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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
人の章

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25/230

前編 其の四

無我夢中で逃げる最中、二人は出会う―

友人の茜と―

―それは…



夜10時55分過ぎ―


―港区芝、私立御厨中高等学校1階エントランス―

挿絵(By みてみん)



真美「茜ちゃん…無事だったの?」


茜「うん…まあね」


真美のその問いに答えながら沙耶に眼を落とす。


茜「大丈夫?沙耶」


その言葉に涙が溢れ、沙耶は茜に抱き付く。


沙耶「よかった!よかったよかったぁ! 茜ちゃんが無事でぇ!」


そう言いながら泣きじゃくる沙耶を茜は抱き締めた。


茜「当然だよ…幼馴染みだもん…」


そう言って茜も沙耶を抱き締める。


真美「よかったね…」


真美も心からそう述べる。


それは本心だった。


この地獄の様な意味不明な状況で、たった一つの希望…


真美「じゃ、はやく逃げよ…! ね?」


沙耶「そうだよ…早く逃げないと…」


茜「…ううん それはダメ」


その思ってもいなかった返答に、場が凍る。


真美「…え?」


沙耶「…ね? 茜ちゃん離してよ…逃げないと…」


茜「ダメ…沙耶は他の男になンか…手は出させないからァ…」


沙耶「なに言ってんの…? 茜ちゃ…!!」


しがみ付いて沙耶を離さない茜が顔を上げると、その顔は、あの百足に身体を浸食されたときの顔に戻っていた。


沙耶「ぃぃぁあああああああぁぁぁ!!!」


茜?「沙耶ァァ…アタしがすルノぉ…沙耶にィぃぃ…!!」


そう言うと茜の身体がメキメキと音を出し、関節部分が先程と同じ様に千切れ、伸びた。


沙耶「なっ…?? なんでっ…!?? あかねぢゃ…!!?」


沙耶はもう眼の前の事に何が何だか分からなくなってきていた。


??「捕まエたのォ…?」


そう言って暗闇から成実と屋本が現れた。


しかも周りには虚ろな視線の警備員が六人ほど。


真美「なっ…なんで…こんなこと…?」


恐怖でガチガチと歯を鳴らしながら、消え入る声で疑問を投げ掛ける。


屋本「単純さ (けが)したいんだよ…この地を」


真美「…? なに…?」


言っている意味が全く理解出来なかった。


屋本「まぁ、どうでも良いさ 君達には特にね…」


興味が無さそうに淡々と述べる。


これがこの男の本質なのか?


そう思いながらも何処か何時もと雰囲気が違う目前の男から、視線が外せなかった。


この後に起きる事を想像して。


絶対的な終わり。


―死を。


屋本「―あぁ…因みに、"彼"…じゃないか、今は"彼女"だ…村元はね…梁本を穢すのは自分だって―…聞かないんだよ…ホント面倒だよね? 宿主に依存するっていう性質はさ…」


溜息を吐きながらそう述べるその数学教師の言葉は、真美にはさっぱり理解出来なかった。


意味さえ。


真美「なに言って…」


屋本「ま、気にしないで― 君にも直ぐその後、穢しが待ってるから…」


その興味が無い淡々とした言葉が逆にサラッとし過ぎていて、真美は恐怖を覚えた。


屋本「さ…じゃあ、始めよっか…」


その言葉と同時に指を鳴らすと、警備員が前に出て、真美と沙耶を取り囲んだ。


絶望が全てを包んだその状況で月明かりが照らす中、何かの影が動いた気がした。


??『ダチ連れて後ろに下がれ…!』


その声がエントランスに響いた。


沙耶にしがみ付いている茜の両腕が吹き飛んだのも、声と同時だった。


それを見た真美は、沙耶の手を引っ張って、背部の入り口まで急いで逃げる。


そんな中、突如上部天窓のガラスが大きな音と共に割れた。

挿絵(By みてみん)


そしてそれと共に破片の塊が、後ろ側に居た警備員二体に降り注ぎ、真っ二つに切り裂いた。


真美は状況が解らず、一瞬戸惑ってしまった自分を思い返す。


もしあのままあそこにいたら…


その恐怖が全身を駆け巡る。


そんな真美の思惑とは関係無く、目前のさっき自分が囲まれていた位置に、黒いコートを羽織った全身黒尽くめの男が、衝撃と硝子片共に、二人の目前に降り立った。

現れた黒衣の男は目前の警備員達を屠っていく―

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