語句紹介
この物語には馴染みのない単語が当たり前のようにたくさん出てきます。読んでくださる方にはかなり不親切なのでよく分からないと思います。私もよく設定を忘れます。よって自分自身の覚書の意味も込めてまず語句紹介を載せておきます。
後に重要になってくる情報も暴露してしまっていることもありますが気にしないでください。
【女神 (アイリ・エンス)】
かつて世界を創った唯一神。悪魔との戦いの末に時の狭間に幽閉されてしまったと言われている。悪魔が滅ぼされた後も時の狭間に幽閉されたままだが、その深い慈愛によって未だ人々に救いの手を差し伸べていると多くの者から信じられている。
【羽根の悪魔 (オリヴィラ・レオール)】
人々をそそのかし女神に反逆した大悪魔。都市の殆どを占領し聖都を陥落させ、女神を幽閉するまで追い詰めた。しかしその後は神の子たちの決起によって版図を失い最期は辺境の町の郊外で討ち取られたという。だがそれは羽根の悪魔の分身だったとも言われ、時代が遥かに下った世においても人々から恐れられている。
【恥辱の悪魔 (モルディナ・レオール)】
羽根の悪魔の妻とも腹心とも言われている悪魔。その美貌で多くの心弱き人々を誑かしたと言われている。羽根の悪魔と共に辺境の町の郊外で討ち取られてたと言われているが、こちらも分身だったとする説もある。
【聖都 (エンス・パリ)】
かつて女神が統治していたとされる都市。首都。随一の文明文化と人口を誇る。神の住まう園、という意味。
【聖支都】
かつて11人の聖人を輩出し聖都から特別な認可を得た都市。オルドール、アロナンド、トルドレン、サザニア、ノルマイエン、ノルアレス、イルシャザニア、キリシュタッド、ツヴァン、バーミリア、ザリニフィエ、レルテンヴィルの11都市がそれに当たる。
【支都市】
聖支都意外の都市のこと。
【神の子 (エンセリオ)】
羽の悪魔の隙を衝いて反旗を翻した11都市の指導者の総称。自領であるツヴァンを防衛し反旗の先駆けとなった「クルアリの野獣」ことガナン・セドラバート大公を初めとした11人。聖人。
【11の聖剣】
聖都から聖支都の認可を受けた都市に一振りずつ授けられた銀剣。普段は教会に安置されており「アリアの月の日」の期間に限り都市防衛の指揮官のみ持つことが許されている。剣とはいうが槍の形をしたものもある。
「野獣大公 (セドラバート)」、「雷鳴候 (フラムランガ)」、「傀儡師 (ヘリオン)」、「黎明騎士 (ディヒータン)」、「宣教始祖 (ウルヴァナス)」、「奇侯爵 (アロムコルト)」、「商王 (サトゥリオル)」、「鉄血処女 (バロワレイ)」、「鬼哭武人 (カッツェリン)」、「金剛司祭 (サルヴェン)」、「英雄 (ゼラ・エラ)」の11振り。
多くは指導者の名前がそのまま聖剣に付けられているが、バロワレイ (指導者の通称)とゼラ・エラ (指導者が所有していた馬上槍)のみ由来が異なる。
【アリアの月】
2つある月の片方。誰が言いだしたのか不明だが、満ち欠けも動きもしないほうを呼ぶ。夜になれば禍々しく赤く輝き、もう一方の月が新月になるたびに都市から赤い光が昇りアリアの月に吸い込まれていく。別名、厄災の月。羽根の悪魔が住んでいるとも言われている。
【アリアの月の日】
大体16年と半年の周期で逆にアリアの月から地上に赤い光が降りる日。昇る光は全ての都市から無数に昇るが、降りる時は1つの都市にまとめて降りる。降りた光は様々な姿の異形となり人々を襲う。俗言だが新月の前後に死没したことが明るみになるとその者は「悪魔に魂を売った」とされ遺体を蔑ろにされる。またその家族も疎まれ私刑を受ける。厄災が起こる都市には前兆として黒い鳥を連れた黒騎士が現れるとも言われている。アリア6082日目の月。
【不浄なる魂 (イェラン・プロイエ)】
アリアの月に昇降する赤い光の呼称。魂とはいうが、新月の周期内に死者が出ていない場所でも生じる現象である。アリアの月の日に地上に降り立つと怪物の姿になって人々を襲い、夜明けと共に霧散する。その異形は「悪魔 (レオール)」もしくは「怪物 (サフィジノ)」と呼ばれる。
