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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
色 編

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162/232

色 第一話 2014年10月

2014年 10月12日―

黒い男達は、新宿の高層ビルにいた―

旧知の間柄である、白の男と共に―



2014年 10月12日(日)午後11時過ぎ―


―新宿 都庁近く高層ビル屋上―



其処はヘリポートもある高層タワーだった。


その屋上のドアを勢いよく開け、()()()()()出てくる。


一人は黒いコートで両手に二丁の拳銃を持ち、もう一人は神道の衣冠単(いかんびとえ)()()()()()()()"装束"を(まと)った眼鏡をかけた痩せぎすの男だった。


そして、一間置いて屋上のドアが勢いよく吹き飛ばされ、その中から、巨大な蛇が猛烈な速さで追い掛けてくる。


ドアは(ひしゃ)げ、力で強引に壊されている。


()()は単純な仕事だった。


アイドルグループの周辺で起きた怪事件を調査する流れで、このビルに蛇の化け物が出るという事だった。


本来なら、なんて事は無い()()()()()だった。


だが、()()()。思った以上に面倒だったのだ。


両手の銃、『陰』と『陽』を有り得ない速度で撃ち込む。


黒い男「チッ…!」


弾が効かなかった。


純銀だけでは足りない様だった。


白の男「なら…! 臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」


そう、白の男が印を結びながら唱えると、その大蛇の足下が輝き、浄化の光が包む。


浄化の光が放たれると同時に、颯爽と黒い男が大蛇の前に出る。


黒い男「よし!」


そう言って左手に"閻魔"を顕現させると、擦れ違い様に瞬速の抜刀で大蛇を横薙ぎに斬り割く。


一瞬間を置いて納刀する。


鍔がカチンという音と共に納刀されると、"閻魔"は手元から()()()


そして振り向くと同時に、大蛇の肉体に一線が入り、緩やかに()れ落ちた。


黒い男「ふぅ…」


白の男「気を抜くなよ」


黒い男「解ってますよ」


そう阿吽で答えながらも、勿論気は抜いてない。


青い男『イケました?』


そこに、青い男が無造作に耳のインカムからそう告げる。


今の役割は下のバンからのサポートだった。


しかし、その軽くは思っていなくともそう感じる言葉に白の男が言う。


白の男「オイ、気を抜くな…!」


その余りの強い言葉には、威圧が籠もっていた。


青い男『あ…スミマセン…』


その強い言葉に萎縮してしまう。


それは当然だ。


黒い男「あー…まーまー…」


だから、それを悟ってかフォローを入れる。


白の男「…甘いんじゃないのか? 緊張感が無さ過ぎる」


その言葉を、青い男に聞こえない様に自分に投げかける。


そのストイックな姿勢には尊敬が出来る。だが、知らない人間には少し、それはキツ過ぎる。


黒い男「解りますけど…緊張してンスよ」


白の男「そんなんじゃ死ぬぞ…!」


緊張感を(ゆる)めず、そう言いながら黒の男の方に向かう。


黒い男「まーまー …下に寄せといてくれ」


その厳しい姿勢を(なだ)めながら、そう、青い男に指示を出す。


青い男『解りました 直ぐピックアップ出来る様にしときます』


黒い男「了解… ?なんだ…?」


その違和感に気付き、改めて、その異様さに眼を見張る。


大蛇の斬られた部分が(うごめ)き、何かが出てこようとしている。


黒い男「終わってない…!」


そう言って身構え、素早く腰裏にあるマガジンを銃にリロードし、スライドを戻した。


蠢く部分が盛り上がり、ギチギチという音と共に女の形を形成し始めた。


白の男「女だと?!」


その驚きと共に一歩身を退く。


黒い男「オレが牽制するから!」


そう言うと、白の男が後ろ向きに走り出す。


それと同時に、黒い男の両手の銃が、有り得ない速さでトリガーを引かれ、無数の弾丸を大蛇に向けてバラまかれる。


白の男「了解だ! 先に行く!」


そう返答し、ヘリポート先から()()()()()


黒い男「解った!」


そしてそう答え、自分も追って走り出す。


後ろから、それを追い掛け、()()()()()()()()が全速力で追ってくる。


迷わずヘリポートから飛び出すと、跳躍し、上空で上下反転、再び左手に"閻魔"を顕現させる。


刹那、迫ってくる女の大蛇に数十閃、瞬速で斬撃を与える。


自分に食い付く距離まで迫ってきた瞬間、ゆっくりと納刀し、カチンという音がする。


と同時に、その大蛇は細切れになり、赤い血飛沫に変化した。


そして"閻魔"を()()()と、上下逆さまのまま、ビル下へと落下した。

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