5
三日間マイクについて歩くと街に着いた。高い城壁の下で人々が列をなしている。
列の後ろに並び二時間ほど経つと門についた。
「街に入る目的は何だ。」門番が話しかけてきた。
「俺は商人になりたくて、商人ギルドに登録しにきたんだ。」
「そうか。お前は?」門番が俺を見てくる。
俺はどうしてだろう。特に目的ないな。
「ライルも一緒です。」
マイクがフォローしてくれた。
「まぁいい。三百コル払え。そうすれば入国券をやる。3日以内に何かしらギルドに入れ。」
金を払うと入れてもらえた。
街に入るとでかい大通りがあり活気が凄まじい。
そして遠くにでかい白亜の城が見える。
通りを歩いているとマイクが話しかけてきた。
「ライルは何のギルド入るの?」
「ギルドって何?」
「えっ?ギルド知らなかったんだ。ギルドは仕事をくれる所だよ。冒険者ギルド、商人ギルド、職人ギルドとかあるよ。」
「冒険者にするよ。」
「じゃあお別れだね。また会えるといいね。冒険者ギルドはそこの通りを右に行ったらあるよ。じゃね。」
マイクは手を振りでかい建物に入って行った。
俺は言われた通り歩いて冒険者ギルドに着いた。
これも大きな建物で剣と盾の看板がついている。
建物の前には人が溢れかえっている。
建物に入ると広々としていて酒場やカウンターやら看板やらがある。カウンターに向かうがここにも大勢並んでいてうんざりする。
しょうがなく並ぶと待つこと三十分俺の前の子供が冒険者登録していると
「おいおいこんなガキが冒険者だって笑わせんな。もしかして迷子か。一緒にまま探してやろうか!ガハハハハ!」
と大柄の大剣持った男が近づいてきた。
その男に続いて三人の男が笑いながら歩いてくる。
受付嬢はキッと睨むが、男は意に返さない。
目の前の男の子は腰の剣に手をかけ
「子供が冒険者になったらだめだっていうルールあるんかよ!」
と叫ぶ。
どうでもいいけど早くして欲しい。
受付嬢にどうにかしてくれとアイコンタクトをするが、受付嬢は大男を睨み続けていて見ない。
「おっと剣に手を掛けたら、命の取り合いをするってことだぜ。俺こえーよ。この坊主に殺されそうだよ。
俺は俺の身は自分で守らせていただくぜ。」
そう言って大男は坊主を蹴飛ばす。男の子は壁側まで飛んで行く。
「アクトくん!!!」受付嬢が叫ぶ。
やっと前が空いた。こっちは欲求不満でイライラしているんだ。
「すいません。冒険者登録させていただけますか。」
「え?」受付嬢が惚ける。
「ん?」俺も惚ける。
沈黙が流れる。
ドスドスドス
大男が歩いてきた。
「お前舐めてんのか。あ!?舐めてんだろ、あ!?一回死んでみねぇとわかんねぇだろ、あ!?」
ああ…もうだめ、もう無理だよ。体中が渦渦するんだ、
俺は自分を抱き締め、体を震わせる。
「がははは!!こいつ震えてやがるぜ!悪りぃな!怖かったなぁ!悪りぃ悪りぃ!」
そう言って肩に担いでいた大剣を担ぎ直す。
そしてそのまま血の海の中に倒れる。
"身体強化level1を習得しました"
ああ…気持ちいい。やっぱりナイフが一番いい。一番味わえる。あっそうだ。登録しないと
「すいません。冒険者登録していただけますか。」
「きぁゃゃゃぁぁぁぁ!!!!」受付嬢が叫んでうづくまる。
なんなんだこの人は。いつになったら登録してくれるんだ。
「ラオス!!!くそっ、テメェテメェ。ぶっ殺す。」
男三人が剣を向けてきている。
思わず口角が上がってしまう。
ナイフを投げてかわし切り裂きいなし突き刺し蹴飛ばし馬乗りになり首を掻っ切る。
"弓術level2を習得しました"
"体術level6を習得しました"
