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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
魔の章

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110/232

其の十九

突如現れた竜尾鬼によって動きを封じられた黒い男―

その行為に怒りと憎悪を向ける―

十九



―11月25日(木)深夜0時29分―


―台東区上野 上野公園内国立西洋美術館 地獄門前―

挿絵(By みてみん)



黒い男「! お前っ…! こんな真似をッ…!」


苦しみながら憎悪の視線を竜尾鬼に向ける。


二人に気を取られている間に縛妖索で身動きを封じてからの竜玉による邪気の吸収…これが、彼等の考えた黒い男を救う計画だった。


坂本家に先祖から続く、邪気や悪意の籠もった淀んだ魂を吸収し、浄化、封印出来る能力を持った首飾り。


先ず始めにクリフがバチカン随一の聖遺物"鞘より抜かれし剣"で黒い男の憑かれた"憤怒(サタン)"に攻撃を仕掛ける。


そこに集中した所、二人(俊と涼)が助っ人に現れ、魔人化し相手する。


更にそこに意識が向いた所で、竜尾鬼による縛妖索→邪気吸収というのが、本命だった。


これで救う事が出来る…!


黒い男「ぐっ…! ああああああ!!」


苦しみながらも(おびただ)しい量の邪気を竜玉が吸い続ける。


竜尾鬼「もうすぐです…!」


救う…!


ハズだった。


黒い男「…オマエぇ…! そんなでオレをどうにか出来ると思ってんのか…!!」


ギロリと紅い瞳で睨まれる。


竜尾鬼「えっ?!」


相当量の邪気を吸った筈だ。


こんなに邪気を感じる事も力を持っている事など有り得ない…!


"()()"()()()()()


しかし、違った。


有り得ない程の力で縛妖索を引き千切ると、膝を着きながらも左手で掌打を打ち込み、それを思い切り竜尾鬼は胸部に喰らってしまった。


竜尾鬼「?!ぅあッ!!」


想像以上の衝撃に吹き飛ばされ、階段へと突っ込んだ。


その衝撃で、階段部分のアスファルトが軽石の様に砕ける。


俊「! 竜尾鬼…!」


涼「?! そんな…!?」


驚きの言葉が二人の口から漏れるも、目前の相対する友人(黒い男)はゆるりと立ち上がる。


黒い男「…何考えてたか知らねーが…ムダに終わったなァ…?」


ドスの効いた威圧と共に、ギロリと紅い瞳で二人を睨む。


黒い男「…こんなでオレをどうにか出来るとか…ナメてんじゃねぇぞ…!」


怒りの籠もった啖呵を放つと同時に驚異の踏み込みで俊の目前に現れたかと思うと、右手の掌打で、俊の腹部に一撃を食らわす。


俊「?! ぐぇッ!」


胃液が逆流する様な感覚と共に、激しい衝撃と痛みが全身を駆け巡る。


そして続け様に右後ろ回し足刀が胸部にめり込む。


俊「ぅあっ!」


息が止まるほどの衝撃と痛みがトシを襲うと同時に、身体が後方へ吹き飛び、地面に叩き付けられ、倒れ込む。


次いで涼の首を掴み、片手で持ち上げると、力を込めて地面に放り捨てた。


涼「うっ…くっ…!」


地面に叩き付けられながらも涼は体勢を立て直し、直ぐ様起き上がる。


俊「っ…?」


しかし、起き上がりながらも違和感を感じる。


黒い男「こんなモンだよ…オマエ等なんて…! 所詮力を解放させたとこでザコでしかねぇ…!」


涼「っ…! だぁぁっ!」


手にした大通連(だいつうれん)で上方から大振りに斬り掛かるも、右手で振り下ろされた刀身を掴まれ、止められる。


涼「!? なっ…」


驚いている合間に左手の平手打ちが涼の左頬に入り、大きく吹き飛ぶ。


黒い男「…ムダだっつってんだろ…オイ、トシ…オマエも好い加減諦められたんじゃないか?」


そう言って視線を俊に向けるも、俊は"力"を込めた拳で殴りかかった。


俊「俺達の意志は変わらない! お前を助ける!」


その言葉と同時に、右拳が黒い男の顔面に入った。


漸く貫いた一撃―

その拳は黒い男に思わせる―

―正気なのか?!―

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