い


オレは弱くない


―力は欲しいか?


力は欲しい


―助けたいか?


助けたい


―…何を?


…? ヒトを…?


―そうなのか?


そこで、目が覚めた。


1週間後―

クリフは学生生活を謳歌していた―

仲良くなった同級生…

平穏な日常…

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