首にできた口が血を吐いている。滑稽だ。思わず笑みを浮かべてしまう。立ち上がると、冒険者に囲まれていた。
「何事だ。」髭面の筋肉質なおっさんが出てきた。
「これはラオスか、あとスミスとビルとロフか。
お前はがやったのか。」
俺は頷く。
「ちっ、とりあえずこれは冒険者ギルドで扱いきれん。兵士を呼べ。」
そうして冒険者登録出来ず、俺は兵士に連行された。
夜まで兵舎で尋問され牢屋で寝た。
翌朝、兵士に起こされた。
「証言からお前の正当防衛が認められた。
でももう問題を起こすなよ。さぁ出てけ。」
兵舎から出た。清々しい朝だ。
さぁ冒険者登録をしに行こう。
「すいません。冒険者登録していただけますか。」
「きゃぁゃゃぁゃぁ!!!」
一体こいつはなんなんだ。
隣から別の受付嬢が出てきた。
「すいません。私が代わりに対応します。この紙に名前と特技を書いていただけますか。」
ライル、剣、と書いて渡す。
「ありがとうございます。このプレートに血を垂らしていただければ完了です。また、本日四時から訓練場で新人の講習があるので参加してください。ベテランの冒険者の方が戦い方など教えてくださいますし、新人同士でパーティを組むいい機会でもありますよ。」
すぐ終わったな。やっぱり普通の受付嬢ならすぐ終わる。
今日はナイフで何かシュッと斬りたいな。依頼でもやるか。
張り紙だらけのボードを見る。
薬草集め、ゴブリン狩り、コボルド狩り、…
色々あるな。
討伐部位か、なるほど。
薬草、ゴブリン、コボルドとかはいつでも買い取ってもらえるようだ。
ああ、何か切りたい。とりあえず森に入って狩るか。
三十分くらい歩いて森に着く。
森に着くと、膝ぐらいまである草をかき分けてながら進む。森は落ち着くな。大きな音を立てていれば、ゴブリンも来るだろう。
気配が集まって来る。ああ、楽しみだ。大きな音を立てていたせいか、森の深部まで歩いたせいか。三十匹くらいのゴブリンに囲まれていた。
よし、斬りたい放題だ。
あははは、ゴブリンは迷うことなく斬りかかってきてくれるから、楽しい。斬られた瞬間の顔も滑稽で面白い。あはは、もっとこい!
楽しい時はすぐ終わる。切って投げて蹴っていなし切り裂き断ち切っていたらすぐ終わってしまった。
楽しかったな。討伐部位は耳と魔石だったはず。魔石は小指の先くらいの小さなものだった。でも綺麗だった。太陽に照らすとキラッと光る。全て回収してふと思った。
魔石はこいつらの原動力らしい。なら三十匹分のを一匹に入れたらどうなるのか。ゴブリンの死体に入れてみる。剣を研ぎながら、ご飯を食べてながら待つ。
三時間くらい待っても何も起こらない。俺は諦めて暗くなってきたこともあり木の上で寝た。
翌日ゴブリンの死体から魔石を回収、川を求めて彷徨う。すると剣戟の音を聞いた。俺は急いで向かう。
新人っぽい冒険者三人とゴブリン五匹が戦っていた。
ちょっと観戦するか。
ゴブリンの武器は剣か棍棒。冒険者は皮の鎧に剣。
ゴブリンを倒して油断したところに、棍棒を頭に受けて冒険者が倒れる。
冒険者が二人に減ってからは早かった。一人殺され、一人は気絶させられてどこかに連れて行かれる。
着いてってみるか。
二時間ほど歩いて着いたところは柵に囲まれたゴブリンの集落だった。ゴブリンが四十匹くらい歩いていて、小屋が十戸あり大きな家が一つある。
行ってみるか、いやでももうゴブリンは斬り飽きたな。違うの斬りたい。狩場を変えるか。街に帰ってゴブリン以外のがいるとこ聴こう。
…
……
………
帰ろうとするが道無き道を歩いてきたせいか帰り方がわからない。
とりあえず街道でも探すか。