【エドゥッサ・オルライシオ】
黒い甲冑を身にまとい、黒い鳥と共に厄災の前に現れる怪異。その存在は聖書に登場する、羽根の悪魔を裏切り神の子に加担した悪魔と言われている。羽根の悪魔が滅び去った後は自責の念にかられ再び羽根の悪魔を甦らせようとしたが、教皇の法力によって退けられた。功績によって命ばかりは許されたがかつての力を失ったまま悠久の時を生きる罰を与えられたという。己の罪を女神に懺悔しつつも羽根の悪魔の復活を焦がれ苦しんでいる。長らくアリアの月の日を引き起こす存在を憶測されてきたが、近年には異形と戦う姿が確認された事例もあり「穢れに引き寄せられるものの反逆者として悪魔にすら受け入れられることのない憐れな存在」と推定されるようになった。「断罪の剣」と呼ばれる漆黒の剣を持っている。
【エディ】
黒騎士のそばにいる黒い鳥。鵲 (かささぎ)。黒騎士よりも先に現れるため災いの使者とも呼ばれ人々に忌避されている。姿が似ていることから鴉からも嫌われている。
【旅人】
聖都、聖支都、支都市および辺境の町村は街道によって結ばれているが、城壁を備えた支都市以上の都市では人の行き来が制限されている。治安、流通、職の確保が名目とされている。門外に出る者は往来を許可する通行証を携帯していなければ何人たりとも通行できないとされるが、例外もある。聖職者や貴族、上級都市民など貧民が到底成りすませない存在がそれである。
通行証は殆どの場合商人のために発行されていると言っても過言ではない。商人意外でも確固たる理由があれば門の入場管理場にて許可証の発行手続きが出来るが、莫大な時間や金、人によっては性的奉仕を捧げなければ許可証が発行されることはまずない。
食い詰めた町村民が集団で職を求めてやってくることもある。その場合は都市内の、何らかの理由で人材を必要としている者が門兵と結託して招き入れることもある。門兵から指定された何らかの要求をこなせば許可証の発行もなく秘密裏に通されることもあるがその場合は出ることが非常に難しい。
【アデル】
田舎から自由を求めて大都市を目指してきた青年。実直な性格をしている。
【リヒード】
外見に似つかない老練な喋り方をする幼子。
【シラビス】
元奴隷の青年。
【男】
ぼろぼろの服をまとった物乞いのような壮年。
【メムリンク】
好奇心旺盛な少女。
【自警団】
だいたいどこにでもある自衛組織。主に市民間の諍いの仲裁などの事件解決に当たっている場合が多い。そしてだいたい憲兵隊の非公式の下位組織として活動している。
【キェル・オステラ】
支都市イースルングの自警団長。貧民の出で学はないが根回しをよく利かせる狡猾さを持ち、貧民街の元締から市民街全体を統括するに至った。手に入れられない物に手を出すことに背徳的興奮を覚える性癖がある。
【ダストン】
姓を持たない賤民。小柄で曲がった骨格に痘痕面の醜男だが、勤勉さがオステラの目に止まって右腕となった。その立場からオステラの代理として行動することも多く、当初は門兵らにも見た目を毛嫌いされていたが今では軽口を叩きあったり一緒に食事をしたりする仲になった。
【ノーラン】
姓を持たない賤民。よく肥えた巨躯で、怪力の持ち主。普段は無口で話しかけられても吃り気味で返答も要領を得ない。たまに脈絡なく大声で引き笑いすることもある。子供に対して並々ならぬ関心を示し、昂ると異常なまでに頑固になる。
【聖都の派兵部隊】
都市防衛派兵団。アリアの月の日が近くなると聖都から各聖支都と支都市に派遣される応援人員。11の名門貴族から選出させる。聖支都には貴族が、周辺の支都市にはその貴族の家士が配属される。聖都の代表として派遣されるので名誉であるといえば名誉だが、聖都に留まるより死ぬ確率が高くなるので選ばれた者は複雑な心境となる。万が一赤い光が降り注ぐ都市に当たってしまった場合部隊は間違いなく壊滅する。生存出来れば「今英雄」として讃えられ、死亡したら福者として聖堂に祀られることになる。16年半に1回の出来事なので出兵を3度経験した錬者はいないが2度経験したものなら兵士の中にはちらほらいる。
【ライデル・マクライン】
