其の十二
刻は少し遡る―
三ヶ月前―
トシ達4人は思考する―
黒い男をどう救うか―…
十二
―8月9日(火)深夜3時過ぎ―
―千代田区霞が関―
坂本機関の用意した医療バンに副長を乗せると、静かに車両は発進した。
その場に残った四人― トシとスズ、クリフと竜尾鬼はお互いに向き合う。
自分達が成長すべきだと語ったばかりとはいえ、明確に何をするかを決めているわけでは無かった。
クリフ「―…で、どうなさいます? 僕は、お店に戻って、道具を揃えるのと、書庫に在る魔術の本を見返してみようと思います」
口火を切ったのはクリフだった。
少しの沈黙の後、トシが口を開く。
トシ「俺達―…いや、俺は先ず清水…京都に向かおうと思う」
スズ「え?!」
自分だけで―という言葉に、スズは驚きを隠せない。
相棒である自分も一緒ではないという言葉に。
クリフ「…それは、何故です?」
そのスズの驚きに反応し、一瞬眼を向けるも、すぐトシへ視線を戻す。
トシ「…俺のルーツだ…俺の…向き合わなければならない…魂の出所…」
クリフ「それは…?」
思わせ振りなその言い方に、聞き返す。
トシ「俺の宿星…遙か遙か…何百年も過去の…」
思い詰めた様に話すその口振りは、余り良い過去ではないのか、とクリフには感じさせた。
クリフ「…遙か過去…? 魂の繋がり… もしかして、前世…ですか?」
慎重に言葉を選びながらも大胆な答えを提示する。
トシ「…」
トシからの答えは無かった。
スズ「私も、行くから」
驚きと共にトシがその言葉にスズへと視線を向ける。
トシ「俺独りって言っただろ?!」
スズ「何よ? 私の宿星も関係あるのよ? …私は、鈴鹿山に」
クリフ「関西ですか」
スズ「…6年前に向き合わなかった…ううん…その時は必要としなかった過去…」
思い出しながら、後悔する様なそんな素振りで。
しかし、そんな言葉に反応したのは竜尾鬼だった。
竜尾鬼「でしたらうちの者が移動の手配をします 諸々のサポートを」
トシ「ありがとう…」
笑顔と共に素直に感謝を伝える。
スズ「竜尾鬼君は?」
竜尾鬼「僕は…比叡山へ行きます 符術と真言を学びに」
その言葉にも、信念が籠もっていた。
トシ「わかった…お前も気を付けてな」
クリフ「…では、その間は大罪も含め、僕が政府のエージェントさんと一緒に目を配らせておきます」
トシ「そうだな…あと残りの大罪は…」
竜尾鬼「傲慢と、憤怒…」
スズ「その二つね …残り二つ…」
感慨深くスズが呟くが、そこまで聞くとクリフは顎に手を当て、考え出す。
クリフ「憤怒…怒り…」
呟くと同時に、頭の中で今までの物事が繋がり出した。
クリフ「…解ったかも知れません…!」
そう言って、三人へ顔を向けた。
其の1週間後―
トシは真夏の京都―清水寺に居た…




