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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
即 編

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168/232

即 第一話 2018年4月

青い男は上野にいた―

黒い男とは別行動で、ある妖怪を狙って―



―2018年4月21日(土) 夜―


―上野 鶯谷(うぐいすだに)



()()は巨体ながらも、軽やかに跳躍していた。


鶯谷のホテル街屋上を、その()()()()が跳び回っている。


"言葉"しか使えない自分の"能力(チカラ)"では、追う事が精一杯であり、見逃さない様にする事も困難だった。


青い男「あー!くっそ…!」


複雑で入り組み、細々とした道を下から追っていたからだ。


対するその猿は、上空をポンポン跳ねて先に行く。


これほど分が悪いと感じる事はない。


しかも狭いからZX―10R(愛車)なんて走らせられない。


完全に自分が不利だった。


そこに苛立ちを覚える。


青い男「こんなんムリだろ!」


そう言いながら、苛ついて通り抜け様に近くの看板を蹴飛ばす。


その様相を視た、近くにいた中年カップルが何事かとビクつきながら二人で物騒だの嫌だなぁ等と小声で話す。


その声が自分の耳に届き、更に苛立ちを募らせる。


人払いが完全にできてねーじゃねーか…! 東京旅館組合仕事しろ…!


心の中でごちた。


自分にはコレは向いていない。


結論が出ていた。


自分の"言葉"ではあそこまで届かない。


あんな遠くまでは。


そもそも向こうには()()()()()


これでは何も役に立たない。


なんでこんな事に自分を誘ったのだろう?


そんな疑問が生まれ、苛立ちが又募った。


自分には、あんなモノを追える様な"力"が無い…


筋力や知識、努力の上での貫く意志―…


ましてや、自身の"(チカラ)"を解放する"魔人化"なんて出来ない…


自分に出来るのは、ただ、"喋る"だけ―


青い男「くッ―…!」


その失意が舌打ちと成って口から漏れる。


改めて自分を悔いる。


自分は何も(ひい)でていない―と。


諦めの様な、失意―


しかし、それでも動いている現実は止まらない。


大きな猿は、鶯谷北側の、人の少ないビルの方へ消えていった。


青い男「あっ! くっそ…!」


見失うと思い、急いで周囲を見渡す。


起動しっぱなしの地図アプリで周囲を確認すると直ぐ解った。


少しその方角に走り、人通りの少ない裏路地に視線をやると、(さび)れたラブホテルが奥に在った。


青い男「ここか…」


そこは、どうやら不人気ホテルランキングに入っている様だった。


青い男「…逃げ込むなら打って付けじゃん…」


見付けられた喜びで、口元に笑みが浮かぶ。


見てみると、夜だというのにネオンサインが全く()いていなかった。


慎重にドアに近付きつつ、今回の依頼資料を携帯で確認した。


青い男「よし…!」


その嬉々とした言葉と共に目的が強くなり、そのホテルの中へ入っていった。


青い男「コッチに当たるなんて…ヤッパツイてる…!」


その顔には、笑みが浮かんでいた。





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