聖都の名門貴族の1つマクライン家の長男。アリアの月を前にして聖支都トルドレンの防衛に任命された。馬上槍を得意とし大会では負け知らず。調子に乗りやすい性格で豪胆に見えるが意外と小心者。
【ジネディーヌ・リーチャー】
マクライン家に仕えるリーチャー家の三男。ライデルの従者として幼少の頃から側仕えしていた。余談だが長男は勘当の末に謀殺、次男は聖職に入っているので実質跡取り。物怖じしない性格でライデルをよく補佐する。イースルング防衛担当。
【セブラン・マルロー】
マクライン家に代々親衛隊長として仕えるマルロー家の当主。ライデルの教育係でもある。屈強な体躯に冷静な判断力を兼ね揃えており、聖都では「マクライン家の懐刀」として有名。ライデルと共にトルドレンの防衛任務に就く。
【ウルカリフ・アスタッド】
マクライン家に代々宿老として仕えるアスタッド家の隠居。ライデルの守役でもある。ライデルを孫のように可愛がっており、いつも身を案じている。ウルムウンテ防衛担当。
【ティゴ・マンデス】
マルロー家に臣従するマンデス家の次男。マクライン親衛隊の副長。トルドレン行きに従軍。
【ガリヤード・スルヴァン】
マクライン家に臣従するスルヴァン家の時期当主。マクライン親衛隊の序列では3番手。トルドレン行きに従軍。
【学堂】
各都市に1~複数ある学びの為の施設。教会が運営している。
【リュヒトー】
学堂に通う青年。読書を好み、今の世を冷笑的な目で見ている。
【ベンツェル・ティドワ】
学堂に通う青年。自分は愚かな他者とは違うのだと他人を小馬鹿にした態度を取るため周囲から嫌われ孤立している。自分より格下だと思った者には少しばかり心を開くが見下す姿勢は変わらない。学堂が居心地悪いので昼の休憩時間にはいつも人気のない所に行き1人で飯を食べ、凄い自分の妄想に耽っている。ちなみに学力の成績は中の下。
【バナン・ザカーリン】
イースルングの騎士団長。聖書の英雄譚に憧れる壮年の男性。古風を好み、芝居がかった台詞を言ったりする。夢想家だがそれに伴う鍛錬を欠かさないため臣下からの信頼も厚い。
【イースルング司祭】
イースルングのマルムシュタン・ティボワ聖堂の代表。敬虔な好々爺として民衆から慕われている。
【ルディ・サルガーニ】
イースルング市長。元々は凄腕の商人だったが市長になってからは公平性を期すために引退した。市長になってからは様々な改革を行い都市民の生活水準が上がったため絶大な指示を受けており市長選も4選を果たしている。
【詩人】
都市の広場などで弦楽器を手に弾き語りをする者の総称。教会関係者が志願、または任命によって就任しており市井からの希望では就職できない。教育を目的とした存在で、主にその語りは聖書からの引用や英雄譚であり御菓子もくれるから子供に人気がある。神職なので当然聖堂の認可を受けており面倒な審査を受けなくても自由に都市を出入り出来る(勿論アリアの月の日の前には規制がかかる。特権は存在しない)。
認可証を携行せず何らかの思惑を人々に刷り込ませる謎の詩人がいる、という噂があり教会もそれを看過出来ないため兵士からよく身分証明を求められるのが釈然としないらしい。
【マグノス・セドス・ウルヴァナス】
女神に最初に仕えた賢者の1人。一地方の元支配者で、息子に家督を渡して隠棲していたが女神の噂を聞きつけて出会い信者となった。共通文字の創始者。天をも衝く巨漢だったと言われ、聖書には人々に文字をもたらした巨人として登場する。
羽の悪魔が女神に反旗を翻した際にはかつての故郷であるキリシュタッドにいち早く戻って息子を説得し、オルドールのガナン・セドラバート大公に呼応して悪魔の軍勢と戦った。
晩年も布教活動を続け、海の向こうにはまだ見ぬ土地がありそこに暮らす者を啓蒙する、と言って大船を作らせ海原に乗りだし消息を絶った。
彼を題材にした銀剣「宣教始祖」は彼が所持していた得物を模倣して作られており、厚みのある棍棒のような剣なので非常に腕力を必要とする。
「教義は足が語る」という金言を残したとも言われている。
自分でもよく分かってない単語が出てきたらまた更新いたします。