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異聞録:東京異譚  作者: 背負う地区顎と
地の章

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11/229

其の七 ―不測―

同時刻―

黒い男と別れた竜尾鬼は島を逆方向に回っていた―

―ほぼ同時刻―


―御子敷地区地区(坪田高濃度地区)―

挿絵(By みてみん)



竜尾鬼「―…酷い」


異界化の影響もあるが、この先の高濃度地区は火山ガスや亜硫酸ガスによる酸性雨、泥流の被害が大きい。


腐食した車や建物、そして火山灰や火砕流により、埋まった町…


その上での異界化…一時帰島も果たしたとはいえ、こんな状態では復興どころではない。自分達がなんとかしなければという使命感に駆られた。


だが、それ以上にこんな気持ちが湧くとは思っていなかった。


これは、仲間の影響なのだろうか?


そう思惑するも、直ぐ様やらなければならないことに頭を切り替え、目的地へ駆け始める。


それは、この地に現れた"教会"を破壊すること―


既に黒い男(あの人)と別れてから一つ破壊した。


これで二つ。


今向かっている場所が"当たり"であれば、今回の事件は収束間近の筈。


直ぐ破壊して、もう一カ所の高濃度地区に向かわねば。


黒い男(あの人)が無茶をする前に。


その思いと共に山側へ跳躍していく。


目的地は、地獄谷。


1962年に火砕流が流れ込み、三年前の噴火でも被害を受けた。


御子敷地区にあり、坪田北部に在る其処が、目的地だった。




―午前11時半過ぎ―


―御子敷地区、地獄谷―



その光景は異常だった。


登れば登る程に山は生物の様に脈動し、血管の様な器官が燃え盛る木に結び付き、沢はその血管の様な器官から赤い液体が流れ、歩んでいる場所はさながら皮を剥がれた人の肉体の上を走っている様な感覚だった。


そして、高濃度の硫黄―


さしもの自分でさえ、マスクを付けねば危険なレベルであり、其処はまさに"地獄"と言うのが相応しい程だった。


しかも無線は通じない。


今まで壊してきた"教会"の在った場所の変異とは比べものにならない異常さを(かも)し出している。


この異様な変異で、この場所が元はどうだったか想像も付かない。


(いびつ)に起伏した山道の中腹に、太い血管が集中し、血管や膜に覆われた、傾いた"教会"が見えた。




―午前11時55分―


―御子敷地区、地獄谷"教会"―



外部は無駄なまでに立派な装飾が施され、巨大な"血管に覆われた"扉を開けると、ギリギリと金属の重い音がした。


中に入ってみると、血管に浸食され、所々崩れているが立派だったことを思わせる装飾が施されている。


持ち合わせた計測器で調べてみると、どうやらこの"教会"の中はマスクが無くても呼吸出来そうだ。


マスクを外し、教会内部を見回す。


―何故こんな所にこんなものが…


正直な疑問だった。


島に上陸する前に黒い男が言っていた言葉。


―何故、こんな極東の島で黙示録が為されようとするのか―


それを思い出す。


確かにおかしい。


その理由は、自分にも解らなかった。


だが、そんな疑問も、眼に入ったモノで、吹き飛んでしまった。


??「遅かったじゃないか」


木漏れ日が入る中、一番奥の祭壇に座っている人物が発した言葉だった。


全く思いも寄らない存在と出会い、竜尾鬼は動揺するー

その、見知った顔に…

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