其の十七
力を解放した二人に怒りが募る―
この町を救っているのは自分だという思いを貶された気がして―…
十七
―11月25日(木)深夜0時27分―
―台東区上野 上野公園内国立西洋美術館 地獄門前―
二人して跳躍し、黒い男へと襲い掛かる。
黒い男「それがオマエ達の答えか!? ナメるな!!」
迫り来る攻撃的な二つの意志に苛立ちを感じつつも迎え打つ。
前衛の俊が振りかぶった刀を恐ろしい速さで振り下ろし、刀が弾かれても構わず斬り掛かり続ける。
そしてその後ろから後衛である涼の三振りの刀が交互、順々に後ろから襲ってくる。
とても嫌らしいながらも、こちらに消耗させようという効率的な手段。
しかし、それも全て閻魔で斬り払っていく。
凄まじい速さとその気迫で、凡そ近付く事は出来ない。
それは手負いのクリフでさえも視ている事しか出来なかったほどだった。
黒い男「ちぃッ…!」
防戦一方の状況に苛立ちが募り、舌打ちをする。
と、同時に右手の"閻魔"でトシの刀を受ける、更に左手で後方から飛んできた刀の一本を掴む。
黒い男「調子に乗るんじゃねェェェェっ!!」
怒りに任せた叫びと同時に右足の前蹴りでトシの胸部を思い切り蹴飛ばす。
俊「!クッ…!」
衝撃で上方へと吹き飛ばされるトシ。
そして、左手で掴んだ刀をスズへ向かって思い切り投げ返す。
だが、目前で残り二本の刀に弾かれ、元の定位置に浮遊して戻る。
トシも前蹴りが当たる直前に刀で防御し、自ら後方に飛ぶ事で衝撃を逃したのか、ダメージは少ない。
その様に苛立ちが増す。
黒い男「オマエ等なんなんだ…? オレの邪魔ばっかしやがって…! 鬱陶しいんだよ!!」
しかし、それに物怖じせず、二人は言葉を交わす。
俊「…やはり手強い…!」
涼「進行も早い…早くしないと…!」
俊「ああ…次で仕留める…!」
その言葉に全身の血が湧き上がる。
黒い男「!?…なんだと…?! オマエ等如きの"力"で…?! 調子に乗るなぁッ!!」
それは、逆鱗に触れた。
俊「今だ!」
しかし、その怒りと同時に凄まじい踏み込みでトシは突貫し、スズは三本の刀を飛翔させる。
黒い男「ナメんなっつったろ!!」
叫ぶと同時に力を込めた右手の"龍の顎"を突き出した。
強力な"力"でトシの突貫と三本の刀を抑え込む。
それと同時だった。
後方から跳躍してきた何者かが投げた縄が、身体を縛る。
黒い男「?!何!?」
黒い男の後方に着地すると、左手の竜玉を翳す。
竜尾鬼「これで貴方を救える…!」
言うと左手の竜玉が輝きだした。
突如現れた闖入者―
竜尾鬼は夢想する―
三ヶ月前のことを…




