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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
転 編

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144/232

転 最終話

2015年12月31日、多群雄一は決断を迫られる。

その答えは、この世界に拡がった。

―2015年12月31日 午後11時50分―


―泰叡山護國院 瀧泉寺 裏 目黒不動尊 参道―


除夜の鐘が鳴り響いている。

聴こえないハズの鐘が頭の中で。

不安になり周りの情報を遮断したくなる。


青い男「『選べ』」


だが、選ばなきゃならない…

苦しい…苦しくて仕方がない…が、選ばなきゃいけない

その思いが、自分を動かしていた。


雄一「俺は…!」


世界にヒビが入る。

この人達を助けたい!

なにか変化が在った様だ。

人の為に!

鐘の方向が輝く。

自分の為に!

それを感じる。

自分を助けてくれたこの人達を助けたい!


雄一「選ぶ!」


ハッキリとした意思だった。

もう心の中では決まっていた。

決断していた。

選ぶ事を。

投げ出さない事を。

その決断をした時点で。


雄一「俺、行きます!」


除夜の鐘の方向に駆け出していた。


黒い男「鐘を鳴らせ! 邪気をはらえ!」


その言葉を受け取っていた。


黒い男「さぁーて…! 行きますかァ!」


青い男「了解ッス!」


相槌あいづちを打ち、その空間に目を向ける。

その空間―空に漂っている邪気―が、顔をしていく。


??「よくも…ォォォォォ…!」


恨みの念を、その巨大な口から発した。

音ではなく、この空間が震える様な念―

だが、


黒い男「コイツを使うか」


それを無視して、"利剣の欠片"を取り出す。

どうやら複製した欠片の様だが、矜羯羅こんがらが複製した様で、利剣の効力は宿している。

その欠片を、持っている刀のつかに差し込む。

その刀を構え、


黒い男「よし!言え!」


青年に言う。


青い男「ナウマク・サマンダ・(遍く金剛尊に帰命致)バサラダン・センダマ(します。 恐るべき)カロシャダ・ソハタヤ(大忿怒尊よ、)・ウン・(打ち)タラタ・カン・マン(砕き賜え)!」


そう真言を唱えると、刀が火炎をまとい、燃え始める。

それと同時に、刀が炎の長剣に変化し、二人の周りに曼荼羅まんだらが浮かぶ。

そして、曼荼羅が出来ると同時に、鐘の音が聴こえてくる。


黒い男「ィよし!行くぞ!」


青い男「ハイ!」


黒い男「不動!火炎撃!」


そう言うと、長大になった刀―もうそれは剣だった―それを大振りに、空間を斬り付け始める。

袈裟けさ斬り、逆袈裟、横()ぎ、縦回転斬り…演舞の如く四方八方を斬り付ける。

そして両手で眼前に構え―


黒い男「ふんッ!」


魔人化し、力を一気に注ぐ。

斬り付けた浄化の炎が、注がれた力で爆発的に燃え上がる。

この密閉された世界全てが燃え始める。


邪気(ベルフェゴール)「ぉぉォォォォォァァァァァぁぁぁああアア!!」


苦悶くもんの表情で浄化の炎に焼かれていく巨大な顔(ベルフェゴール)


邪気(ベルフェゴール)「そんぉんなぁぁぁぁ! 私はまた…!」


黒い男「煉獄に戻れ…!」


力を爆発させ、邪気を刀が滅する。


邪気(ベルフェゴール)「ァァァァァァァァァアアアアアアア!」


断末魔と共に、空に歪みが生まれ、其処に吸い込まれていった。

魔人化を解くと同時に、地面に着地した。

刀も元の形状に戻っていた。この世界に捕らわれていた()()も、

解放されたのだろう。()()()()()()気配が無くなっている。


黒い男「ふぅ…」


溜息を吐くと同時に、雄一が鐘の方角から向かってくる。


雄一「終わったんですかー?!」


黒い男「あぁ…一応な」


雄一「え?!一応って…」


その一応という言葉に反応する。


黒い男「イヤ…」


真面目だな、コイツ

と思いつつ、クセで警戒しているからか、そう言ってしまう自分を少し反省する。


黒い男「あー大丈夫だろ」


雄一「あ…そう…? ですか…?」


警戒しながら恐る恐る聞いた。


青い男「警戒しすぎだわ」


雄一「そう…かな?」


まだあまり自信が無い。

今までの事をいきなりは180°変えられない。


雄一「でも」


今までとは変える

その気持ちは変わらなかった。

怯えて逃げる自分を止めなきゃいけない

それが今なのだと

認識が出来た。

それは進歩だ。


黒い男「お 変化が出てきたか」


雄一「わかんないですけど…気分は違います」


青い男「じゃ、いんじゃね」


そうだ

そうだと思う

その思いを抱きながら、この世界の崩壊と共に、暗転した。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 青い男と黒い男の対比が良いですね。対比とは言え、どちらも意思は強いみたい。雄一君のような子は、見ててもどかしいのでしょうね。二人の苛立つ気持ちがよく伝わってきます。
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